781 名前:【SS】高坂京介の恐怖談[sage] 投稿日:2011/11/13(日) 14:01:14.59 ID:PCl+W62Y0 [3/5]
「なあ、みんな。聞いてくれ。
この間桐乃と一緒にドライブに行ったんだよ。
どこかって?
……おまえらが考えてるような、やましい所じゃねえ。
桐乃に勧められたドライビングスポットだよ。
それで目的地付近の山道の、麓が一望できるところで車を止めて、車内で桐乃と喋ったり見つめあったりしてたんだが、
そしたらな……ふと、後ろから気配を感じたんだ。
俺はその気配が気になって、さっと後ろを見たんだ。
……でも、誰もいない。
車も止まっていない。
当たり前だよな。
俺は桐乃と二人きりだったし、場所も人気のない、車もほとんど通らない山道なんだから。
俺は気のせいだと思って、桐乃とイチャ―じゃなくて、話を続けたんだ。
しばらくすると、また後ろに気配を感じる。
今度はもっと強く、視線がこちらにむいているのすら感じられるようなった。
いや……あれは気配や視線なんてモンじゃないね。
れっきとした殺意だ。
俺は桐乃の耳にかかった髪を右手でそっとかき上げながら、後ろにいるそいつに気づかれないように、そっとバックミラーで確認した。
するとな……そこにはいたんだ……
黒髪の、虹彩を失った瞳を持った少女が……!
俺は一目散にその場所を去ったよ。
桐乃は驚いてたけどな、俺の顔を見て何かを察したのか、帰りはずっと静かだったな。
ん?それでどうなったのかって?
俺はアクセル全開で山道を降りていったんだが、カーブを曲がるたびに、
『きゃあ!』だの『スピードを落としてください!ブチ殺しますよ!』
だの聞こえてきて気が気じゃなかったよ。
チラッとバックミラーを覗くと、さっき見た少女が顔を真っ青にしてこちらを睨んでるしな。
結局山を降りて近くのコンビニの駐車場に車を止めた辺りから気配は無くなったけどな。
怖かったのか、桐乃が『もう暗いし、あのホテルに泊まろ?』って言ってくれたけど、桐乃が指定したホテルが寂れてて、
泊まったら血の惨劇が発生する気がしたから止めて、そのまま家に帰ったよ。
……この話はまだ終わりじゃないぜ。
次の日、気になって後部座席を見てみたらな……この手錠が落ちていたんだ。
……あのままあの場所で桐乃と一緒に楽しんでいたら、俺は一体どうなっていたんだろうな。
考えただけで寒気が走るぜ」
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最終更新:2011年11月15日 07:15