712 名前:妹婚大決闘【SS】前編[sage] 投稿日:2011/11/12(土) 23:56:20.72 ID:rQVNNt8QO [3/4]
※かなかなとブリジットちゃんは京介の正体を知った後という前提で
珍しく加奈子とブリジットが二人して家にやってきた。
「ところで、何の用だ?」
「あやせさまからお手紙を預かってきたんです」
「加奈子とこいつはよォ、今回あやせの立会人だからな。ほら、早く中身を読めョ」
俺は差し出された手紙に目を通す。
「お、おう。なになに……決闘状……だと!?」
「あやせのヤツ、どうしてもクソマネと桐乃の仲が認めがたいんだってさ。
だからよ、糞マネに決闘を挑んで、あやせが勝ったら、二度と妹に手を出させないと誓わせるんだってサ」
「あやせのヤツ……まるで俺が桐乃に手を出したみたいな言い方しやがって。
…で、俺が勝ったら、どうなるんだ?」
「そんトキは、二人の付き合いを認めてやるみたいだぜ。今後は一切二人の邪魔はしないってサ」
「そうか……なら逃げる訳にはいかないな」
「それでこそ加奈子が見込んだ糞マネだな。詳しいことは手紙に書いてあるから読んどけよ。
それから……桐乃の為にも絶対あやせに負けんなよ!!」
「分かった。ありがとな、加奈子」
「私も京介さんを応援してます。ところで、一つ質問があるのですが……」
おずおずと訊ねてくるブリジット
「……その、京介さんは、桐乃さんに、もう手を出されたのでしょうか?」
「ぶっ!」
「加奈子も気になるなァ、おい、桐乃とどこまで進んだんだよ糞マネ?」
「それはそれは清く正しい交際をしてるよ」
「へぇ、でも桐乃のヤツ、糞マネに実にじょーねつ的な感じでファーストキスされたって言ってたけどナ」
「……それは場の成り行きでいろいろあってだな」
「…まさかホントにキスしてやがったとは、流石糞マネ、やる事が早いナ」
「おい、ハメやがったな!!」
「ところでお二人のキスのことについて伺いたいんですが…」
こんな感じで、二人が帰る頃には俺のライフはゼロになっていたわけだった。
※※※
なんだかんだで決闘当日。場所はあやせとの因縁の地、例の児童公園だ。
「しっかし高坂、ホントに決闘をやることになったんだよな」
「ああ、そうだよ」
「まあ、世界一妹を愛してる俺のアドバイスを活かせば、負けることはないさ」
「世界一という言葉には反論したいんだが、長くなるから今は置いておく」
「全く、恥も外聞もない超ド級のシスコンですね。お兄ちゃんも! 高坂先輩も!」
これを聞いて分かって貰えただろうが、俺の立会人は赤城兄妹が務めてる。
本来は浩平だけに頼むつもりだったが、こいつが瀬菜を推すもんだから兄妹での立会人参加になったわけだ。
「…待たせましたね、お兄さん」
加奈子とブリジットを引き連れて、あやせがやってきた。
「それでは、決闘責任者である俺、赤城浩平から決闘の内容を確認させて貰う。
決闘内容は、ディベートによるものとする。高坂京介氏が制限時間内に新垣あやせさんに対し、
高坂桐乃さんとの恋愛を納得させられるか否かで勝敗を判定する。
高坂氏が勝利すれば、新垣さんは高坂氏と桐乃さんの恋愛関係を認める。
新垣さんが勝利すれば、高坂氏は桐乃さんとの恋愛関係を精算する。
双方、異議はないだろうか?」
「ない!」 「ありません!」
「では、始めてください!」
浩平が決闘の開始を宣言した。
※※※
流石はあやせだ。前回と違って、話してくる内容を容易には否定できねえ。
あいつも桐乃のことが大好きなんだ。それこそ、無二の親友だからな。
だからこそ、俺と桐乃の関係に付き纏う負の部分を熟知し、そこを突いてくる。涙ながらの訴えに、下手をすると流されてしまいそうな勢いだ……
715 名前:妹婚大決闘【SS】後編[sage] 投稿日:2011/11/13(日) 00:04:51.01 ID:pUK/m4SqO
※※※
「そんなんでどうすんの、この馬鹿兄貴!!」
「――――」「桐乃……っ!?」
まるで何時かの光景のように、桐乃がこっちへ向かってくる。
「あたしが、京介を応援するのは構わないですよね?」
「応援行為を禁止する決まりは特にありません」
それを確かめると、桐乃は俺の方へ近づくなり、背後から俺を優しく抱き締めてくれたのだった……
「あやせの言ってることは間違いじゃない。間違いじゃない、けど……でもあたしなら平気だから」
「桐乃」
「京介と一緒なら、たとえどんな困難が待ち構えていようとも乗り越えられると信じられるから……だから、もう少し頑張ってね、京介」
「ああ、サンキューな」
※※※
「お兄ちゃん、何チラチラこっち見てるの!?」
「……いいなあ……」
「あれは愛しあってる二人だから許されるの! そんな目で見つめたところで、あたしはしないからね!! 今のところは、する気はないんだから……」
※※※
「ったくよー、見せつけてくれるじゃねーか、チキショー ……ン、な、なんだよブリジット!?」
「かなかなちゃんも、京介さんみたいにこう、ぎゅっ、てしてほしいのかな、って思ったから……」
「……ブ、ブリジットてめー」
「かなかなちゃん……ごめんなさい」
「バーカ、べ、別に怒ったわけじゃねーヨ。ちょっとビックリしただけだ。
ま、タマにはこーゆーのもありかな……」
※※※
「あやせ、待たせたな」
「全く、私の目の前で何てことを見せつけてくれるんですか。まあ、いいです。
百聞は一見に如かずとはよく言ったもので、お兄さんの駄弁の数々よりも、桐乃の行動のほうが余程私の心に染み入りました」
結果オーライとはいえ、そりゃないぜ、俺の立場がないじゃないか……
「桐乃の気持ちはよく、よく分かったので、最後に、お兄さんから桐乃への気持ちを示してみて下さい。
それで私は判断することにします。」
意を決した俺は、桐乃に向き直って語り掛けた。
「前にも、似たようなことがあったよな」
「うん」
「あの時は、桐乃は、あやせのことも、エロゲーのことも、どっちも凄く大切だって言ってたよな」
「うん」
「桐乃が、俺のことを、友達や趣味と比べてどれくらい好きでいてくれてるか不安がないわけじゃないが、これだけは言える。
俺は、世界で一番桐乃の事を愛してる!!!」
「ホントに馬鹿なんだから。あたしの一番好きなものは京介に決まってんじゃん!! 言わせんな恥ずかしい」
「桐乃……」
※※※
「さて、勝負あったってことでいいですか、新垣さん?」
「はい、私の負けです。
悔しいなあ、もうちょっとで桐乃の一番になれるところだったのに」
そう言うあやせの顔は、しかしすっきりしているように見えた。
あやせ、ありがとな。俺と桐乃がここまでこれたのは、お前のおかげだよ……
「お取り込み中のところすみませんね」
「え、お袋? それに麻奈実も、どうしたんだ?」
「えへへ、実はね、ある人からお手紙を預かってきたんだよ」
そう言って封筒を差し出す麻奈実。
その表にはこう記されてあった。
「決闘状 高坂大介」
やれやれ、俺たちの戦いはこれからだ、ってか。でもな、絶対負けないから。じゃあ、またな。
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最終更新:2011年11月15日 07:14