718 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2014/09/04(木) 21:42:11.23 ID:KXCb+YjQ0
「そういや、ぬいぐるみとか結構あるよな、おまえの部屋って」
「ん?そう?別に普通じゃん?」
「こういうのってさ、自分で買ったりすんの?」
「……」
むぎゅ。
「……おい、痛いぞ」
「むかつく」
「へ?」
「むかつくの!」
「な、なにが?」
「あんたが覚えてないのが!」
「というと?」
「ふん!自分で思い出してみれば?」
「うーん……………………わからん」
むぎゅ。
「……だから、痛いんだって」
「ふん!忘れちゃったバツだっての!」
そう言ったあとで、桐乃は両手を放して立ち上がり、棚のぬいぐるみのひとつにポンと手を置く。
「これが、あんたが縁日で取ってくれたやつ。で、こっちは、町内会のくじ引きで当ててくれたやつ。んでそっちのは、誕生日の時にお父さんと一緒に選んでくれたやつ」
あ……。
「思い出した?」
「あ、ああ。思い出したよ。それでずっと置いてあったのか」
「そ」
ぷいと横を向きながら桐乃がそう答える。
やれやれ、この分だと、この部屋の中には俺が忘れてる思い出グッズが、まだまだたくさんあるのかもしれないな。
俺は立ち上がり、ぬいぐるみのひとつを手に取って--。
ぱさっ。
「ん?」
「あ゛っ!」
「……桐乃、これは?」
「さ、さあ?なんだろ?」
「……犯人はおまえだったのか……」
「ち、違うんだって!こ、これには深いワケが……」
「別に気にしてないよ、これも思い出の一つだもんな」
「ちがぁ~~~うっ!話を聞けぇ~~~っ!」
----------
最終更新:2014年10月04日 15:55