『高坂桐乃☆ファンブログ♪』 ※桐,京,御 微エロ注意
「京介くん、たっ、大変だよっ!」
至極平穏な休日。
そうであったはずの日をブチ壊しやがったのは、御鏡のヤローだった。
何故か俺に親近感を抱いてる風のこのイケメン様は、
何故か、どういうわけか、ちょくちょく俺の家まで遊びに来る習性を持っている。
大事な事だから2回も言ったわけだが、正直俺には不思議でならない。
この若さでトップデザイナーなんてリア充様は、本当なら即座に追い出してやりたい所なんだが、
毎回ピンポイントに追い出しにくい状況できやがるってわけだ。
前回は、まあ、桐乃の事だったし・・・
今回も、血相を変えて俺の家まで来るってことは、何か相当に不味い事態なんだろ?
「で、何が大変なんだよ?」
「京介くんっ!落ち着いて、落ち着いて聞いて欲しいんだけどね!」
「まず、おまえが落ち着け」
「ス、ストーカーだよっ!」
・・・ストーカー・・・ねぇ・・・
あいつ、懲りてねぇなぁ?
「とにかく落ち着けよ。沙也佳ちゃん、山から抜け出したのか?」
「さ、沙也佳ちゃん?・・・ああ、筧さんのことっ!?そっ、そうじゃなくって!」
「ああ、あれか?今度こそ本当に埋葬されて、掘り返すの手伝って欲しいとかか?」
「だっ、だからっ!新垣さんじゃなくて、桐乃さんにストーカーが―――」
「早く言えっ!つか、説明しろっ!犯人は誰だ!?
さっさとブチ殺しに行くからそいつの所に連れていけっ!!!」
「き、京介くんっ・・・く、苦しい・・・」
ハッとして、御鏡の胸ぐらをつかんでいた手を離す。
「すまん、御鏡」
御鏡は、はぁはぁと息を整えて、俺の方に向き直る。
「こちらこそ、ごめん。京介くんの桐乃さんへの愛を低く見積もりすぎていたよ。
京介くんに伝えるなら、もっと穏便に伝えるべきだったね」
御鏡は怒った風もなく、さらりと言ってのける。
発言が皮肉ではなく、本気でそう思ってそうなのが残念すぎるエロゲ脳だ。
「それはともかく、一体誰だ、桐乃のストーカーってのは!」
「ま、まあ、ちょっと待ってくれるかな。順を追って説明したいんだ」
「・・・・・・・・・分かった」
不満はあるが仕方ない。
それに良く落ち着いて考えれば今日は桐乃は部屋でエロゲーのプレイ中だ。
『あに☆ラブ』コンプに12時間かかる事を考えれば、十分な時間の余裕がある。
「昨日、浩平くんと会う機会があってね、お互いのネットサーフィン事情について話してたんだ」
・・・どこかで聞いたような話だな・・・・・・・・・っ!
「今から赤城のヤローを殺しに行く。止めるなよ、御鏡」
「ま、待ってよ、京介くん!キミは何か勘違いしてるよっ!」
「あのヤローが検索した単語・・・ゼッタイに許すワケにはいかねぇ・・・」
「だ、だから違うんだって!浩平くんが検索したのは、『高坂京介、エロ画像』だから!」
「やっぱりそうなんだな、高坂き・・・京介!?俺かよっ!?」
瞬間、背筋に冷たいものが走り、全身の鳥肌が立つ。
や、やっぱ、あのヤロー、別の意味で殺した方がよくね?
「あっ、そうそう。浩平くんが弁解してたよ。
『瀬菜ちゃんの絵を見るために必死で検索してた』って」
「いや、どっちにしろキモイぞ」
「そうかな?妹さんの事を必死になって調べようとする兄なんて、とても素晴らしいと思わないかい?」
「おもわねーよ」
「さっきの京介くんなんて、もっと素晴らしかったじゃないか」
・・・まあ、何にしてもだ。
「続きは?」
「そうだったね。結局、その検索で引っかかったのがこのサイトだよ」
そう言って、御鏡はタブレットに表示されたブログを見せてくる。
素早く覗き込む俺。
最悪の想像は外れ、盗撮画像投稿系のサイトなどではなかったんだが―――
なんでそんな物を知ってるのかについては・・・聞くな。
ともかく、そうではなかったんだが―――
『わたしの愛しい天使―――高坂桐乃☆ファンブログ♪』
「・・・・・・・・・」
「き、京介くん!?ぼ、僕には京介くんから立ち上る炎が見えるよっ!?」
自分でも激怒しているのが分かる。
ちげーよ。桐乃は俺のもんだっつーの!
そもそもなんだ!?この『ラブリーマイエンジェル』を逐語訳したようなセンスのねえサイト名は!
「で、内容は?ブログの内容はどんなのなんだ?」
御鏡は手際よく記事をスライドさせる。
すると、いくつかの写真が公開されていた。
主に桐乃の登下校の様子やモデル仕事の撮影風景などで、加奈子や宮本さん(?)なんかも端に写っている。
記事タイトルは『今日の桐乃』とか『桐乃のスカート可愛い。同じの買っちゃおうかな♪』とか
『冬服カッコいい♪』とか、そんな感じ。
ブログのプロフィール欄には『あやか』という名前と『桐乃みたいなモデルを目指してます』という記述がある。
どうやらモデル仲間で桐乃ファンである『あやか』たんという女の子が―――
いや、だまされねーぞ!
何しろ、あの時とは違う。今度は桐乃だ。
きっと『あやか』なんて名乗ったネカマ野郎がっ!!!
「ほら、写真の目線がやっぱりおかしいよね。これは明らかに盗撮だね」
大体な?桐乃が、大勢の人間に見られるってだけでも不愉快なのによ、桐乃に許可もとらず撮影だとぉ?
桐乃はおまえらのものじゃねえっての!!!
「ただ、結構近い所から撮っているのも多いんだよね」
・・・つーか、桐乃が俺だけのものになればいいんじゃね?
そしたら、こんな不愉快な気持ちも味わわなくていいしよ?
「宮本さんに来栖さん、それに多分新垣さんもいるだろうし、
盗撮があったなら気が付いても良さそうなんだけど―――」
「よしっ!決めた!」
「京介くん?突然気合を入れて、一体どうしたっていうんだい?」
「御鏡、おまえは全力をもってストーカー野郎を捕まえてくれ」
「ああ。もちろんそのつもりだよ。ただ、男って決まったわけじゃ―――」
「任せたっ!俺は桐乃の方をなんとかするっ!」
「えっ、どういうこと?ね、ねえ、京介くんっ?京介くんっ!」
わけの分からない事を言う御鏡を尻目に、俺は桐乃の部屋に向かう。
エロゲーを中断させるのは忍びないが、まあ、仕方ない。
もう、後戻りなんて、出来ないんだ。
(ちゅっ・・・)
朦朧としていた頭の中がはっきりと冴え渡る。
今、俺の唇に触れたのは・・・
「えへへ。おはよ、京介」
真っ赤な顔をした、妹妻が隣に居た。
密着してるので首から下は見えないが、それでも服を着ていないことはわかる。
「ちょっ、あ、あんたっ・・・っ!」
真っ赤な顔が、さらに真っ赤になり、まるで茹でダコ状態だ。
だが仕方ねーだろ?朝のリヴァイアサンってのはこんなもんだ。
それに、こんなに魅力的な妹と触れ合ってるんだからな。
「桐乃」
ベッドから逃げ出そうとする桐乃を、有無を言わさず抱きしめる。
そのまま、今日一日の為のじゅーでんを行ってやる。
「京介っ!・・・んっ・・・」
(ブーッ・・・ブーッ・・・)
折角の良い雰囲気をブチ壊しやがったのは、枕元に置いてあった俺の携帯。
桐乃の恨めしそうな表情が胸に突き刺さるが、御鏡からの連絡は早めに見たほうがいいだろう。
桐乃をなだめる様にキスを続けながら、送られてきたメールを確認する。
From:御鏡 光輝
件名:
本文:ストーカーの小隊がわかった
はんにんはあらg
End.
最終更新:2013年01月28日 04:45