俺と桐乃は今日も日課のネット巡回をしていた

いつも通り桐乃は、俺のすぐ隣に座って同じノーパソを見ている
こいつは既に当たり前みたいにしてるが、俺としては桐乃の巡回を横から見るだけで自分の好きなページ見られないし
なんかやたらいい匂いするから色んなものを抑えるだけで精一杯なうちに、いつの間にか頭クラクラして雲の上に居るみたいな感覚になっちまうし
スッゲー嫌で仕方ないんだが、断れないのはまぁその、なんだ、桐乃ってさ、あったかいんだよな……

とにかくそこで、このどーしよーもない悪徳商法企画を発見してしまったワケだ
おいおいっ!原作11巻でのコンプガチャネタは、自分達はこんな阿漕な商売やりませんよってメッセージじゃなかったのかよ!
あの直後にコレはねェ~~~よ!?公式は関係ないと信じたい……
と、俺はメタ全開の頭痛に苛まれまくっていたんだが、そんな事に囚われてる暇はなかった

桐乃は突然立ち上がると独り言の様に呟いたからだ
「あたし、ここ討入ってくる」
行ってくるの漢字が違ぇ!?っていうか待て待て待て、今のこいつを行かせたらヤバい!
だって絶対店員に文句言うじゃん!店員さんはカンケー無いのに!
それも絶対こいつの本気罵倒で徹底的にぶちかますって!店員さん泣いちゃう!俺だって慣れるのに半年、可愛く思えるまでには二年も掛かったってのに!

そのまま部屋を出て行こうとした桐乃の腕を、俺は大慌てで掴む
「待てって!落ち着け!」
「うっさい!これが落ち着いていられるかっての!」
こりゃマズいぞ……完全に頭に血が上ってやがる
なんとかして止めねぇといけないんだが、生憎俺にだって擁護も正当化もできやしねぇよ!
とにかく話をそらして、ええと、ええっとぉぉぉおお!

「俺が一緒に居たいんだよ!!」
「へ?」

「こんな時こそおまえと一緒に居たい!!離れたくないんだよ!おまえと居れば、んなことどーだっていいんだからよ!!」
わけわかんねぇ俺!またいつもの、頭に血が上ると自分でも分からず言葉が先に出ていっちまう!
「だから俺と一緒に居てくれよ!そうすりゃ全部良くなるんだ!今日はいい日になるんだ!!」
ちくしょう、こんなんで、桐乃を止められるハズねぇってのに!止めたいのに!一緒に居たいのに!!
「……わかった」
え?

「え、な、なんだって?」
「は?自分で言ったことでしょ。しょーがないから一緒に居てあげる。どこにも行かない」
「ま、まじ……で?……ハハ、サンキュ……っ!?」
小声でそこまで搾り出すのが精一杯だった
桐乃のやつが、俺のひざの間、俺の座ってるクッションへ腰を下ろしたからだ

「おま、急に何っ」
「何って、ネット巡回に戻るの」
「いやいやそれにっ!この体勢はマズいって!密着しすぎなんだっての!」
特に一番いけない部分がね!桐乃の尻は見るだけでも反則級の威力だってのに!
「あんたあたしを床に座らせる気?クッション狭いんだからしょーがないでしょ」
が、ガチでこのままネットやる気だよコイツ……!俺がもたねーよ?

「あんたってホントめちゃくちゃだよね~w ぷぷっ、何さっきの懇願ww」
「ううううっせ!」
「おまえと一緒に居たい!とか、妹に言うセリフじゃないよねw」
「ぐあっ、あ、あれはだなっ」
んな事百も承知だっての!
「あんた、あたしと居られるだけで、その日はもう最高の一日になっちゃうんだ?」
く、ううううう~~~~ッ!!しょーがねーじゃん!口から出てきちまったんだよ!

桐乃が笑うたび、顔のすぐ前にある後ろ髪から、紅い耳たぶや頬がちらつく
こいつは俺をからかうのが楽しくてしょうがないのだ
別にそれが超絶に嫌ってわけじゃ……ないけどよ、そんな顔真っ赤にして爆笑しながらおちょくる事はねーだろ
ちくしょう……だが、今は文句言うのを我慢してやる
間違っても振り返らせて、こっちの顔を見られるわけにはいかねぇからな

end

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最終更新:2013年01月30日 02:17