176 名前:【SS】:2013/04/07(日) 04:17:49.49 ID:0qwrO0EiP

「よっし、この問題も正解っと……」

 なんだか今日は調子がいいぜ。この調子なら俺、本番も楽勝じゃね?
 
 あらぬ誤解により家を追い出された俺、高坂京介は今日も勉強に励んでいるわけだが。
 ……なんでここに桐乃がいるわけ?
 さっきからおとなしく漫画読んでるだけだし、勉強の邪魔になってるわけでもないから
俺はまぁ……構わないんだけどな?

「なぁ桐乃。おまえ、ここに来てもいいの? 俺まだA判定とってねーんだけど」

 俺に目も向けず、漫画雑誌に視線を落としたままメンドくさそーに答える妹様。

「んー? もう模試は終わったんでしょ? だったらあたしが居ても結果が変わるわけじゃないし。
それにA判定、取るんでしょ?」

「お、おう。」

 そのために俺、いろんなやつに迷惑かけちまったからな。もしこれでA判定が取れてなかったら
あいつらに合わす顔がないぜ。
 とは言っても後は模試の結果がでるまでの約1ヶ月、祈るしかないんだけどよ。
 しっかし、こんだけ静かな桐乃ってのも珍しいよな……

 カリカリ、カリカリ……
 あ、くっそこの問題の答え間違えてやがる―――

「あ、あ、あ、あのさ!」

「んあ? なんだ急に?」

「あたしとポ、ポッキーゲームしなさい!!」

 ……はぁああああ!?

「な、いきなり何言ってんのおまえ!? エロゲーのやりすぎでとうとう頭おかしくなっちゃったの!?」

「お、おかしくなんかなってない! べ、別にあんたとポッキーゲームがしたいわけじゃなくて
これ最後の1本だしあんたに1本くらいあげてもいいかなって思ったけどそのままあげるのも
しゃくだしでもゲームで取られる分にはいいかなって思っただけだし!」

 いや意味わかんねーよ!

「だからほら! い、いくよ……?」

 パクリとポッキーの片方を咥えたかと思うと
 
「ん―――」

 お、俺にどうしろっていうわけ!? え、何?まじですんの!?
 前にやらされたエロゲーにこんなシチュエーションがあったような気もするが現実の
妹ととって恥ずかしすぎんだろ!?

「ん……」

 しかもおまえ顔真っ赤じゃねーかよ! 無理して恥ずかしいことしてんじゃねーよ!!
 つーか顔ちけーよ!

(ほ、ほら……はやく来なさいよ……)

 やべぇ!変な幻聴まで聞こえてきた!?

「お、落ち着け桐乃! 兄にほどこしをくれてやろうっていうおまえの気持ちだけありがたく
頂いとくから! な!?」

 とりあえず桐乃を落ち着かせようと俺は手を伸ばし……
 あの時、きっと俺もかなり焦っていたのだろう。

 パキン

「……」
「……」

 あー……

「―――っっ! あ、あんたなんてことしてくれてんの!? このあたしが最後の1本を
あんたにあげようって言ってんのよ!? それを全部だいなしにしてくれちゃってあたしが
いったい何本のポッキーで練習したと思っ―――」

「わ、わるかったよ! 折る気なんてなかったんだって!! ただ手元がちょっと狂っただけでさ!!」

 別に涙目で怒るこたねーだろ!?

「こ、こうなったら意地でもやってやるんだから! ほ、ほらいくわよ!」

 パクッ

 ってなんでよりによって短いほう咥えてんだよおまえは!?

「んー!んー!!」

「わ、わかったって! やりゃいーんだろやりゃ!?」

 くっそ恥ずかしいなんてもんじゃねーぞコレ。なんの拷問だ一体……?
 お、落ち着け俺! ただ妹から菓子をわけてもらうだけだ!

 10cm……5cm……ゴクリ。
 だんだんと桐乃の唇が俺に――。

「……なに、してるんです? おにいさん。……それに桐乃」

!!!!!!!!!!!


「あやせ!?」
「あやせ!?」

 いいいいったいいつの間に入ってきた!? 今までまったく音も気配もしなかったぞ!?

「こ、これは違うのあやせ!」
「こ、これは違うんだあやせ!」

 や、やばい。これはヤバイヤバイヤバイヤバイ……

「そう。違うんですか。 話しはゆっくりと聞かせてもらいますから――」

 ……ユラリ。スゥ―

 あやせが音もなくこちらへ近づいてくる。
 やべぇ、体が動かねぇ……
 かろうじて横目で桐乃の様子を伺うと、桐乃も俺と同じく、顔を引きつらせて固まっている。


 この後、俺と桐乃が超こえーーーーあやせさんにされたことは……思い出したくもない。


―おわり―



-----------

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2013年04月26日 20:58