279 :名無しさん@お腹いっぱい。:2016/06/06(月) 21:25:37.52 ID:E8IFGM4p0

「おい 桐乃」

「ん?」

「今日大学来たときのあれ なんだ」

「は?何のこと?」

「正門前にいたろお前 一緒に居たの誰だ」

「あー あーあれね」

「お前が話してたの あれ誰だ」

「あの人ね あー あー 知らない人」

「知らない人?」

「そ 初対面のひと」

「なんでお前はうちの大学で はじめて会う男と話してるんだ」

「なに?いきなり絡んできてその態度って?ウザいんですけど」

「俺は真剣なだけだ」

「だからー ただのナンパだって 声掛けられたの」

「そうなのか」

「そうなの まあ適当にあしらっておいたけどね」

「お前はいつもあんななのか?」

「はあ?」

「あんな楽しそうにナンパしてくる男の相手するのか?」

「楽しくなんか…別にね 塩対応してもいいけど可哀想じゃん?」

「可哀想?」

「そ 勇気出して声掛けてきてんだよ きっと ちょっとだけでも話してあげてもいいじゃん」

「本当か?」

「あーもー!アンタしつこい!ウザい!なんなの?!関係無いじゃん!!」

「…関係ないってどういうことだ」

「アタシに用がある人間にアタシがどんな風にしようと勝手でしょ!何か問題ある!?」

「…」

「そもそもナンパなんて日常だし 街歩いてたらされて当たり前だし 対応とか慣れてるし」

「…」

「まあアタシくらいの美少女だもん 男どもが放っておくわけないよねー?」

「…」

「なに?その顔?あ ひょっとして嫉妬してる?えー なにそれー キモーイ」

「…」

「"俺の女に手を出すな!"ってヤツ?うわー」

「…桐乃」

「そういうのウザいから やめてよね」

「…」

「心配してるのかもしれないけど おせっかいだから」

「桐乃」

「なに?あんなの アタシ一人でも大丈夫だから」

「桐乃」

「だから放っておいて!」

「桐乃」

「ああもう!!あっち行って!!」

「桐乃!!!!!」

「ひぅっ!?」

「…」

「…」

「あ…いや」

「な…に…そんな…」

「…」

「さ サイテー…女の子…怖がらせるとか…」

「…スマン 悪かった 感情的になっちまって」

「…出てってよ…」

「出て行かない まだ話は終わってない」

「これ以上なに…」

「お前が本当のことを言うまで俺は動かない」

「…」

「あのあとお前と会ったとき 明らかに様子おかしかったよな?」

「そんなこと…」

「あの男のせいか?」

「…」

「そうなんだな?」

「ちが…」

「…」

「…」

「桐乃」

「…うん」

「…そうか」

「…」

「聞かせてくれるか?」

「…あのね」

「…」

「…ナンパされるの 慣れてるってホントなんだ」

「ああ」

「でも…そういう時って友達がいるから なんとかなるんだけど」

「…」

「ひとりの時は 怖いの」

「…」

「みんなと一緒のときみたく 適当にあしらったり無視したり したいんだけど」

「…」

「怒らせちゃって なにか なにかされたらって思うと」

「…」

「笑って 話なんかして そうすれば大丈夫かなって」

「そうか…」

「凄く 怖くて だから 無理やり笑って」

「桐乃…わかった 言ってくれてうれしいよ その…怖かったんだな」

「…うん」

「なんか 悪い 嫌な気分にさせちまってすまない」

「ううん」

「いや さっき話しかけたときイライラしてた 強い語調になってスマン」

「…ちょっとこわかった」

「ほんっと!ゴメン!」

「やっぱ嫉妬してたんだ…」

「や まあ 嫉妬 ん…正直なところ
 あのとき男と二人でいたって時点でイラっとした」

「そっか 嫉妬か ふーん んふふ」

「なんで嬉しそうなんだよ」

「なんでもなーい」

「…なあ桐乃」

「わぁっ?!」

「どうだ?」

「ななな…いきなり抱きついてきて何…」

「優しくしてるつもりだけど…痛くないか?」

「…ちょっと痛い」

「こんなに細いもんな お前今日さ
 ナンパされたとき一人でなんとかしようって思ったんじゃないか?」

「…そりゃ アタシのことだし」

「お前は抱きしめられるだけでも簡単に傷つけてしまうくらい繊細なんだ
 そんなか弱い存在なんだ」

「ん…」

「弱さを見せないのは 桐乃 お前の良いところだ でも弱さを認める強さってのもある」

「認める…」

「自分ではどうしようもないこと 何もできないこと あるだろ?」

「うん」

「お前の悪いところだ 何でも自分でやろうとして
 全部抱え込んでクラッシュしちまう ずっと前から ずっとそうだ」

「…」

「痛いなら痛いって 怖いって言ってくれよ」

「うん わかった…」

「いつでもお前のとこに行ってやる」

「ほんと?」

「ああ お前がピンチのとき俺が居なかったことあるか?」

「…ない」

「安心しろ なにかあったときはこの体温を思い出してくれ
俺はいつもお前のそばにいる」

「…スタンド…?」

「4部のアニメは良い出来だよな…って いい雰囲気が台無しだよ…」

「いいの アタシ達にそういうの似合わないの そう思わない?」

「まあ かもな」

「くすっ ふふ」

「はは」

「さて じゃあ行きますか」

「え?」

「ナンパ野郎に嫌な思いさせられたのよ
 忘れるために何か美味しいものでも食べに行こうよ」

「え…今月キツいんだけど…」

「…なんか言った?」

「そんな目で見るなよ怖いよ」

「こないだ沙織に教えてもらった中華のお店があるんだ!行ってみよ!!」

「待て待てまて!沙織!?あいつがオススメする店の料理って幾らすんの?!」

「いいじゃんいいじゃん アンタこないだカード作ったんでしょ?それで」

「やめろその発想!カードは魔法のアイテムじゃないんだぞ!」

「ほらほら 食べログの評価高いし美味しそう!」

「うわっ!予算高!!たっか!!無理無理!」


結局大学近くにあるちょっと高いけど旨いって食堂で食べた。
桐乃はぶちぶち文句いってたけどそれなりに満足だったみたい。



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最終更新:2017年08月26日 13:47