895 熱・熱・コミケット【SS】前編:2013/08/13(火) 22:48:18.81 ID:sndR53dAP
20XX年夏、今年もあたしは例によって真夏のリゾート地こと、有明にいた。まあ、今までと今回はちょっと違う点がある。それは・・・
「うえーん、暑いよお!!!」
「夏だから暑いに決まってるだろ。何を当たり前のこと言ってるんだ?」
あたしの横で口喧嘩(痴話喧嘩?)をしてるのは、可愛い子どもたち。そう、今日は家族一同でコミケに来ているのだ
「こまめに水分補給をしてくださいね。もし体調がヤバそうだったら早めに声をかけて下さい」
東待機の駐車場、スタッフが何度も叫ぶ。
「このままここで何時間もいたら、みんなバーベキューになっちゃうよお」
「確かに優乃の言うとおりだな、何とかしないと」
「京介、さらっと言ってるけど何か考えでもあるんでしょうね?」
「まあ、ないこともない」
そう言うと京介は待機列に椅子をおいてあたしたちを連れ出す
「親父、なんか向こうとは別世界だな」
涼介がつぶやく。そこは一面に広がる芝生の公園。確かに、ビッグサイトの駐車場と道路1本挟んだだけで、がらっと変わる環境
「驚くのは実はまだ早いぞ」
そう言う京介の後に着いていった先にあったのは
『熱気球体験搭乗 受付』の看板が掲げられたテントだった
「どうだ桐乃、熱気球なんて乗ったことないだろ?優乃もバーベキューになったら大変だからな。これで時間を潰してみようぜ。いいだろ、涼介」
「俺は構わないよ。でも、優乃が高所恐怖症でおしっこもらしちゃうかもな」
「お母さん、お兄ちゃんを気球から落としてもいい?」
やれやれ。でもね、わかってるんだみんな
「ケンカするほど仲がいい」って
4人を乗せた気球はすっと地上を離れていった
安全のため地上とはロープで繋がれてるんどけど、それを感じないくらいに気球はどんどん空上がっていく
眼下には、先ほどまでいた待機列が小さく見える
「優乃見ろ、人がゴミのようだ」
「はいはいお兄ちゃんバルスバルス」
いつものノリで軽口を言い合ってる二人を尻目に、あたしは、実は顔が青くなりつつあった。まさか、こんなに高く上がるとは思ってなかったし・・・
896 熱・熱・コミケット【SS】後編:2013/08/13(火) 22:50:24.17 ID:sndR53dAP
ぽんっ、
いつものあたたかい手のひらが頭に当たると、あたしをやさしく撫でてくれた
「大丈夫か、桐乃?」
「うん、ちょっとね、」
「無理するなよ。とりあえず降りるまではこれで気を確かに持て」
そういうと京介はいつものじゅーでんをしようとあたしに・・・
「おい、バカップル!空の上でもちっとは自重しろよナ」
「お兄さん、これ以上破廉恥な真似をしようとしたら狙撃しますからね!」
「構わずチューしちゃいなよ、あたしは許すよ」
「ランちん、加奈子と東駐車場に埋まってみる?」
「「うへぇ」」
突如繰り広げられたドラマに下界は大爆笑の渦に包まれる
まあ、その隙にじゅーでんしてもらったんだけどね♪
今日はみんな大集合。館内に入れば黒いのと沙織がいるし、
な、なんとあの麻奈実さんが和菓子レシピ本を作って参加しているのだ
いろんな意味で熱い1日になりそう
まあ、これだけは言えるかな
「京介と一緒なら、何があっても大丈夫だから」
「まあな。俺もお前がそばにいれば安心だよ」
「ん。」
「相変わらず親父たちは熱いなあ」
「そしてアツアツバカップルのせいでわたしは一日蒸し焼きになるのでした」
----
最終更新:2013年09月14日 02:08