520 名前:【SS】:2014/08/28(木) 21:32:32.67 ID:wWtJWgoZ0
SS『いつもの朝の日課(おまけ)』
こんこんこんこんこん。
、、、こんこん。
使用中か、、、。
いきなり変な流れですまない。
いつものメンバーで秋葉のショップめぐりのあと、近くにあった喫茶店に入った俺たちだったのだが。
注文を頼んでから一旦席を離れ、手洗いに向かったものの、あいにくこの状態である。
しかたねえな、席に戻るか。
「ねぇ、先輩?」
戻ってきて席に座った俺に、黒猫がそう声をかけてきた。
「ん?なんだ?」
「今、お手洗いに行ったとき、何故何回もノックしたの?」
「え?」
ああ、小さな喫茶店だから、ノックの音が聞こえてたのか。
「普通、2回くらいでしょう?あれだと、中の人も気分を悪くするのではないのかしら?」
「あ、ああ、そういえばそうだな。気が付かなかった。」
言われてみれば、確かにそうだな。これからは気を付けるとしよう。
「なにゆえ何回もノックしたのでござるか?京介氏?」
沙織がそう聞いてくる。
「いや、最近桐乃の部屋に入るときに、5回ノックしろ、って言われててさ。いつもの癖で、つい、な。」
「ほほう、なるほどなるほど、、、それで5回でござるか、、、。」
「ふふふ、それはいいことを聞いたわね。」
「へ?5回ノックするのになんか意味があんのか?」
回数で俺だと分かるようにするため、ってだけなんじゃないの?
「はぁ。あいかわらずラノベ主人公のようね、先輩は。」
「え?ど、どういう意味だ、それって?」
「さあ?どういう意味かしらね。」
そう言って話をはぐらかし、からんとお冷を口にする黒猫。
しかたなく沙織を見たのだが、、、
「むふふふふ。」
と、含み笑いをするばかり。どうやら教えてくれそうにないな、こりゃ。
「おまたせー。なになに、なんの話してたの?」
女性用の手洗いから戻ってきた桐乃がそう聞いてくる。
「いや、俺がおまえの部屋に入るときに5回ノックするって話をしてたんだが、、、なぁ、桐乃?やっぱり5回になんか意味があんのか?」
「なっ!!!」
途端に真っ赤になる桐乃。
?なんか変なこと聞いたかな?俺?
黒猫と沙織に目をやると、あいかわらず二人ともニヤニヤしている。
「先輩、実はね、、、。」
「わーっ!わーっ!わーっ!」
「なによ、五月蠅いわね。」
「あ、あ、あんたねぇ、、、。」
「何かしら?単に聞かれたから説明してあげようとしているだけなのだけれど?何か問題が?」
「何か問題が?じゃないっ!ぜったいワザとでしょ!それ!てか、わざわざあたしが戻ってきてからとか、、、性格悪すぎ!」
「ふっ、お褒めの言葉をありがとう。」
「ぐっ、、、ぎにに、、、。」
そしていつものように、ぎゃあぎゃあと言い争いが始まって、『まぁまぁ』と、沙織が仲裁に入る。
やれやれ、あいかわらずだな、こいつらは。
おかげで、聞きそびれちまったじゃねぇかよ、ったく。
そうやって、普段どおりのいつもの午後は過ぎていったのだった。
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そしてその次の日。
帰宅中に偶然あやせに出会った俺は、そのことをあやせにも聞いてみたのだが、、、。
『ふふふ、お兄さん?桐乃のときだけでいいんですよ、それ。ていうか、もし他の人にやったら、ぶち殺しますから(笑顔)』
とのお言葉。
ちなみに一緒にいた加奈子のほうはというと、
『うへぇ~w。ま、いいんじゃねーの?桐乃がそうしてほしいっつーんならヨ。』
といった反応。
う~ん、ますますもって分からん。
それがかえって気になった俺は、そのあと、ふと思いついて、御鏡にもメールを送ってみた。
帰ってきた返事は、
『幸せそうで何よりだよ。』
そのメールに『どういう意味だ?』と返信する。
すると、、、。
『ブレーキランプのサインから来てるんだと思うよ、きっと。ネットで検索してみたら?』
なんのこっちゃ、と思いつつ、携帯の検索画面を開く。
「えーっと、『ブレーキランプ 5回』、っと。」
そして俺はついに、その意味にたどり着いたのだった、、、が!!!
ぐぁぁぁぁぁぁぁっ!
き、聞きまくるんじゃなかった!
だ、誰か!
誰か、時間を戻してくれぇぇぇっ!!!
帰り道でひとり悶絶しながらも、なんとか家に辿り着いて、玄関の扉を開くと、そこに桐乃が真っ赤な顔で仁王立ち。
「あ、、、あ、、、あんた!みんなにノックの回数のこと、聞きまくったでしょ!!!」
「な!なんでそれを知ってるんだ!?」
「さっき、あやせと加奈子からメールが来たの!なに聞いてくれちゃってんのよ!」
「お、俺のせいじゃないっての!おまえがちゃんと言わないからだろ!」
「いっ!?、、、い、い、い、言えるかあぁぁぁぁぁっ!!!」
Fin
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最終更新:2014年10月04日 15:47