559 :【SS】:2016/01/09(土) 15:50:04.91 ID:WI3a4vn80
SS『正月イベント発生ちゅー!?』
「てりゃっ」
「くぬっ!」
「ほいっ。」
「ぬぐっ!」
「ていやっ。」
「くっそ、、、!」
「へっへー、またあたしの勝ちぃー♪」
「ちくしょー!1勝もできねーっ!」
「ほら、早く顔出して。」
「ぐぬぬ、、、。」
そう言って桐乃が俺の顔に筆を走らせる。
この流れでだいたい分かってもらえたと思う。
お察しのとおり、今年もまた、正月の羽根つき勝負をしていたところなのだが、、、。
大方の予想通り、勝敗はご覧のとおりの有様である。
「、、、なぁ、桐乃?おまえ、今年もまたなんか文字書いてるだろ?」
「、、、よし、完成っと。」
俺の問いには答えず、妹は満足そうな笑みを見せる。
「ふひひ~、今年は邪魔されずにちゃんと最後まで書けてよかったぁ。満足、満足♪」
「、、、おまえいったい何を書いたんだ?」
「ん?秘密。」
「ったく、、、。」
「ほら、こっち向いて。」
「ん?」
ぱしゃ。
「スマホで写真撮ってんじゃねーよ!」
「いいじゃん、別に。せっかく書いたんだからさ。」
「じゃあ見せてみろよ。」
「やだ。秘密っつったっしょ。」
この妹だけは、、、。こうなったら意地でも見てやるかんな!
「じゃあ、お腹もすいたし、そろそろ帰ろっか?」
「って、勝ち逃げかよ!」
「だってもう書くとこないしw」
「どんな状態になってんの!?俺の顔?!」
「それに喉も乾いたしね。」
「じゃあ、あと一戦だけ!おまえが勝ったら帰りに飲み物奢ってやるからよ。」
「マジ?らっきー♪さんきゅー、京介♪」
もう勝った気でいやがる、、、。
「ふっ、それは俺に勝ってから言うんだな。」
「ぷっwそんな台詞はあたしに一回でも勝ってから言えってのw」
「ぐ、、、次こそは負けん!」
、、、とは言ったものの、、 普通にやったんじゃ勝てそーにねーしなー、、、。
さっき、一回だけ勝てそうになったけど、あれは勝負の最中に電話がかかってきて桐乃がよそ見したからだし、、、。
、、、よそ見、、、か。
、、、よし。
ここはひとつ、桐乃の油断を誘う戦法に切り替えるとするか。
ズルいとか言うな。これも立派な作戦だ。
「うし、じゃあ行くぞ!」
「来い!」
「てりゃっ!」
「ほいっ。」
「うりゃ!」
「なんのっ!」
よし!ここだ!
「お!すっげー可愛い妹!」
「え?どこ?どこ?」
その言葉に釣られてぐるんと後ろを振り向く桐乃。
自分で言っといてなんだが、釣られすぎだろ、おまえ。
その隙に。
「ほれ。」
「え?あ!」
慌てて振り返った桐乃が手を伸ばしたものの、わずかに届かず、ぽてんと地面に落ちる羽根。
「よし、俺の勝ちだな。」
「ちょ!今のナシ!てか卑怯でしょ!ソレ!」
「なにが?」
「なにが?じゃないっ!可愛い妹が!とかウソついて騙したっしょ!」
「ウソじゃねーよ?」
「だって誰もいないじゃん!どこにいんのよ!そんなの!」
「ここ。」
「へ?」
「居るだろ、俺の目の前に。」
途端に、ぼっ、と真っ赤になる桐乃。
「は、はぁっ?!な、なに言っちゃってんの!?あんた!」
「俺は事実を言ったまでだが?」
そう、俺は断じてウソを言ったわけではない。うん。
「そ、それはそうかもしんないケド!確かにあたしはちょー可愛いけど!!」
自分で言うか、ソレ。
「つーワケで、今回は俺の作戦勝ちだな。」
「ったくもう、ごーいんなんだから。てか、そこまでして妹の顔に恥ずかしい落書きしたいんだ、、、きもっw」
「ち、ちげーよ!ほら、鏡出せ、鏡」
「え?鏡?」
きょとんとする桐乃。
「おう。おまえ前に言ってただろ、『あたしに勝ったら鏡貸してあげる』って?」
「あ!あれはあんときだけでしょ!今回は言ってないじゃん!だから鏡はナシ!」
「おま!そんなんアリか?!、、、つーか、そこまでして見せたくない落書きっていったい、、、!?」
「い、いいから!ほら!あたしの顔に落書きするんでしょ!」
「お、おう。」
とは言ったものの、、、なんて書こうかな、、、。鏡を借りるつもりだったから、なんも考えてなかったぜ。
うーん、、、どうすっかな、、、。
「じゃあ、、、はい。」
そう言って目を閉じて顔を上げる妹。
どきん。
え、、、?はい、、、って、おい、、、。待て、待て、ちょっと待て。
「、、、まだ?」
目を閉じたまま、桐乃が聞いてくる。ちょ、ナニコレ、破壊力ありすぎだろ!
「ねぇ?」
ど、どうしろってんだ、、、コレ、、、。
「ねぇってば。」
あせった俺は---
1.ぎゅっとやさしく抱きしめてあげた
2.おでこに兄専用と書いてみた
3.不意打ち?
っておい!なんだ!この選択肢は!特に最後の!俺に何をやらせるつもりだ!一体!?
いかん、自分で自分にツッコミを入れてどうする!落ち着け!俺!
文字!そう!文字を書くんだろ!
ってことは2、、、じゃなくて!
○とか×とかだろ!普通!
「ほらぁ。」
、、、よ、よし、書くぞ。
、、、。
、、、、、、。
、、、、、、、、、待てよ?
「ちょっと、、、早くしてよね。」
、、、、、、、、、、、、ごそごそ、、、、、、、、、ぱしゃっ。
「え?!ぱしゃ?って?!ちょっと、あんた!今なに撮った?!」
「おまえの顔。いやー、良く考えたらめったにないチャンスだな、って思ってさ。落書きすんのも可哀想だから、代わりに写真を撮ってみた。」
「撮ってみた、じゃないっ!なんの写真よ、いったい!」
「これ?おまえのちゅーショットの写真だが?」
「なっ!!!なっ、、、なっ、、、なにしれっととんでもない写真撮ってんのよ!あんたは!!!」
「正月早々、超激レアのイベントCGゲットとか、ついてるよな。」
「イベントCGとか言うな!!!てゆーか、返せぇぇぇぇっ!!!」
Fin
「ったく、覚えてなさいよ。後で絶対消すかんね!」
「へいへい。後でな。」
ってことで、パソコンのメアドに送信、、、っと。
「はい、これ。ウェットティッシュ。」
「おう。さんきゅ。」
あ。そーだ。
「ちょっとそこで顔洗ってくるからよ。」
「あっそ。」
たったったっ、、、。
、、、さて、、、自撮りってどうすんだっけ、、、?わかんねーからいつもどーりでいいか。
ぱしゃ。
「え?あんた何して、、、って!あ゛っ!!!ちょっ!!!待っ!!!そ、それ見んなぁぁぁ~~~っっっ!!!」
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最終更新:2017年08月26日 10:44