432 名前:SS:2013/02/14(木) 02:05:01.09 ID:wouNF66j0
京介「明日はバレンタインか……自分で言うのもなんだが、今年は大量の予感だ」
京介「麻奈実に黒猫にあやせ……加奈子もか」
京介「…………桐乃もくれっかな…」
京介「………」
京介「……ちょっと、桐乃の様子でも見にいってみるかな」
言っておくが、決して妹からのチョコを期待しているわけじゃないぞ?
あくまでも、確認のためだ。
そこんとこは勘違いしないようにな。
京介「よし、行くぜ!!」
―――廊下
コンコン
京介「桐乃ー?」
ガチャガチャ…
京介「あれ、いないのか……」
京介「リビングかな?」
さっそくリビングへ下りてみるとしよう。
トントントン
ガチャ
―――高坂家リビング
おっ、いたいた。
京介「桐乃ー」
桐乃「わっ!な、なななに勝手に入ってきてんのよっ!?」
京介「そりゃ、リビングくらい勝手に入るだろ」
桐乃「ダメッ!出てって!」
京介「はあ?なんで?」
桐乃「なんでもいいから!」
京介「いや俺、おまえに聞きたいことが……って、あれなんか作ってんのか?」
桐乃「ちょ、見んな!」
433 名前:SS:2013/02/14(木) 02:06:33.94 ID:wouNF66j0
ゲシッ
京介「いってぇ!?いきなりなにすんだ!」
桐乃「うっさい!いいから出てけ!!」
京介「うおっ、押すなって」
ガチャ
バタン
桐乃『あたしがいいって言うまで入ってこないでよね!』
京介「……閉め出されちまった」
――――
ったく……なんって可愛くない妹様だ!
………と、言いたいところだが、俺は見た。
桐乃がいま作っていたのは間違いなくチョコ……!
あいつが、俺以外の男にチョコを渡す可能性は0%だ。
つまり桐乃は俺のために健気にチョコを作っていたということになる。
ふっ……可愛いところもあるじゃねえか。
去年にもらった石炭のようなチョコは嫌がらせだろうから今年はまともなチョコがもらえるに違いない。
うっし、テンション上がってきたぜ!!
―――京介の部屋
閉め出された俺は、ヒマになって赤城に電話をかけていた――
妹からのチョコを自慢するためでもある。
京介「―――ということでな、今年も桐乃からチョコをもらえるようだ」
赤城『そりゃ、よかったじゃないか。まあ、俺も瀬菜ちゃんからもらえるから全く羨ましくないがな』
京介「無理するな赤城。俺の妹と瀬菜とじゃ価値が違うからな」
赤城『あん?どういうことだ?』
京介「ふっ、現役モデルの超可愛い俺の桐乃と、普通の女子高生のおまえの妹ではチョコ自体の価値が違うって意味だよ」
赤城『あぁ!?てめえ喧嘩売ってんのか!?』
京介「そう聞こえてしまったか」
赤城『貴様とはもう一度、戦う必要がありそうだな……!!』
京介「望むところだぜ!!」
赤城『まあ、決着はいずれつけるとして、高坂知ってるか?』
京介「なにをだよ?」
赤城『なにやら最近のバレンタインは、友チョコやら、自己チョコ、逆チョコってのまであるらしいぞ』
京介「なんだそりゃ?義理チョコの一種か?」
434 名前:SS:2013/02/14(木) 02:08:46.79 ID:wouNF66j0
赤城『友チョコってのは女友達同士で渡すチョコらしい。自己チョコってのは文字通りだな』
京介「んじゃ、逆チョコってのは、そういうことなのか?」
赤城『そうだ、男から好きな女の子に渡すチョコのことを言うらしいぞ』
京介「………へぇ」
赤城『俺も瀬菜ちゃんになにかプレゼントしたほうがいいよな?』
京介「おまえはいつもプレゼントあげてるだろ……まあ、好きにすりゃいいと思うけどさ」
赤城『おう!さっそく瀬菜ちゃんへのプレゼント買ってくるぜ!!じゃあな高坂』
Pi…
京介「あ、切りやがった…ったく、シスコン兄貴は大変だな」
京介「……さて、俺も買い物に行くか」
まぁ、たまには桐乃のために何かしてやるのも悪くない。
俺は、とある場所へと買出しに向かうのだった。
―――バレンタイン当日
俺の予想通り、今日はチョコをもらうことができた。
あやせに黒猫に麻奈実に加奈子……全部あとでいただくとしよう。
しかし、まだ桐乃からはもらってないんだよね……早く帰ってきてずっと待ってんだけど。
よし、こうなったら俺から逆チョコを渡してやるか。
あいつもタイミングが分からなくて照れてるんだろう。
――さっさと渡してくれりゃいいのによ。
京介「よし、できたぞ…会心の出来だ」
京介「喜んでくれるといいんだけど」
京介「よし、行くぜ!」
435 名前:SS:2013/02/14(木) 02:10:21.61 ID:wouNF66j0
―――桐乃の部屋
コンコン
ガチャ
桐乃「あ…」
京介「よう!」
桐乃「なに?」
京介「いや、なにしてんのかなーと思ってさ」
桐乃「あんたもしかしてチョコ欲しくてきたんじゃないの~?」
京介「な、なな、ち、ちげー…」
桐乃「ちがうの?」
京介「違わない…」
桐乃「ぷっ…だっさー。誰からももらえなかったからって、妹にチョコおねだりにくるなんてさ~」
京介「ぐぬぬ…」
もらったよ!
今年は結構もらってるから!
と、激しく言いたかったがあえて言わないことにする。
まあ、こいつからもらわないと俺のバレンタインは終われないからな。
……桐乃からのチョコは特別だ。
桐乃「ま、入って」
京介「おう」
436 名前:SS:2013/02/14(木) 02:11:32.69 ID:wouNF66j0
桐乃「どうせそんなことだろうと思って、誰からももらえなくて寂しいだろうあんたのために、あたしがチョコ作ってあげたから」
京介「そ、そうか……」
桐乃「はい。……いちおう頑張って作ったんだから、ありがたく思いなさいよ?」
京介「おう……桐乃、ありがとな」
桐乃「ん……食べてみれば?」
京介「その前にさ、俺からもおまえにプレゼントがあるんだ」
桐乃「あんたが?あたしに?」
京介「ああ、逆チョコってやつだ」
桐乃「あ、あんた逆チョコの意味分かってる?」
京介「いや、あんま分かってねぇけど」
桐乃「あ、あっそ……で、何くれるの?」
京介「おう、これだ。コーティングするのがけっこう大変だったんだぜ?……開けてみ」
桐乃「…うん」
ガサガサ…
桐乃「あっ!!これって、中に入ってるの指輪……?」
京介「おう、あん時おまえが欲しがってた指輪があったろ?まぁ、なんだ……受け取れよ」
桐乃「うん……ありがと、京介」
京介「へっ……どういたいまして」
そして、このあと桐乃のチョコを食った俺がどうなったのか……それは言うまでもないことだ――――
~fin~
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最終更新:2013年04月07日 05:31