SS『ある夜の日常』
ふああ。
夜、リビングでテレビを見ていた俺は、大あくびをしながら時計に目をやる。
11時半か、、、。
さて、そろそろ寝るかね。
歯磨きを済ませて、階段を上がり、自分の部屋に戻る。
部屋に入って、そのままベッドに潜り込もうと布団をめくると、
「なっ!」
なんと俺のベッドで桐乃がスヤスヤと眠っていた。
思わず部屋を見回す。ま、間違いなく俺の部屋だ。
、、、、、。
ど、どうしろとゆーんだ?いったい?
このまま、ベッドに入る?
あり得ねーだろ!
妹が潜り込んでくるのもどうかと思うが、逆はもっとヤバイだろ!
ど、どうする?
しばらく考えて---。
ポンと手を打つ。
そか、俺が代わりに桐乃の部屋で寝ればいいんじゃね?
俺って頭いーな。うん。
というわけで、そのまま自分の部屋を出て、桐乃の部屋に入ってベッドにもぐり込む。
いい匂いすんなー、こいつのベッド。
とか考えてるうちに、眠気が襲ってきて、、、。
zzz、、、、、。
ぺちっ!
「な!おま!」
「あ、あんた、なに勝手に人のベッドで寝てんのよ!」
「お、おまえが俺のベッドで寝てたからだろ!」
「だ、だからって、妹のベッドで寝るとか、あり得ないし!」
「だったら、どーしろって言うんだよ!」
「じ、自分で考えれば!?」
いや、だから考えた上での行動なんだが?
はあ。、、、まあいい、自分の部屋に戻るか。
「とりあえず、そこどいてくれるか?」
「ふん。」
桐乃がベッドから降りたあと、ベッドから降りようと身体を起こすと、、、。
「ほら!早くそっちに詰めてよ!」
「は?」
「じゃなきゃ、あたしが寝れないじゃん!」
「はあっ!?」
「なに間抜けな顔してんの?特別にあたしのベッドで寝るの、許してあげるっつってんの!」
「許してあげるってなんだよ!?」
「い、いいからグチグチ言わずに、さっさと詰める!」
勢いに押し切られ、仕方なく、渋々ベッドの奥へ身体を寄せる。
「よっ、と。」
そう言って、桐乃がベッドに潜り込んでくる。
「なあ、これってやばいだろ。」
「はあ?いつもとおんなじじゃん。あんたが起きてるっつーだけで。」
「だからまずいんだろ!」
「何が?」
、、、こいつ、わかってねーのか?
「ほら、腕!」
「は?」
「あんたがあたしの枕使ってるから、あたしの枕がないでしょ!だから腕を出せっつってんの。」
「なんでだよ!」
「い、いいから!ほら!」
「うわっ、と!」
桐乃に腕を引っ張られて、無理やり布団に寝転がされる。
「これでよし、と。」
その腕を枕にする桐乃。
「あ、あのなぁ、、、。」
「さ、もう寝るよ。」
「話を聞けよ、、、。」
「聞かなーい。」
「おまえなぁ、、、。」
「あ、でも、変なコトしたらコロスから。」
「、、、はあ。」
相変わらずわがままな妹様だな、ったく、、、。
「じゃ、おっやすみー♪」
「、、、へいへい。おやすみ。」
仕方なく、こうは言ったものの。
この状況で寝ろと言うのか?無理だろ、普通。
そんな俺の胸中も知らずに、早くもすぅすぅと幸せそうな寝息を立てている桐乃。
やれやれ、、、。
こういうところはホント変わんねーな、こいつ。
そう思いながら、妹の寝顔を見つめる。
つーか、、、一緒に寝るなんて、いつの頃以来だっけ?
ま、こいつが俺のベッドにいつの間にか潜り込んでくるのは別として、だが。
ぼんやりと、小さかった頃の記憶がよみがえってくる。
そう言えば、昔はよく一緒に寝るっつって聞かなかったよなー、こいつ。
、、、って、今も変わんねーってことか。
思わず苦笑が漏れる。
、、、はあ。仕方ない、、、。寝るか、、、。
そう思って目を閉じたものの。
素直に眠れるわけも無く。
文字通り、眠れぬ夜を過ごす羽目になる俺なのだった。
、、、言っとくけど、エロいことを考えて眠れなかったとかいうわけじゃないからな。
、、、その、、、なんつーか、、、桐乃の寝言が、さ。
あー、、、つまり、その、、、夜通し、こう思う羽目になったってこった。
俺の妹がこんなに可愛いわけがない、ってな。
Fin
----
最終更新:2014年02月01日 01:30