103 名前:【SS】リップグロス[sage] 投稿日:2012/02/14(火) 23:46:34.89 ID:Dmwgyzlc0
【SS】リップグロス
桐乃「あんたにこれあげる。」
京介「……なんだこれは?」
桐乃「チョコレートで出来たリップグロス。一応義理チョコ。」
京介「……義理チョコはわかった。だが……それをおまえは俺にどうしろと?」
桐乃「自分で自分の唇に塗ってペロペロすれば?」
京介「しねーよ!俺が自分に塗ってる姿とか想像しただけで気持ち悪いだろ!!」
桐乃「…………。うわっ、キモっ!あんた変態じゃないの?」
京介「ぶっ飛ばすぞこのヤロウ!!
……こんなの貰ってもしょうがねーから返すわ。」
桐乃「一度あげた物引っ込めるとかあたしの尊厳が許さないっての!ちゃんと受け取りなさいよね!」
京介「……わかったよ。……ありがとな。」
桐乃「じゃあ早速だけどここで使ってみて。」
京介「だから使わねぇって言ってんだろ!」
桐乃「それ最後の一つでさ、あたしも味見してないんだ。だから感想聞かせなさいよね。」
京介「なんだよ、じゃあやっぱ返すわ。」
桐乃「だ~か~ら!ダメって言ってんじゃん!」
京介「……今じゃなきゃ駄目なのか?」
桐乃「ダメ。今じゃなきゃ。」
京介「……あ~……じゃあおまえに貸してやるから自分で塗って味見してみろよ。」
桐乃「それもダメ。あんたが先に使わなくちゃ意味ないし…………。」
京介「はぁ?『先に使わなくちゃ意味ない』?」
桐乃「あわわわ!なんでもないつーの!!……あっ、そうだ。あんたがあたしの唇に塗ればいいんじゃん?」
京介「な、なに言ってんだおまえ!妹の唇にリップグロス塗るとかありえねーだろ!」
桐乃「なに興奮しちゃってんの?キモ。やっぱシスコンは妄想もぶっ飛んじゃってるんだ。」
京介「興奮なんてしてねぇ!……よしわかった。塗ってやる。唇出してみろ。」
桐乃「……うん。せっかくだから綺麗に塗ってよね。」
京介「(……とは言ったものの超恥ずかしいんだが……。てゆーか可愛い唇してんのなこいつ……。
全然荒れてなくてツヤツヤしてやがる……。塗ってる感触とかスゲー柔らかいし……)」
桐乃「(……とは言ったものの超恥ずかしいんですケド……。てゆーか顔近い……。
ヤバっ、あたし今顔赤くなっちゃったりしてないよね!?
……あ……っ……でも……なんか……すごい……気持ちいい……。
他人にリップグロス塗ってもらうなんて仕事じゃいつもの事なのに……。)」
京介「……ほら、塗り終わったぞ……。」
桐乃「……あ、ありがと……。」
京介「じゃあ俺、部屋もどるわ。おまえも俺に見られてたら味見できねえだろ?
俺もリッツかなんかに付けて食べてみるわ。」
桐乃「ま、待って!……あのさ、これあんたにあげたチョコじゃん?
このままだとあたしが先になっちゃう……。だから……」
京介「……だから?」
桐乃「……だから先にあんたが食べる権利があると思うんだよね……。だから……」
京介「……だから?」
桐乃「もう!バカっ!ここまで言ってもまだわかんないワケ!?
あたしの唇に塗ってあるチョコ、先に舐めていいっつってんの!!」
京介「な、な、なに言ってんだ!できるわけねーだろ!!」
桐乃「なにあんた、あたしのあげたチョコは食べられないっての?」
京介「いや……そういう意味じゃなくてだな……」
桐乃「じゃあさっさとしなさいよ。ほらっ!……ん。」
京介「(……なに目つむってんだよ……。これじゃまるでキ…キスするみてーじゃねーか……。
……それにしても……やっぱこいつ……可愛いよな……。
……さっきチョコ塗ってる時、唇……柔らかそうだったな……。
……………………。
ええい、くそっ!もうどうにでもなれってんだ!!)」
桐乃「(やだ……あたしってばなに目つむっちゃってんの!?
これじゃまるでキ…キスして欲しいみたいじゃん!?
シスコン極めた京介のことだからホントにされちゃうカモ……。でも……もう後には引けないし……。
……………………。
ええい!もうどうにでもなれっての!!)」
京介「……じゃあ……いただくぞ。」
桐乃「……うん……。」
京介「(……やべ……スゲー柔らけぇ……。ちょうど人肌で温められたチョコが滑らかで……
溶けだしたチョコが……唇と唇を繋いでくれて……桐乃の体温が直接感じられるっつーか……。
甘くて……それでいてほんのりビターで……
とにかく……俺はこんなに美味いチョコレートを食った事が……ねえ……。)」
桐乃「(ひゃん!ホントにキタ!…………て…ゆうか……なに……これ……超……気持ち……いいん……です……ケド……。
さっき……塗ってもらった時もよかった……ケド……溶けだした……チョコが……
滑らかで……京介の……唇が……優しく……て……体温が……直接伝わって……くるっていうか……
なんだか……頭が……ぼーっと……して……きた……。)」
京介「……………………。」
桐乃「…………ど…どうだった……?」
京介「……スゲー気持ちよかった……。」
桐乃「……あたし……も……。じゃなくて!チョコの味!」
京介「お、おう……。スゲー美味かったぞ……。」
桐乃「ホントに?あたしも味見したいな……。あっ、京介の唇にもチョコ付いちゃってる。
……ん……っ……。
うん……結構いけるカモ……。」
加奈子「……てとこで目が覚めちまってヨ。
なんか加奈子『うへぇ!うへぇ!』を連発しながらうなされてたみてーでサ、
姉貴が慌てて起こしたんだと。なんだよ、うへぇ!うへぇ!ってw
でもよ~、最近のあいつらならやりかねなくね?なぁあやせぇ。」
あやせ「…………加奈子。悪いけど、(ピー)んでもらうね。」
加奈子「あやせ~、ジョウダンは顔だけにしとけヨ~。なんで加奈子が(ピー)ななきゃなんねーんダヨ?
……えっ?……マジ?や、やめろヨ!つかそんな日本刀どっから―――」
桐乃「……ってとこで目が覚めちゃってさ~。」
京介「…………おまえが何を言ってるのか分からねーよ……。」
桐乃「加奈子があやせに(ピー)されなくてよかったって話じゃん?」
京介「そ…そうなのか……?そりゃよかった……な……。」
桐乃「で、今日バレンタインって思い出したんで、あんたにこれあげる。」
京介「……なんだこれは?」
桐乃「チョコレートで出来たリップグロス。」
~終~
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最終更新:2012年02月16日 07:01