532 : はだかの京介【SS】前編 : 2012/06/20(水) 22:25:15.23 ID:uTsTZ+TLO
むかしむかし、あるところに、とても兄パンの好きな桐乃姫がいました。
新しい兄パンを手に入れては、それを京介王に履かせるのが姫さまの楽しみです。
ある日の事、兄パン職人を名乗るペテン師がやって来て言いました。
「わたしの名はフェイト、私はとても美しい布をおる事が出来るのです。
その布はとても不思議な布で、それで作った兄パンは、おろか者、つまり馬鹿には見えないのです」
「へえー。それは面白そう。さっそく布をおって、兄パンを作ってよ」
桐乃姫は、うれしそうに言いました。
(京介がそのパンツを履いて歩けば、家来たちが利口者か、おろか者か、すぐに見分けがつくわけじゃん)
フェイトそんは布をおるのに必要だと言って、桐乃姫にたくさんのお金を出させると、熱心に布をおり始めました。
とは言っても、本当は布をおっている様な、ふりをしているだけなのですが。
「いったい、どんなパンツ? 早く履かせたいんですケド」
桐乃姫は、その不思議なパンツを早く見たくてなりません。
そこであやせ大臣に言いつけて、兄パンがどのくらい出来たかを見にやりました。
さて、布を見に行ったあやせ大臣ですが、布をおっているフェイトそんのそばへ行ってみてビックリです。
「???」
何も、見えないのです。
ゴシゴシ、ゴシゴシ。
あやせ大臣は目をこすってみましたが、やはり何も見えません。
それに気づいたフェイトそんは手を休めると、わざとらしくあやせ大臣に言いました。
「やあ、これは大臣。どうです、見事な布でしょう。もうすぐ出来上がりますので、王さまにふさわしい、立派な兄パンに仕上げますよ」
「いや、あの、・・・うむ、そうですね。確かに見事な布です」
あやせ大臣はそう言うと、足早に部屋を出て行きました。
「困りました、姫さまに何て報告すれば良いのでしょう?」
あやせ大臣は、悩みました。大臣は今まで、うそをついた事が一度もありません。
でも正直に見えないと言えば、自分はおろか者だと言う事になり、下手をすれば大臣をやめさせられてしまいます。
それはあやせ大臣にとっては、何より辛いことでした。
そこで、桐乃姫の所へ帰ると、「本当に見事な布です。もうすぐ出来上がって、兄パンにぬうそうですよ」と、うそを言いました。
「そうなんだ、それほどまでに見事な布なんだ」
あやせ大臣がうそを言った事がないので、桐乃姫は大臣の言葉を信じました。
そして桐乃姫は、その不思議な布を自分でも見たくなり、あくる日、あやせ大臣を連れて見に行く事にしたのです。
フェイトそんが布をおっている部屋に着いた桐乃姫は、声をかけました。
「うん、ごくろうさん。ところで、例の不思議な布は、どこにあるの?」
するとフェイトそんは、大きな布を持ち上げるふりをして言いました。
「姫さま、これでございます。どうです、なかなか見事な布でしょう。たった今、完成したのでございます」
「へっ? ・・・」
何も見えないので、桐乃姫は目をゴシゴシとこすりました。
それを見たフェイトそんは、少し意地悪く尋ねました。
「あの・・・、もしかして、この布がお見えにならないとか」
その言葉にビクッとして桐乃姫は、あわてて言いました。
「いや、そんな事あるはずないじゃん。なるほど、確かにこれは素晴らしい布。うん、実に気にいった。
さあ、早く兄パンにぬってよ。もうすぐ行われるお祭りには、ぜひとも京介に履かせて歩かせたいんだよね。あはははははー」
536 : はだかの京介【SS】後編 : 2012/06/20(水) 22:30:15.82 ID:uTsTZ+TLO
そしてお祭りの日の朝、フェイトそんが完成した兄パンを届けに来て言いました。
「さあ、わたしが兄パンをお着せしますから、王さま、どうぞ裸になって下さい」
裸になった京介王に、フェイトそんは出来上がった事になっているその兄パンを丁寧に履かせるふりをしました。
履かせ終わると、そばにいた桐乃姫は、
「ほんとによく似合って、立派だよ、京介」
と、褒め立てました。
「そうか、そんなに良く似合うか。あはははははー」 京介王は、いかにも満足そうに言いました。
「さあ、新しい兄パンのうわさを聞いて、町の者も早く見たがっておる。すぐに出発させよ」
京介王は行列をしたがえると、いばって、ゆっくりと歩きました。
それを見た大勢の町の人たちは、目を見張りながら、わざと大きな声で口々に、「何て立派だろう。とても良くお似合いだ」
「さすがは王さま。兄パンが良くお似合いだ事」と、言いました。
本当は、みんな何も見えていないのですが、そんな事を人に知られたら、自分はおろか者だと思われてしまいます。
その時です。
行列を見ていた小さなかなかなが、笑って言いました。
「うわっ、キメぇ。裸の糞マネが、なんかソーセージぶら下げて歩いているしw」
その声を聞いた町の人たちが、もう一度王様の姿を見ようとした時です。
「めてお☆いんぱくと!!!」
大きな掛け声とともに、まぶしい光が王様をつつみこんで、町の人たちはみな目がくらんでしまいました。
やっと光が消え、町の人たちが王様を見てみると、
そこにはとても立派な兄パンを履いた王様の姿がありました。
「やっぱり、そうだよな。王さまの兄パンは、どこから見ても素晴らしい」
「そうだよ。何も履いてないようにしていたけど、王さまの兄パンは素敵だよ」
「ああ、それにしても王様が裸だなんてぬかしたやつはどこにいるんだい!」
でも、そのときには、かなかなの姿はどこにもありませんでした。
「ばかじゃん、なんで自分が兄パン履いてないことに気付かないワケ? マジあり得ないんですケド」
「…だがな、それを言いだしたら、桐乃もあやせも、
フェイトそんのペテンを見抜けなかった愚か者で、馬鹿ってことになってしまうだろ」
「……。」
「姫も大臣も、愚か者の王のご機嫌をとって、お追従するしかなかった。馬鹿なのは王様一人だけ、それでいいじゃないか」
「京介……」
京介王の、自分のことを思いやる気持ちを知った桐乃姫は今にも泣き出しそうでした。
「泣くなよ。それに、サンキューな。素敵な兄パンをプレゼントしてくれて」
そう言うと京介王は、桐乃姫の頭を優しく撫でながらお城へと向かうのでした。
さて、悪運の強いフェイトそんはあやせ大臣の追撃からは辛くも逃げることができましたが
天罰を逃れることはできず、えふえっくすという儲け話にはまって大損をしてしまい、長いこと苦しんだそうです。
そして、あのかなかなは、あやせ大臣に捕まって、本当なら火あぶりの刑にされそうなところを、
京介王と桐乃姫の特別の計らいで許され、それからは
宮廷おかかえの「うへぇ詩人」として、仲睦まじい王様と姫様がイチャラブを見せるたびに
穴の中からうへぇの叫びを高らかに歌い上げるのでした。
めでたしめでたし
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裸の王様のストーリーについては、こちらのサイトを参照しました
http://hukumusume.com/douwa/pc/world/01/16.htm
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最終更新:2012年07月05日 10:10