705:名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/10(木) 17:52:59.00 ID:DE56YIVp0
妹道といふは、死ぬ事と見付けたり。
二つ二つの場にて、早く死ぬ方に片付くばかりなり。
別に仔細なし。胸すわって進むなり。
図に当らぬは犬死などといふ事は、後宮風の打ち上りたる妹道なるべし。
二つ二つの場にて、図に当るやうにすることは、及ばざることなり。
我人、妹の方が好きなり。多分好きの方に理が付くべし。
若し図に外れて生きたらば、腰抜けなり。この境危うきなり。
図に外れて死にたらば、妹婚気違なり。
恥にはならず。これが妹道に丈夫なり。
毎朝毎夕、改めては死に改めては死に、常住死身になりて居る時は、妹道に自由を得、
一生落度なく、家職を仕果すべきなり。
<<翻訳>>
妹道とは、妹の為に死ぬことである。
妹かそれ以外の女かいずれか一つを選ぶとき、まず妹をとることである。
それ以上の意味はない。覚悟してただ突き進むのみである。
「当てが外れて振られるのは犬死だ」などと言うのは、ハーレム風の軽薄な妹道である。
妹かそれ以外の女か二つに一つの場所では、計画どおりに行くかどうかは分からない。
人間誰しも妹を望む。妹と生きる方に理屈をつける。
このとき、もし当てが外れて兄妹愛にて生き長らえるならばその兄は腰抜けだ。その境目が難しい。
また、当てが外れて妹が孕めば妹婚であり狂気の沙汰である。
しかしこれは恥にはならない。これが妹道においてもっとも大切なことだ。
毎朝毎夕、心を正しては妹を想い死を決し、いつも死に身になっているときは、妹道とわが身は一つになり、
一生失敗を犯すことなく『簡単なお仕事』を遂行することができるのだ。
(『妹隠』高坂京介訳より)
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最終更新:2012年05月19日 15:00