SS『終わらない大掃除!?そして・・・』




 それは、今年も残り僅かとなった夜のことだった。

「京介、ちょっと手伝って!!」

「なんだよこんな夜更けに。」

 引っ張りこまれた桐乃の部屋は「妹天国」とでも言えばいいだろうか。
 足の踏み場もないほど広げられた妹グッズ達で埋め尽くされていた。

「何やってたんだよ。桐乃。」

「大掃除。」

 それにしたって、こんな時間までやることないだろうに。
 こんなにまぁ盛大に広げて。ベッドの上まで妹で埋め尽くされていやがる。

「だって、整理してるうちになんか懐かしくなっちゃって。いろいろ見返してたら終わんなくなっちゃってさ。」

 テンプレ通りの言い訳だなオイ。まあ、俺の妹らしい言い訳といえばらしいがな。

「それにしたって、この量を片付けるとなると半日はかかるぞ。」

 以前、俺の部屋が妹天国に乗っ取られていたのを元に戻すときもそれくらいは掛かったはずだ。

「それはわかってる。片付けは明日あんたとあたしでやるとして――」



「――今日はあたし、あんたのベッドで寝るから。」

「ちょっと待て。俺はどこで寝ればいいんだよ。」

「床にでも寝れば。あ、でもあんたシスコンだから、寝込み襲われちゃうかな、コワイナー。」

 しねぇよ!まったく、俺をなんだと思ってるんだかこの妹様は。

「ったく。布団は持ってこいよ。床でも毛布巻いとけばなんとかなるだろ。」

「う、うん……。」

 なんか急に大人しくなりやがった。良くわからん奴だ。





「じゃ、あたしはもう寝るから。」

「おう、おやすみ。」

「ん、おやすみ。」



「……寒い。」

 眠れん。毛布を巻いていても、床から伝わる冷たさは消えず、俺の眠りを妨げていた。

「……桐乃?」

 返事はない。

「……フヒヒ……りんこりーん……。」

 完全に夢見心地だな。

 頬をつねってみる。

「むぃ……。すぅ。」

 安心しきった、幸せそうな顔で寝てやがる。まったく、何がそんなに落ち着くんだろうな。


「桐乃も完全に寝てるし、ちょっとぐらい温まってもバレないよな。」


 背中合わせで寝ている格好なのだが、妙に気恥ずかしい。

 ま、俺たちらしいっちゃらしいのかな。

 あ、やば……布団………でな………………と………。




 翌朝、初日の出より真っ赤になった桐乃に叩かれたのは言うまでもない。

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最終更新:2013年02月03日 21:47