496 名前:【SS】:2014/08/27(水) 22:36:16.95 ID:5aU45Vwf0

SS『いつもの朝の日課』



「ふあぁぁぁぁ。」

いつものように目覚ましが鳴る前に目が覚める。

桐乃が俺の制服を自分の部屋に持って行ってからというもの、毎朝桐乃の部屋に制服を取りに行くことが日課となって、普段から朝早く起きるようになっている俺だった。

服を取りに行くだけだろ、って思うだろ?違うんだよな、これが。



こんこんこんこんこん。



いつものように5回ノックする。

なんで5回なのかって?知らねーよ、桐乃がそうしろって言うんだからしょーがねーだろ?

まあ、多分、俺だって分かるようにするためじゃないかと思うんだけど。違うかな。



「入っていいよ。」



部屋からの返事がして、かちゃりと扉が開く。

以前は攻撃的だった扉も、今ではおとなしいもんだ。

「おう。」

部屋の中に入ると、桐乃がいつものように俺の制服を用意しているところだった。

「はい、コレ。」

「ああ。」

「ハンカチ、洗ったのポケットに入れといたから。」

「おう、さんきゅな、桐乃。」

「ん。」

そう言って桐乃から制服を受け取る。

「んじゃあ、着替えに部屋に戻るからよ。」

「ん。」



ぱたん。



全然時間かかってないじゃないか、って思うだろ?だからそうじゃないんだって。

さっそく部屋に戻って着替え始める俺。



「今日はネクタイか、、、。」



そうつぶやく。



というのも、桐乃から手渡される制服は、いつも決まって何かが一つ足りないのだ。

前にそれに気づいて、渡されたときに何回か指摘したのだが、



『あー、探しとく。先に部屋で着替えといて。』



ってなもんである。

こないだは上着。その前はハンカチ。その前はネクタイ。どうやら、そのローテーションとなっているようだ。



「やれやれ、しょうがねぇなぁ。」



そうこぼしながら、いつものように桐乃の部屋に戻る俺。

そして扉を開くと、いつものようにネクタイを手に持って待ち構えている妹。

「はい。ちょっとこっち来て。」

いつものようにちょいちょいと手招きしながらそう言う。

「はいよ。」



そして、、、。



「、、、よし。はい、できた、っと。」

ポンと上着を軽く手でたたく桐乃。

「だいぶうまくなったな、ネクタイ結ぶの。」

「ひひひ、まーね♪」

最初のころはネクタイを締めてるんだか首を絞めてるんだか分からない状態だったからな。

「じゃあ、朝メシ食いに行くか。」

そう言って俺はかちゃりと扉を開く。

「ほらよ。」

「うん。ありがと。」



ぱたん。



こうして、高坂家の平日の朝は、いつもどおりに始まるのであった。



Fin



ん?休日はどうなのかって?

まあ、気が向いたら今度話してやるよ。

高坂家の『ある朝の日常』ってやつをな。



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最終更新:2014年10月04日 15:45