285 名前:【SS】兄貴ときりりんの山登りの旅[sage] 投稿日:2012/01/30(月) 04:50:06.83 ID:2Zpw5Dcj0
【SS】兄貴ときりりんの山登りの旅

高坂家、いつもの朝・・・

京介「えーと・・・地図とコンパス、水筒と食料、雨具にそれからー・・・」ガサゴソ
京介「バックパックやストック、どこにしまったっけなー・・・」ガサゴソガサゴソ
京介「ウェア類はこの一式でいいかなー後、必要な物は・・・っと」ガサガサゴソゴソ

ドンドン

桐乃「ちょっと兄貴!朝っぱらからうっさいんだけどっ!」ガチャ
桐乃「って、あんた何その恰好www?南極にでも行くつもりwww?」
京介「な、何言ってんだ!行くか!!登山だよ!と・ざ・ん!」
桐乃「はぁ??なんで??」
京介「早朝ランニングの成果を試そうかな・・・っと。体力に自信もついたしな。」
京介「それに最近、少し腹筋も割れてきたしw」ペチペチ

桐乃(*¬_¬)ジー
桐乃「ふ、ふーん。す、好きにすれば?」


京介「・・・結局、ついて来たのかw」
桐乃「っ!誰が指導したと思ってんの!?指導者として、生徒の出来を見るのは、と、当然でしょ!!」
京介「wwwまっ、別にいいけどよ。桐乃、お前は登山するの初めてじゃないのか?」
桐乃「え?まぁ、初めてだけど?あたしを誰だと思ってんの?」
京介「一応、今日登る山は初心者~中級者向けだけど、調子にのるなよ!?」
京介「いくら整備された登山道でも、油断は禁物。事故のリスクを高める事になる。」
桐乃「うん。ちゃんと理解してる。絶対に無茶はしないし、あ、兄貴の言う事は、ちゃ、ちゃんと聞くし。」
京介「わ、分かってるんならいいが・・・まっ、必要な装備は俺が用意したし・・・それに・・・」

京介「桐乃になんかあったら、俺は親父に殺されるからなw」
桐乃「じゃ、じゃあ、ちゃんと、ままま、守ってくれる///?」
京介「あ、当たり前だろっ///!!で、でも、手は繋げないからな。危ないし。」
桐乃「んなっ!!だ、誰も言ってないじゃん!そ、そんな事っ!!変態っ!シ、シスコンバカ兄貴っ!!」
京介「そ、そうか?とにかく、陸上に関しては素人の俺だが、登山に関しては、俺が先生だなw」
桐乃「ふ、ふん!ちゃんと、指導してよね!」


京介「まだこの辺は、勾配もゆるいな。いいか?今のうちに言っておくが、登り方には少しコツがあるんだ。」
京介「勾配がキツくなってきたらまず、膝をしっかり上げる事。それから姿勢も大事。重心移動で前へ進む。
   下半身の力だけで歩くと、すぐにバテるぞ。まぁ、陸上やってる桐乃ならすぐに慣れると思うが・・・」
桐乃「ふ~ん。なるほどね。歩幅も小さくして、全身を使って歩く感じでいいのかなー」
京介「そうだな。上半身の力を上手く使いたいのなら、ストックを使うのもアリだぜ。」
桐乃「んじゃ、使わせてもらおっかな。あっ!看板発見っ!」


京介「おっ!いよいよここから本格的な登山道になるな。ゆっくり行くから、慌てんなよー」
桐乃「オッケー。てかさ、この辺すごい苔!木にもびっしり張り付いてるw」
京介「太陽の光もあんまり届いてないしな。この木なんて、キノコ生えてるぞw」


桐乃「うわぁ~かわいいキノコw」
京介「一応言っておくけど、触るなよ~可愛くても毒キノコかもしれないからなー」
桐乃「分かってるって!『素人は見るだけにしろ!』でしょ!」
京介「それから、水分はこまめにとれよ~歩きながらでもいいからよー」


桐乃「兄貴ー!あたしの分、もうないんだけど・・・」
京介「なにー!?いつの間に!?仕方ない、俺のを少しやるからこれで我慢しろ。」
桐乃「・・・えっ!?いいの!?・・・サ、サンキュー」アセアセ
京介「川があるし、もうすぐ水場だな~そこで水分を補給しようぜ!」


桐乃「ふぅ~ここかぁ~『最後の水場』だってw」
京介「文字通りここから先は、水場はないぞ。空になった水筒やペットボトルに水を入れるぞー」
桐乃「すごーい!水が透明!キレイ~!ひゃっ!冷たっ!」ピチャ


京介「何やってんだwいいか桐乃?ここからは勾配がキツくなるからな。さっき言ったコツを忘れるなよ。」
桐乃「オッケー!」
京介「よし!行くか!」

京介「桐乃、大丈夫か?」
桐乃「うん、大丈夫。登り方のコツも掴めてきたし~」
京介「さすがは陸上部ってかw油断すんなよ~」
桐乃「もう!分ってるっての!ところでさ、兄貴あれ何?」


京介「ああ、あれは登山道の順路みたいなもんだ。雨などで地形が変わって、道が消えたりするからな。」
桐乃「ふ~ん。じゃあ、この矢印のほうに進めばいいの?」
京介「まぁ、そういうこったw」
桐乃「あっ!なんかある!」


桐乃「・・・だってwwwいっぷくしようよ~兄貴ぃ~」
京介「そうだな。たぶんこの先に、休める所があるんだろう。」
桐乃「ここかな~?ちょっとした広場に出たけど?」
京介「ここだなーそれより桐乃、後ろ見てみ?」



桐乃「うっわぁ~!こんな高い所まで来てたんだぁ~」
京介「だな~w遠くのほうに見えるのは三方五湖だなーその先には、日本海も見えるな!」
桐乃「ほんとだ!兄貴のカメラの望遠レンズでなんとか見えるwギリだけどw」
京介「うっせwおー?なんか看板もあるな。」


桐乃「夫婦松?てかさ、頂上まで1.5km!?」
京介「おお!もう半分くらいまで来てるぞ!」
桐乃「あたしからしたら、『まだ1.5kmもあんの!?』だけどねっ!」
京介「まぁ、そうカッカッすんなってw夫婦松ってどれだろ??」キョロキョロ

地元のおじさん「こんにちは~若い登山者とは珍しいねえ。」
京介「あっどうも、こんにちは。ご夫婦で登山ですか?」
地元のおばさん「そうですよ~そちらは彼女さんですか?」
桐乃「あqwせdrftgyふじこlp;ちちち、違いますっ!!」アセアセ
京介「すいませんwww妹ですw」
地元のおばさん「あらw?まぁ、仲の良いご兄妹ね~」
地元のおじさん「先程お兄さんは、夫婦松を探していたようですが・・・?」
京介「そうなんですよ。でも見当たらなくて・・・」


地元のおじさん「実は、これなんですよ。」
桐乃「あ・・・1本切られてる・・・?」
地元のおばさん「ええ。見ての通り、木の腐食が進んじゃってねぇ・・・」
京介「整備される方はいないんですか?」
地元のおじさん「もうみんな歳でね~林業する家も減ってしまってね・・・」
地元のおじさん「行き届く範囲でしかできないってのが現状ですな・・・」
地元のおばさん「そこに切られた木が、今もベンチの代わりとしてあるわよ。」


桐乃「・・・そっか・・・ちょっと座らせてもらおっかな。」
京介「じゃあ、俺も・・・」
地元のおじさん「では、我々はこれで・・・」
地元のおばさん「もうひと踏ん張りですよ!頑張って下さいねぇ~」
京介「あっ、はい!ありがとうございます!」
桐乃「ありがとうございます!お気をつけて。」
京介「俺らもそろそろ行くか~」
桐乃「たっぷり休んだしね~」

桐乃「よいしょっと!そういやあんた、あんまり息切れしてないじゃん!?」
京介「そうか~?汗は結構かいてるけどなー」
桐乃「ちゃんとスタミナ付いてる証拠でしょ?まっ、合格点あげてもいいケド?」
京介「ありがたき幸せwまぁ、お前のペースで走ってりゃ、否が応でも鍛えられるわw」
桐乃「ふんっ!言っとくけど、あたしがあんたに合わせてやったの・・って、あっ!またまた看板発見っ!」


桐乃「やっと700m!風神ってなんだろ?」
京介「確か・・昔この地域で疫病が流行ったらしいぜ。それを行脚中の僧が、石塔を山中に祀れと告げて去ったんだって。
   それで、この場所まで石塔を運び上げて供養したところ、疫病が治まったという話があるらしいぜ。」
桐乃「こんなとこまで!?昔の人はすごいね。」

京介「これか・・・周囲の木が切り払われてて、ひっそりと佇んでるな。」
桐乃「ねぇ、兄貴?・・・手を合わせて行こ?」
京介「そうだな。ついでに掃除もして行こうぜ!落ち葉だらけだし。」
桐乃「そだねwあっ!?お供え物がある!さっきのご夫婦かな?」


京介「そうかもな。俺達も何かお供えして行こうぜ。おっ?石塔の横に何か書いてるな・・・」
京介「うーん・・『天保三年霜月建立』って書いてあるなって、天保!?」
桐乃「天保3年といえば、たぶん西暦1832年くらいじゃないかな?『霜月』ってことは11月かー」フムフム
京介「(さすが・・・)という事は、1832年の11月頃、ここで供養されたのか。」

桐乃「正面には、『国家安全悪風退散衆病悉除如意吉祥』って書いてあるよ?うっすらだけど。」
京介「全く意味分からんなwでも、漢字を見るとやっぱり病気があったってのが分かるな・・・」
桐乃「・・・落ち葉払ったら、かなりキレイになったねw」
京介「じゃあ、最後に手を合わせて行くか!」


桐乃「ちょ、ちょっと!兄貴!!なんか前が開けてきたんだけど!」
京介「おお!!もうすぐ頂上だな~」


桐乃「わぁ~すごい!!原っぱ?何?ここ?」
京介「これは尾根だなー!尾根は歩きやすいし、道も分かりやすい。そして何より・・・」
京介「絶景が拝めるって事だっ!!」


桐乃「うわぁぁ~たっかーい!すんごい眺め!!」
京介「だろ~wそうだ!山の方に向かって『あれ』やってみw?」
桐乃「あれ??」
京介「山と言えば、これだろっ!!(ノ ゚Д゚)ノ <ヤッホー!!」ヤッホーヤッホー
桐乃「うはwwwやまびこかぁ~www」ニヤッ

桐乃「んじゃ、あたしも・・・(ノ*゚Д゚)ノ <シスコンバカ兄貴ー!!」シスコンバカアニキーシスコンバカアニキー
京介「ぶふぁっ!!な、何言ってんだ!?やめろっ!嗚呼・・あんな遠くの山の方まで・・」シスコンバカアニキーシスコンバカアニキー
桐乃「wwwww」
桐乃「あー面白かったw」スッキリ

京介「・・にしても、時期が遅かったなー秋だったら、ススキの草原が広がってるんだが・・・」
桐乃「でも、まだ少し残ってるとこもあるケド?」


京介「ほんとだ。でも、もう冬だし仕方ないかー夏だったら、生い茂った芝生に弁当を広げてゴロゴロ出来るんだぜw」
桐乃「へぇ~wあたしもあったかくなったら、あやせと公園にでもピクニックに行きたいな~」
京介「芝生での昼寝は最高だぜw・・ん?・・ちょっと雲行きが怪しいな・・・ほら急ぐぞ!もうすぐだ!」
桐乃「あんた寝過ぎだってばwwよっし!待ってなさいよ!頂上!」

京介「・・・桐乃、着いたぞ・・・っ!!」
桐乃「ほんとっ!?あっ!!なんか立ってる・・・もしかして!!」


桐乃「とーうちゃーくっ!!やったぁー!!さすがのあたしも疲れたぁ~」
京介「初登山で初登頂、おめでとう!桐乃!!お疲れさんっ!!」


桐乃「(`・∀・´)エッヘン!!」ドヤッ
京介「こらこらw登るのやめろw」


桐乃「いいじゃん別に!って標高842m!?どうりで高いはずだっつーの!」
京介「そう考えると、富士山の高さが身に染みてよく分かるなw」
桐乃「ほんとw超初心者のあたしでは富士山なんか絶対無理っ!見るだけでいいわw・・・あれ?何この石?」


京介「ああ、これは『三角点』と言って、簡単に言えば測量に使う時の基準みたいなもんさ。」
京介「登山の好きな人の中には、三角点を目標にする人も多いみたいだぜ。」
桐乃「ふ~ん。測量だけでなく、登山者も基準にしてるんだ。」
京介「・・・天候が怪しい・・・名残惜しいがそろそろ行くぞ!」
桐乃「・・・え!?」

京介「桐乃・・・まさか頂上に、沙織がヘリコプターを用意して待ってるとでも思ったか?」
京介「それとも・・・黒猫が黒魔法でテレポでもしてくれるとでも思ったか?」
京介「それともなにか・・・?あやせがなんとかしてくれるとでも!?」

桐乃「あ、兄貴・・・ま、まさか・・・っ!!」
京介「自力で登ったら、自力で下りる・・・っ!!それが『登山』だっ!!」キリッ
桐乃「うへぇ~」


兄貴ときりりんの山登りの旅 終


ロケ地:福井県若狭町 三十三間山
※きりりんのような軽装での登山は絶対にしないで下さいw

次回予告






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最終更新:2012年02月02日 23:36