425 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/02/18(土) 21:00:16.99 ID:Vf0adS8C0 [4/4]
SS『断末魔』




「なぁ、加奈子・・・
 起きろよ・・・なあ、目を覚ましてくれよ」

俺は、俺の隣で動かなくなった加奈子に声をかけ続ける。



あやせに埋められてから、もう6時間。
はじめのうちは二人で色々と喋っていたんだが、加奈子は見る見るうちに憔悴しきってしまった。
スイーツ漬けの生活を送ってきたコイツには、耐乏生活なんて不可能に決まってたんだよ・・・

だけど、こいつは桐乃の大事な友人だ。
加奈子が本当に物言わぬ屍にならぬよう、俺はしゃべり続けなきゃならねーんだ。

「そもそも、なんで俺たちが埋められなきゃなんねーんだよ?なぁ、加奈子?」

加奈子はピクリともうごかねー

「大体、あやせはいつもこうなんだよな。
 俺の話を全然聞きやがらねーし、すぐ俺たちを埋めようとするしよ?」
「うっ・・・」

おっ?

「気がついたか?加奈子」
「あ、ああ。ってか、加奈子、気ィ失ってたのかよぉ?」
「ああ。危ないところだったぜ?」

本当に・・・本当によかった・・・
桐乃の親友が助かったのもそうだし
・・・・・・・・・まあ、あの悪魔が殺人罪に問われなくて済む事も良かった事にしておくか・・・

「つーかぁ、加奈子ぉ、なんで気ィ失ったんだっけ~?」
「そりゃおまえ、埋められて6時間。相当辛くなってきてたんだろ?」
「ん~・・・そっかぁ?なーんか全然チガウ理由っぽいんですけどぉ?」
「ま、どちらにしたって、全てあの悪魔が悪りぃんだ」
「そぉだな!」

加奈子のやつ、顔色もだいぶ良くなってきたし、この調子なら一日くれー我慢できるよな?
桐乃でも、親父でも・・・最悪赤城でもいいから、それまでに見つけてくれよな?

「そーいやよぉ?きょ~すけぇ?」
「ん?何だよ、加奈子」
「そもそもぉ、なんで加奈子たち埋められてんだよぉ?」

おいおい、そんなことまで忘れちまったのかよ?
よっぽど酷いショックを受けたんだな・・・

「正直、おまえはとばっちり」
「とばっちりかよぉっ!?」

ほんとに、あやせのやつ、加奈子まで巻き添えにするこたぁねーだろうによ?
分かるぜ、加奈子。お前の気持ちがよ。

「で、話せば長くなるんだが・・・」
「ま、待てっつーの、加奈子ぉ長い話キライっつーかぁ―――」
「そもそもだ、俺と桐乃がいちゃいちゃして、何の問題があんだよっ!!!」
「ちょ、ちょい・・・きょーすけ?」
「大体だな?俺と桐乃は兄妹なんだからな?ラブラブデートだって当然の事だし、キスだってしたっていいじゃねーかっ!!!」
「う、うわぁ・・・」

何故か青ざめる加奈子だったが・・・
まぁ、あやせを怖がってんだよな?

「大体なぁ?この間のバレンタインデーだって、俺は桐乃とエッチな事してただけなんだぜ?
 それを、『桐乃の体(なか)、あったかかったよな』ってあやせの前で口走っただけで―――」



その日、荒木山から加奈子の断末魔の叫びが日本中に響き渡ったと言う



End.




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最終更新:2012年02月25日 07:48