144 :名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/16(水) 18:01:46.97 ID:p08vqwOv0
『裸エプロン』
「ねぇ、京介、起きて・・・」
まだ半分夢の中に居る俺の耳に、可愛い妹妻の声が聞こえてきた。
「なんだよ、桐乃。もう少し寝かせてくれよ」
「だって、もうお昼前じゃん。ほら、ちゃんと起きて!」
桐乃は尚も寝ようとする俺の腕を掴み、引っ張りあげる。
どうでもいいが、桐乃。あたってるぞ?
桐乃に引っ張りあげられてようやく目が覚める。
周りを見れば、見渡す限りに妹グッズが置かれているマンションの一室だ。
「休日だからって、そんなダラダラしてちゃダメって言ったでしょ?」
「まあそうだけどよ?つーかおまえ、なんでそんなに口うるさいわけ?」
「はぁ?そりゃ、あんたの奥さんだもん」
当然のように答える桐乃。いや、当然のように、じゃなくて当然だな。
そうだ。ここは俺と桐乃との愛の巣って言えばいいんだろうか。
桐乃と結婚した俺は、桐乃と二人暮らしを始めたんだった。
「ほら、さっさと立って。リビングにいるからね?」
「ああ、分かった」
まだ昼飯の支度の途中だったのだろう。桐乃はさっさと出て行ってしまった。
よしっ、ちゃんと起きるかっ!
立ち上がって、部屋を出る。
俺の部屋は通路をはさんで、リビングとは反対側だ。
いったん玄関に向かい、放置されたままの新聞を取る・・・と。
ふと視線をずらすと、玄関にドンと設置された『らぶどーる』が目に付いた。
もちろん、桐乃と寸分違わぬ仕様だ。
言うまでも無いことだが、俺が買ったんじゃねー。桐乃が買ってきたんだ。
・・・・・・・・・桐乃が居ない時にしかつかってないよ?
名残惜しいが、桐乃を待たせてはいけない。
慌ててリビングに向かう。
リビングでは、鼻歌を歌いながら桐乃が昼飯をつくっている。
味も美味いし、桐乃が楽しそうにしているところを見ているだけで気分が良くなってくる。
エプロン姿も似合っているし、揺れる尻がまぶしすぎる。
だが、それにしても・・・
「やっぱ、なんか足りねーな?」
「何よ」
ジト目で見てくる桐乃だが、たまには強気で出てもいいだろ。
「いや、おまえって世界一可愛いし気立てもいいし、俺にはもったいないくらいだけどさ」
「あっ、あたりまえじゃん!」
「今のおまえには、足りないものがある!つーか余分なものがある!」
「・・・はぁ?」
嬉しそうに身をくねらせた桐乃だったが、一瞬で不審者をみるような目つきに変わる。
つーか、わかんねーかなぁ?
男にとって、非常に大事な事なんだが・・・
「そういや、いつぞやの一つだけお願いを聞いてもらう権利、まだ使って無かったよな?」
「えっ!?う、うん・・・そうだけど?」
よーし、これでおっけー貰ったようなもんだな?
言うぞ?言っちまうぞ?
「桐乃・・・裸エプロン見せやがれください!」
「・・・う、うん・・・いいよ」
ま、マジっすか!?
これで、夢にまで見た桐乃の・・・は、裸エプロンがっ!
というか、器用にエプロン着ながら服を脱いでるしっ!?
「その代わり、人生相談っ・・・!」
「・・・マジっすか・・・」
「そ、そのっ・・・そろそろ・・・欲しいなって・・・」
「き、桐乃ぉぉぉぉーーーーーっ!」
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「・・・あ、あれっ」
ふと目を開ければ、そこはいつもの俺の部屋。
・・・・・・って夢オチかよぉぉぉぉぉ!?
いやっ、ゆ、夢オチで良かったっつーか、なんつー夢を見てしまったっていうか・・・
俺は一体桐乃に何をさせようとしてんだよ!
つーか、その後何をシたんだよっ!
何にしても、早々に着替えを行わなくてはならないようだ。
「って、なんか妙に寒いんだが・・・」
「あっ、起きた?」
目の前にはやたら赤い顔をした桐乃が居た。
俺、まだ夢の続きでも見てるんじゃねーだろうな?
「というか、桐乃さん?そのスマホは?」
「録音と写メ撮った」
は?写メ?
「あ、あんたが悪いんだからっ!あんたが寝言で・・・かエプロンとかっ!キモいこと言うからっ!」
自分の現状を正確に把握できるよう努めてみる。
今は12月初旬、一人暮らしを終えてすぐで、俺は自分の部屋で寝ていて、妙に体が寒い。
確かパジャマを着ていたは・・・ず!?
「ま、待てっ!なんだ、この俺の格好は!?」
「だ、だからっ!は・・・かエプロン・・・」
「何故こんなことにっ!つーか、ぱんつだけは脱がさなかったのをどう評価すればいいっ!?」
「生ぱんとかまだ無理だしっ!それにっ、あ、あんたがっ、あたしに・・・着せたいみたいだしっ!」
・・・そーいや、録音とか言ってたよな?
俺、もしかして、寝言で・・・それって、マジやべーんじゃ?
「どんだけ恥ずかしいかっ!あんたにも味わわせてみたのっ!」
「だからって脱がすんじゃねーよっ!?」
こいつもとんでもねーことしやがるな・・・
だが、今は、それ以上の優先項目がある。
まずは着替えないと、羞恥心で死んでしまいそうだぜ!
「とにかく、おまえの言いたい事はよく分かった」
「・・・ふ、ふんっ!」
「だがら、よく分かったから、服をわたしやが・・・ってください」
「えっ?」
そこで、桐乃はポカンとした表情になる。
(あどけなくてむちゃくちゃ可愛いんだけど)
俺が何を言いたいのか分かってねーような・・・
「えっと・・・その・・・」
「お、おい・・・」
「お母さんが全部洗濯に出しちゃったよ?」
「・・・・・・・・・・・・は?」
待て待て待て、服を、全部、洗う?
何故?why?どうして?
「あんた最後の一ヶ月、誰も世話してくれないからってあんまり洗濯してなかったでしょ?
だから、他の服にも匂いが付いて・・・」
「せ、せめて下着の一着くらいっ!」
「し、下着はあたしが回収したからっ!」
ま、マジかよ・・・全部洗濯機の中かよ・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・し、死にてぇ・・・
「で、でも、あんた、ぱんつははいてるじゃん?今日一日くらい、外に出なけりゃ大丈夫じゃない?」
ふっ、女には分からんよな、この無性にやるせない状態は・・・
だが、このままはき続けるわけにもいかない。
迷いに迷った末、俺は――――――
その日一日を、裸エプロンで通す事になった・・・・・・・・・・・・
これ、本当に恥ずかしいのな!
エロゲーで女の子が頬を赤らめる気持ちが良く分かった気がするぜ!
それになぜか分からないが、一日中桐乃は付いてまわるし、乾燥機は故障して、乾くまで時間はかかるしっ!
もう、やだっ!こんな家っ!!!
だが、これで、一つの願い事を何に使うかは完全に決定した。
いつかぜってー、俺の前で一日中裸エプロンで過ごさせてやるかんな!
覚悟しとけよっ!桐乃っ!
End.
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最終更新:2012年05月19日 15:29