743 :名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/23(水) 21:46:10.79 ID:3j891z3s0
SS『kiss x sis』
夜の11時を廻ったころ
あたしはいつものように、京介のベッドのに座りながら京介の勉強を見ていた。
とても良い匂いのするベッド。
甘い匂いに眠気を誘われてしまうけど、まだ寝ちゃうわけにはいかない。
ふぅ、と一息ついたタイミングに、あたしは京介に声をかけた。
「ねえ、京介」
「・・・なんだ?桐乃」
「勉強、終わった?」
「ああ。今日の分は、な」
大学に入ってからも、京介は勉強の手を休めない。
必死で頑張って、皆に認めてもらおうとする京介を、あたしは誇らしく思う。
自分のためだけじゃなく、あたしの為にも頑張ってる京介を、あたしはとても愛おしく思う。
そんな京介の邪魔をしてはいないだろうか、そう不安に思う事もちょっとある。
でも、いつもどおり、ここからはあたしたちの時間。
あたしたちが、初めて決めた、二人だけの約束の時間・・・
と言っても、けっしてえっちな事をするわけじゃない。
こいつは超シスコンの上に、妹の体に欲情する変態なんだけど、
あたしも京介も、完全に独り立ち出来るまでは、えっちな事はしないって決めてくれたんだ。
まあ、本音を言えばもっと―――じゃなくって、
どこまでも真剣にあたしの事を考えてくれた結果だもん。
反対なんて出来るわけがない。
気が付けば、勉強道具を片付けた京介が、
あたしの目の前まで近づいていた。
「桐乃?」
「何よ」
「その・・・なんだ・・・」
相変わらずはっきりしないやつ。
たまーにカッコイイとこ見せてくれるけど、あたしの彼氏はいつもこんなだ。
はっきりいって、超感謝してほしいんだよね!
こんなドンくさい彼氏なんて欲しがるの、あたしの他に―――ま、まあ何人か居た気もするけど
それでも、あたしくらい可愛い彼女に愛して貰えるなんて、普通じゃありえないんだから!
つかさー、ホント鈍感すぎなんだよねー、あたしの彼氏にしてあげてんのに。
「きょ、今日も、キス、すんのか?」
「っ・・・はぁ!?」
な、なんで、今日に限って鋭いのよ!?
そもそも『今日も』って何よっ!?
た、確かに昨日も一昨日もキスしたけどっ!
でも、今週5回しかキスしてないしっ!
焦るあたしをよそに、京介はあたしの横に座って、あたしの手を握ってくる。
やばいやばいやばい!心臓がばくばく鳴って、胸がキュンとなってくる。
あたしが死んだら、絶対あんたのせいだから!
「やめとくか?」
「あ、あんたがどうしてもしたいってんなら、特別にさせたげる」
「そっか・・・そんなら」
言うが早いか、京介は、あたしの肩に手を乗せ、ぐっと引き寄せる。
ちょ、ちょっと!か、顔ちか―――
「んっ・・・」
無理矢理唇を奪われた。
マジ最悪っ!あ、あたしまだ心の準備ができてなかったのにっ!
・・・でも、京介の唇は大好き。
少し酸味のある白唇、しっとり湿って甘い赤唇。
男の人だけど、ここだけは柔らかくって、あったかくって・・・
「ふぁ・・・」
5分くらい、しっかり堪能して、お互いに離れる。
「やっぱり、あったかいな、おまえの身体」
「あんたも・・・あったかくて・・・好き」
「なっ!?」
つい、恥ずかしい台詞を口にしてしまった。
余計な事を言わせないために、今度はあたしから、キス。
こうやって口を塞いでしまえば、まるで女の子みたい。
なんにも言えなくなっちゃうんだもん。
「んっ・・・ちゅっ・・・」
さっきよりも進んだ、ちょっと大人のキス。
小鳥がついばむように、お互いの唇を唇ではさみこむ。
さっきの軽いキスと違って、お互いの粘膜が擦れあう。
あたしと京介の心の中が触れ合ってるような、そんな、キス。
妹と兄。決して触れ合わないはずの心が、重なり合っている・・・
「・・・ん・・・ぷはっ・・・桐乃?満足か?」
真っ赤な顔をして、京介が言う。
はあはあと荒い息をつきながら、満面の笑みで。
悔しいけど、京介のこんな顔を見たら、あたしも幸せな気分にされてしまう。
だから、あたしも荒い息をしながら、京介に笑顔を返してあげる。
あたしの笑顔を見たら、あんただって幸せでしょ?
ほら、そんなに顔が緩んじゃって・・・このシスコン♪
幸せなひと時。
兄貴と見つめ合える、この時間
―――でも、まだまだ全然足りないんだから!
「ちょっ!桐乃っ・・・んっ・・・」
もういちど、あたしからキス。
たぶん、キスのしすぎで頭がぐにゃぐにゃになっちゃって、それでなんだけど―――
あたしは、京介を強く抱きしめ、
京介の口の中に、あたしの舌を差し入れていた。
初めて味わう、京介の味・・・
唇の、酸っぱくって、甘い味とも違う、ちょっと不思議な味。
歯茎のあたりには、歯磨き粉の甘い味。
口の中に広がる、粘り気のある無味の蜜。
ピクピクと震えている京介の舌も愛らしい。
下の方から舐め上げてみると、京介の体がビクンと震える。
今度はどこを攻めてみよう?そう思った時、京介が反撃に転じてきた。
「んっ!?ん~~~~!!!」
いきなり、あたしの舌に吸い付かれたのだ。
逃げようとするあたしの舌に、京介は執拗に自分の舌を絡ませてくる。
もう、最悪っ!
あたしの舌に、京介の味が押し付けられる。
このシスコン鬼畜兄貴は、あたしが他の男に取られないようにするために、
自分の味と匂いを、あたしにすり込んでくるつもりつもりなんだ・・・
あたしが京介以外を見る事が出来ないようにするつもりなんだ・・・
でも、安心して。あたしが好きなのは、あんただけなんだから・・・
そんな事を考えている間にも、京介の攻撃はもっと激しくなってくる。
あたしの歯茎をねぶるように舐め上げたと思ったら、今度はあたしの口の中を犯してくる。
口の内側も器用に舐め上げ、あたしの口の中に溜まった唾液まで吸い上げる。
あ、あたし、京介に味見されちゃってる・・・
あたしの中の味まで、京介に知られちゃった・・・
さっきから殆どちゃんと息が出来てない。
真っ白になりそうな視界に耐えながら、あたしのほうから唾液を送り込む。
ねえ、ちゃんとあたしを味わってよ。京介。
京介は、それに答えるかのように、あたしの唾液を舌の上で転がして、
ゆっくり、名残を惜しむかのように嚥下した。
もう、なんかよく分からなくなってきたけど、京介にやられっぱなしじゃおさまんない。
だから、今度はあたしの番。
さっきよりもっと舌を深く絡めて、京介の中を味わいつくす。
やわらかい、ほっぺの裏。コリコリとした感じが面白い、口の底。
ザラザラとした、舌の表側。つやつやな、歯の表面。
京介の全部が愛おしい。
今度は京介から、蜜を送り込まれる
味が無いはずなんだけど、それでも、とっても甘い・・・
京介の蜜を味わって・・・
そして、ようやくあたしたちは唇を離した。
お互いに、何も言わなくても、ぴったりのタイミングで。
あたしの唇と京介の唇の間には銀色に光る橋ができ、
まるで二人の交じり合った気持ちの残渣のように、二人の間に名残惜しそうに消えていった。
でも、あたしの胸の中にある、京介の体温は暖かい。
そのまま、抱き合ったまま、時間が過ぎていった。
気が付けば、もう、夜中の12時過ぎだ。
「ここまで、だね」
「ああ。ここから先は、もっと、二人とも大人になってからな」
「うん!」
あたしは、ベッドから立ち上がり、扉を開ける。
「おやすみ、京介」
「おやすみ、桐乃」
End.
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最終更新:2012年05月25日 14:27