877 名前:ローカルルール追記議論中@自治スレ[sage] 投稿日:2011/12/02(金) 22:10:36.74 ID:PfvToCdk0
SS『あやせたんの人生相談所』


「なあ、あやせ」
「なんですか、お兄さん」

わたしは出来る限り声のトーンを落として、不機嫌そうに聞こえるように答えます。

だって、仕方が無いじゃないですか。
最近、お兄さんときたら、『人生相談』と称して桐乃の事ばかり聞いてくるんですからっ!

・・・もちろん、お兄さんとなんて喋りたくありません。
でも大事な親友の事ですから、仕方ないんです。
本当に、お兄さんとなんて一言だって喋りたくありませんし、会いたくもないんです。

「き、今日は不機嫌そうだな?」
「お兄さんと会ったせいです。それで、なんですか?」

ふんだ。
甘い顔なんてしてやるもんですか。

「そ、そのな?最近、桐乃のやつ、俺の部屋に来る事が―――」
「今・・・なんて・・・」
「ま、待てっ!こっ、殺さないでっ!」

お兄さんは明らかに脅えた声で、少し後ずさりしています。
こんなやさしい女の子に『殺さないで』なんて、本当に失礼ですね。
でも、さっきの発言に聞き捨てならないことが有った事は事実です。

「まさかと思いますけど、桐乃に子供の出来るような事をしてはいないですよね?」
「い、いやっ!子供は出来ないようにしてるっ!」
「そうですか。それならいいんですけど・・・」

頭の中に微かな違和感が残りますけど、気にしない事にします。
お兄さんはいつも桐乃の事になると暴走しちゃいますから。

「でも、初耳です。桐乃がお兄さんの部屋に行ってるなんて」
「まあな。あいつ、本当は結構寂しがりやだからな」
「そっか・・・」

わたしは、何故か心に少しの寂しさを感じながら答えます。

「桐乃に信頼されてるんですね」
「あ、ああ?」

ほんと、鈍感な、お兄さん。

「ところで、話を戻しますけど、相談って何ですか?」
「あ、ああ。そうだったな。ええっと・・・」

そこで、急に言葉を詰まらせてしまうお兄さん。
そんなに大事な事なんでしょうか。

「やっぱ、桐乃が俺の部屋に来たとき、外に出した方がいいのかな・・・
 いや、おまえもさっき、絶対にダメって感じだっただろ?
 それに、普通に考えりゃ、兄妹でこんなにベタベタしてたらおかしいかなって・・・」

ああ、そっか。それで悩んでたんですね。
確かに、この年でお兄さんにベッタリなんて、ちょっとおかしいと思います。

「そんなこと、ないですよ」

でも、さっきの話を聞いたら、反対なんて出来ないじゃないですか。
お兄さんがどれほど桐乃を大切に思ってるか、
桐乃がどれほどお兄さんを大切に思ってるか、分かっちゃうじゃないですか。

「桐乃がお兄さんの部屋に来るのなら、ちゃんと受け入れてあげればいいじゃないですか。
 だって、桐乃、お兄さんの事を頼りにしてるんですから、外に出すなんて言わないで下さい」
「そ、そうか。おまえがそんなに言ってくれるなら!」

急に満面の笑みを浮かべるお兄さん。
もうっ!現金すぎますよっ!

「ありがとな、あやせ。ようやく俺も決心がついたよ」
「どういたしまして。でも、あんまり桐乃を困らせるような事はダメですよ?」
「ああ。さっそく、今日桐乃が俺の部屋にきたら、ちゃんと中に出してやるからなっ!」
「もうっ、お兄さん興奮しすぎです。中に『入れる』じゃないですか。それでは失礼しますね」
「ああ、またな。あやせ」

こうして、今日の『人生相談』は終わりました。
変態お兄さんとの不愉快な時間でしたけど、桐乃の事をまた少し理解できて有意義な時間でした。



次の相談は、いつになるのかな。



End.




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最終更新:2011年12月05日 23:48