560 :名無しさん@お腹いっぱい。:2016/01/09(土) 15:59:25.61 ID:LwxDrcUT0
「あ”ー」
「はいはい」
「う”ー」
「はいはい」
「あ”ー」
「はい おかゆ あーん」
「ん」
「どう?美味しい?」
「かゆ うま」
「ゾンビやめなさい」
「はい」
「結構元気じゃん」
「ああ 半日寝たらずいぶん楽になった」
「からだの温度測った?」
「いや でも感覚でわかるって」
「駄目だって 自分の身体のこといちばん分かってないの自分なんだから」
「経験者は語るか」
「茶化すな」
「はは でも体温計どこいったかな」
「お母さん持ってたんじゃないの?」
「朝に測ってそのままどっか持って行ってからわからん」
「そっか まいいや じっとしてて」
「お…」
「…うん そんな酷くはないや」
「あ”~…」
「あんたそれやめなさいって」
「いやお前の手冷たくて気持ちいいなって」
「それ褒めてんの?」
「もちろん もう一回たのむ」
「そう言われるとなんかヤダ」
「じゃあオデコで測ってくれよ」
「もっとヤ!なにそれ馬鹿!」
「え?おでコツンってやつだよ。千と千尋の神隠しのクライマックスでやってたあれ」
「知らない!どうせそれ恥ずかしいやつでしょ!」
「え~なんだよ~。病人の頼みだぜ?」
「絶対いや!」
「そうかよ…はあ…なんだか寒気がしてきた…頭がぼんやりする…喉が…関節が痛い…」
「うっさい!そのまま寝とけ!」
「ちぇ」
「はぁ…おかわり要る?」
「ん ああ。頼む」
「わかった。じゃあ作ってくるね」
「…は?」
「え?だから今から作るの。ちょっと待ってて」
「え いやこのおかゆ お前が作ったんじゃないの?」
「違うよ?コンビニで買ってきたやつ。作ってたら時間掛かるからさ」
「あ…そう……!!ちょちょちょ ちょっと待て!」
「なに?すぐ出来ると思うよ。今お鍋を火に掛けてるから」
「え?なに?いや。これ結構旨いなって…お前ずいぶん料理の腕上げたなって思ってたんだけど…」
「まあコンビニだからね。味付け濃かったでしょ。あたしが作るのは薄味だけど美味しいと思うからさ」
「えらく自信まんまんだな…ままま待て!えー…おかゆって言っても色々あるじゃん?どんなの作ってんの?」
「わかんない」
「は?」
「わかんない。TVで見たうろ覚えの知識と、家にあったそれっぽいものを、あたしが面白おかしく作っただけだから。
だからわかんない」
「…」
「どしたの?顔色悪いよ?がたがた震えてるし…大丈夫?」
「ああ大丈夫…じゃない…全然大丈夫じゃない」
「ん~?熱はさっきと変わんないんだけどな」
「そうだな…この震えは肉体的なものじゃなくて心の問題だからな…。桐乃お前最近料理作ったのいつだっけ」
「半月くらいまえ?なんかの肉…魚?と豆腐みたいなのと黒っぽいなんか…そんな感じの作ったよね」
「ああ…その食材の雑な認識がお前の料理の腕がどの程度かを表してるよ…」
「でしょ?初めてだけど自信あったんだ。レシピなんてなくても作れるんだね。センスで作ったって感じ」
「味見は?」
「してない」
「だよな。食って平然としてたらそれこそお前凄いよ」
「でしょ?あたしってほんとなんでも出来るんだよね。我ながら凄い!」
「ああ。あれ食った俺達も凄い。俺と親父はすごい」
「そうそう。お母さんいっつもあたしの料理食べられないんだよね。サークルの食事会とか同窓会とか。
でも年に何回同窓会行ってんだろ」
「お袋の危険察知能力は凄いよ」
「いつか食べてもらいたいんだけどなー」
「いちおう女性だからな。俺達が犠牲になるしかない。親父と分けてお袋の分と俺の分、1.5倍の料理を食うしかない。
女の身で食ったあやせを尊敬するよ」
「あやせ美味しそうに食べてくれるからすっごい嬉しい。またお菓子持っていってあげようと思うんだ」
「それはいいことだ桐乃。でももしあやせが あとで家族皆で食べるから とか言ったら追求せずにいるんだぞ。
ほんとにそういう展開になったりしたら…高坂家の外にパンデミックさせたくない」
「ぱん…?なにそれ。あ おかゆ焦げちゃうかも。鍋見てくるね」
「そう、俺がここまでお前との会話を引き伸ばしたのは、おかゆを焦がすため…って待てぇえああ!」
「ちょ な なに 手離して
鍋見てこないと」
「大丈夫だ
最近のコンロにはセンサーが付いている
吹きこぼれたり空焚きしちゃっても大丈夫だ危険はない
むしろ俺に今危険が迫ってる」
「食べられなかったらもたいないじゃん!はなして!離せ!」
「ちょっ待て!おい!桐乃!あぁっ!ええいっ!」
「きゃっ!」
「うおっ!」
「あたた…」
「うう…」
「…」
「…」
「…京介」
「なんだ?」
「…離して欲しいんですけど」
「手はもう自由だろ?」
「違う!あんたの腕を離してって言ってんの!動けないじゃん!」
「いーや!離さない!ぜったい離さない!この手を離したらお前がどっか行ってしまいそうだから!
台所に」
「い いきなり何言ってんの!コラ!いいから!離せ!もお!」
「動くな!抵抗は無駄だ!諦めろ!!」
「やだっ!たっ!いたっ!痛いって!!」
「え!?おっ おおスマン」
「いたた…はあ」
「大丈夫か?」
「もう なんなのよいきなり」
「いや…だからその…お前にここに居て欲しいんだよ」
「わかったって 居てあげるから ほら 腕どけて」
「いや!そんなことしない!俺の腕の中から絶対お前を離さない!
鍋吹いたら行っちゃうもんな」
「離さないってどうしたの。てかあんたの身体熱いんだけど。んん?さっきのでまた熱上がったんじゃない?」
「ああ!そう!そうかもしれん!また悪化してしまった…あああ頼む桐乃ここに居てくれ!お前が居ないなんて耐えられない!
というかお前が台所に居ることが耐えられない」
「さっきからちょこちょこ関係ないワードが入ってくるの気になるんだけど…
ま いいや このまま居てあげるからちょっと腕緩めて?大丈夫 逃げたりしないから」
「…」
「…ほらね? 大丈夫 あたしここに居てあげるから 安心した?」
「ああ 安心した めっちゃ安心した 胸をなでおろしたいくらい安心した」
「むね?ああ 苦しい?お薬塗ってあげようか?」
「薬?…ああ あのすーってするやつな」
「そうそう 取ってくるね」
「おああああ!やっぱいい!あれいらない!」
「いいの?」
「うんうんうん!だってあれさ ヌルヌルしてるじゃん?それを妹の手で直に胸に塗られるわけよ」
「そうだね」
「俺なんか変な気持ちになるの 桐乃の手がヌルヌルなまめかしく動いて
そんで俺の胸もヌルヌルになって ムラムラしちゃうの だからやめよ? 」
「わかったやめる」
「ふう そうか」
「京介 風邪治ったら2 3回ハイキックさせて」
「え?」
「あたしでヨコシマな想像した罰だから」
「はい わかりました …ねえ2回か3回ってことだよねその表現だと 23回ってことじゃないよね?死んじゃうよ俺」
「もう4 5発追加してあげようか?」
「はい 追求しません」
「はーあ 兄貴が変態で妹は大変」
「今まさに変態兄の懐中にいるんだぞ?」
「いやーん食べられちゃうー」
「わざとらしいんだよ!可愛くねえ…」
「あたし可愛くない?」
「あーかわいくないね」
「じゃあ可愛い妹になったげる…ほら」
「っ…」
「どう?冷たい?」
「…冷たい」
「気持ちいい?」
「うん…」
「おでこつん だっけ?これ?ほんとだ 手でするより おでこ同士当てたほうがいいね」
「桐乃の体温を感じる…」
「なに?また変態妄想?」
「こんな距離でお前の顔見るのって…」
「ふふ 鼻が当たっちゃうね 京介 息が熱いよ?また体温上がっちゃった?」
「お前がこんなに近くで…熱くならないほうがおかしいだろ」
「あたしのせい?」
「そうだよ お前の魅力にあてられて俺は病んじまったんだよ」
「どうしよ?ずっと一緒だとずっと治らないじゃん?」
「大丈夫 ワクチンはある」
「そうなの?」
「お前のキス」
「…」
「キス」
「ばか」
「駄目か?」
「…もう」
「桐乃?」
「…病人のお願いだからしたげるんだからね?」
「へへ」
「目ぇつむって」
「ん」
「あんた動いちゃ駄目だからね」
「ん」
「じっとしててよ」
「ん」
「「」」
「どう?なおった?」
「…キス…キスって…」
「うん」
「ほっぺにチューかよ…」
「へへ ばーか なに期待してんの」
「何って…まあいいさ こうかはばつぐんだ」
「顔色ちょっとよくなったね」
「ああ だからもうおかゆは…」
「あ~もったいないことしたなあ ま いいや また作ってあげる 風邪ひいたときにね」
「おぉおぅ つまり俺はもう金輪際 絶対 二度と風邪はひけないな」
「それが一番だけどね」
「うん 絶対ひかない 絶対絶対ぜったいぜぇーったひかない 身動き取れないもんなこの状況」
「結局なんだったの?その意味不明の発言」
「逃げることなど絶対に不可能な状況…気にしないでいい」
「…?」
「あ"ー」
「はいはい」
「う"ー」
「はいはい」
「ほい おかゆ あーん」
「ん」
「うまいか?」
「かゆ うま」
「そうか そのゾンビやめろ」
「うっさい なんか安心するのこれ」
「だろ?」
「あーもう喉いたい!アイス買って来て!喉乾いた!ポカリポカリぽかり!」
「はいはい じゃ行ってくるわ おかゆ食べとけよ」
「はーい
ふう
あいつ結構料理上手じゃん
まあおかゆだし あたしのに比べるべくもないけど
あー
だるいよーつらいよー
はあ
…
でも
たまにはいいかな
あたしが甘えれて
…京介があたしに甘えてきて
なんてね
ふふ」
「ただいま」
「あ 早かったね おかえり」
「アイスとか飲み物あとで買いに行くわ それより重要なもの思い出しちゃってさ」
「?」
「ほら あれ持ってきた」
「あれ?」
「胸に塗るやつ」
「は?」
「ヌルヌルしてるやつ!ぬるぬるの胸に塗るあれ!」
「…」
「そう!あれだ!じゃあ塗ってやろう!さあさあ!」
「…」
「お兄ちゃんが塗ってやろう!お前の胸に塗ってやろう!」
「…」
「ぬるぬる塗る!ヌルヌル!」
「あ
もしもし?
あやせ?
また京介がおかしくなっちゃってさ
来てくれる?
ありがt え?もう着いた?すごいね
じゃキツめのを一発お願い」
「ヌルヌル塗る!塗るヌルヌル塗るぬるぬるぬる!」
京介
早く逃げたほうがいい
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最終更新:2017年08月26日 10:46