593 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/02/19(日) 23:44:11.17 ID:muyPQZuD0
SS『星くずうぃっちメルル』※例のシーンの裏話妄想
『星くずうぃっちメルルぅ~~~はっじまっるよぉ~~~~~~!』
『うぉぉぉぉぉぉぉ!!!』
ステージの上からは、あの般若面(くらら)の声が響いてくる。
そして、あのキモオタどもの怒声も。
「つぅかぁ?加奈子の方がぜってーカワイイっつーのに、なんだよあのキモオタどもわぁ?」
「か、かなかなちゃん、ダ、ダメだよ・・・」
「加奈子がステージに立てば、『かなかなちゃん可愛いよ!』とか言ってやがんのによぉ?
なーにが『世界一可愛いよ!』だっつーの!」
「はいはい。加奈子も可愛い。それでいいでしょ?」
面倒くさそうに話を打ち切りやがったのは、悪魔(あやせ)
こんなトコまで『お目付け役』気取って付いて来やがってよぉ?
少しは加奈子のコト信頼しろっつーの。
「で、なんだってんだよ?」
「今日は一段とお客さんも多いし・・・その、大丈夫?加奈子」
「はっ!たりめーだっつーの!」
「そう?それならいいんだけど」
「つーかよぉ?加奈子が居るからぁ、ファンの人もいっぱい来てくれるっていうか~?」
「そうだね。(・・・ちょっと悔しいけど)」
「あん?あんだって?」
「何でもないよ。加奈子は偉いねって」
ったくよぉ?ほんとに保護者気取りでめんどーなんですけどー?
それでもぉ、確かに色々助けてもらって感謝もしてるけどよぉ?
・・・ぜってー口に出してはやんないもんね。
「で、でも、かなかなちゃん、本当に偉いと思いますっ」
「そ、そうなの?ブリジットちゃん?」
「はい!あやせ様の前だとあんな感じですけど、
ステージに立ったかなかなちゃんは、とってもまじめですごくってかっこいいですっ!」
「そんなホントのこというなよぉ?」
恥ずかしいっての!
『それじゃあ一曲目ェ~、菜々ちゃんのinnocent meteor行っくよぉ~~~!!!』
ステージからは、相変わらずの地響きが伝わってくる。
アタシたちの出番はもうちょっとだな。
別にキンキョーしてるわけじゃない。
ただ、お客さんに楽しんでもらえるよう全力を出す。
ちょっと、その気持ちの準備をしてるだけ。
たぶん、アイツだってちゃんと帰って来て見てくれてるだろうし。
「かなかなちゃん。ね、客席をちょっと見てみませんか?」
「あぁ?本番前だろぉ?テメー、人数の多さにビビッてもしらねーぜェ?」
「う、うん!でも、突然本番になると、もっと緊張しちゃうし・・・」
あー、もうしゃーねーなぁ?
加奈子にぃ、ついてきて欲しいってんだろ?
それに・・・
「うっし!ちょい見に行くかぁ?」
「加奈子?ちゃんと時間には戻るようにね?」
「だいじょうぶだっての。袖のところからちょっと見るだけだっての!」
「・・・お客さんに見えないように気をつけてね」
「はいはい。わかってるっての。んじゃぁ、いくか?」
「うん!」
ステージ袖のからは、ステージで歌うアルファ・オメガの声優さんと、それに熱狂するキモオタどもが良く見える。
あいつら、くららに「世界一可愛いよ!」とか言った後は「菜々ちゃんマジ天使!」かよ?節操ねーんじゃね?
「すっ、すごい人・・・」
で、さっそく青ざめるブリジット。おまえももっと慣れろよなぁ?
「心配すんなってぇ」
「で、でも・・・」
ガクガクとひざを震わせるブリジットがあまりにも可哀想だったから、仕方ねーからちょっと手を握ってやった。
「おまえ、ちゃんと実力ついてんだからよ?」
「・・・」
「だいじょうぶ。練習どおりにやりゃ、完璧だっつーの」
「う、うん・・・」
まったくよぉ・・・世話の焼けるヤツだぜ。と―――
その時、一瞬。
ほんのわずかだけど、会場の後ろのほうで何かが起こった。
いや、『何か』としかいえねーくらい、小さなどよめきだけどよ?
実際、ブリジットなんて全然気づいていねえ。
でも、『何か』が起こったことに、アタシは気がついた。
何かあったら不味いし、アタシはその周辺をよくよく見てみる・・・
(あっ・・・)
アイツが、会場に戻って来てくれた。
アタシを見に、戻ってきてくれた!
でも、アタシの目は、アイツの隣の女の子を捉えてしまう。
遠くて、はっきりと顔は見えないけど、多分とても可愛い・・・
ううん、凄く可愛くって、加奈子なんて太刀打ちできない・・・
その娘は、綺麗な色のドレスを着て、京介にすごくお似合いで・・・
京介と、手を、繋いで・・・・・・・・・
「かなかなちゃん?」
「か、加奈子、どうしたの?」
気がついたら、ブリジットとあやせのやつが、心配そうにアタシを見つめていた。
「ん?なんでもないっての。ちょっと会場の空気に当てられただけっていうかぁ?
つーかぁ、そろそろ出番のはずだしぃ、なぁ?ブリジットも準備出来てるよなぁ?
まー、この加奈子サマのステージなんだしぃ、成功間違いなしっていうかぁ?
・・・てゆーかぁ、そんな辛気くせー顔すんなよ。もうすぐ出番だぜぇ?」
「加奈子・・・涙・・・」
『つぎはぁ~~~、おまたせっ!めてお☆いんぱくとっ!
メルちゃん、アルちゃんが、会場にもきてくれましたぁ~~~』
「ってことでェ、ほれ、ブリジット?いくゼェ!」
「え、えぇ・・・?」
「グズグズすんな、出番だぜぇ?」
「は、はいっ!」
アタシはそれでも、アイツのため、アイツの『カノジョ』のため、アタシを見に来てくれるみんなのため。
大歓声の中、ステージを駆け抜ける。
『星くずうぃっちメルルぅ~~~はっじまっるよぉ~~~~~~!』
End.
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最終更新:2012年02月25日 07:50