338 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/02/24(木) 15:49:21.11 ID:WAxX6Bgd0 [2/2]
SS『赤城兄妹の会話―ある兄妹について』
俺の名前は、赤城浩平。近所の高校に通う18歳。
自分で言うのもなんだが、ごく平凡な男子高校生である。
サッカー部に所属していて、趣味はエロサイト巡回。
流行の音楽も聴くし、漫画、小説も見る。
放課後は部活をしたり、友達とだべりながら町をぶらついたりする。
勉強することは………あまりないが………。
だいたい普通の高校生ってのはそんなもんだろう?
それなりに楽しく、それなりに苦しい毎日だが、まあ、俺なりに満足している。
平凡とか普通ってのは、まあ、そんな程度のもんだろ?
勿論俺にだって、口には出せない秘密の1つや2つくらいは有る。
でもまあ、そんなものがあることもまた『普通』ってもんだよな?
実は、そんな事を考えていたのには、理由がある。
俺の高校での親友―――高坂京介。こいつが原因だ。
高坂は、趣味から何から俺とは違うところが多いヤツだ。
だけどまあ、ウマが合うっていうのかな?いつの間にやら、親友になってたのさ。
だが………俺が、ヤツについて、決して理解できない事が一つだけある。
高坂は―――自分が『普通』であると思っているという、その一点だっ!
そもそもな?お前、可愛い幼馴染がいるとか、ど・こ・が、『普通』なんだよっ!?
で、さらにだ。勉強ができて、我らが地方大学に楽々入れるレベルだとっ!?
まだまだある。深夜のエロゲ販売に並ぶだとっ!?『普通』じゃねーよっ!?
そのうえ、これは俺の天使から聞いた話なんだが………
何人か後輩から、愛の眼差しを受けているっだとっ!?しかもJCからもだとっ!?
ど・の・あ・た・り・が、『普通』なんだよっ!?
あ、挙句の果てにっ!俺の妹がモデルで?成績優秀で?スポーツ万能だぁ?
そんな風に、妹を自分の彼女みてーに誇らしげに語ってんじゃねーよ!?
………………………ちょっと興奮しすぎたようだ。
「お兄ちゃん?どうしたの?机を叩くような音がしたよ?」
部屋の外から、心配そうな声をかけてくれたのは、この俺の天使、瀬菜ちゃんだ。
「すまん。おどろかせちまったな。まあ、入れよ。」
「うん。それじゃ、失礼します。」
瀬菜ちゃん。
俺と同じく赤みがかったショートヘア、すらりと背が高く、
それなのに、胸は人一倍大きく、大人っぽい色気をかもし出している、俺の天使。
本当に、本当に、可愛らしい、俺の妹だ。
「それで、どうしたの?お兄ちゃん。」
「実は、高坂のこと考えてたんだ。お前も知っているだろ?」
瀬菜ちゃんは、急に頬を赤らめ、俯いてしまう。
な、何!?お、お前、高坂の事気になってんのか!?
「お、お兄ちゃん………」
「ゆ、許さんぞ?大事なお前を高坂のヤツなんぞに渡せるかっ!」
「ええっ!?何それ!?」
「お、お前、こ、高坂の事好きで、顔、赤くしたんじゃ………?」
「ご、ごめんね。お兄ちゃん。私、お兄ちゃんが高坂先輩の事気にしてるって言うから………」
あー………そうだった。瀬菜ちゃんは、天使だけど腐女子だったな。
ってことは、今、瀬菜ちゃんの頭の中では、俺と高坂が裸になってくんずほぐr
おぇぇぇえぇぇぇぇっ!
そ、想像しちまったじゃねーかっ!
「そ、そういう意味じゃなくってな?」
「ご、ごめんね。」
「いや、瀬菜ちゃんは悪くないからね。」
「うん。ありがと。お兄ちゃん。」
ほら見ろよ?
これが俺の天使だ。
「俺が気にしてるのは………高坂のヤツが、妹の事、どう思ってるのかなって事だ。」
「桐乃ちゃんの事?」
「おっ?瀬菜ちゃん、あいつの妹知ってんの?」
「うん。この前の夏コミで会ったの。」
そうなのか。
意外と世間。せめーもんだなー
「それでね、お兄ちゃん。桐乃ちゃんすごいんだよ〜」
「ああ、高坂のヤツから、何度も何度もきかされて、耳にタコが出来そうだ。」
「えっ!?お兄ちゃんも聞いてたの?
桐乃ちゃんが、お兄ちゃんのコト大好き、愛してるって!」
ぶーーーーーーっ!?
あ、愛ぃ!?
「お兄ちゃん。汚いよ?」
「お、俺の聞いたのはだな?
高坂のヤツが、お前の妹なんざ比べ物にならんくらい可愛いとかな、
その他色々と自慢し続けている事くらいだ。
いや、もちろん、瀬菜ちゃんの方が可愛いからな。」
「うん。ありがとう、お兄ちゃん。
でも、高坂先輩は、具体的にどんなことを話してるの?」
「具体的に?そうだな………」
あまり思い出したくも無いが、瀬菜ちゃんの頼みなら仕方ない。
この一年間、高坂に聞かされ続けたからなっ!
思い出したくなくても思い出しちまうぜ!
「まず、妹は読者モデルだの勉強も優秀だの、スポーツ万能だの、自信満々に喋ってくるんだよなー。
別にあいつ自身がスゲェわけじゃねーだろ?」
「う、うん。」
「ああ、そうだ。でも、それだけじゃ、俺の妹の凄さわかんねーよな?とか言い出してな。
『まず、目が綺麗だ。お前の妹みたいに腐ったりしてねー』とか
『あの柔らかほっぺ。男なら誰だってキスしてーくらい柔らかいんだぜ?』
『丸顔?女はちょっとくらいふくよかな方が魅力あるってんだよ!』
『おめーの妹、ただの牛じゃねーか、俺の妹のおっぱいがベスト!』だとかな?
なんかムカついてきたな。それに、
『化粧のセンスがちげーよ?モデルだぜ?』
『染め毛?だったら、黒に戻したら、今の差が10倍に広がるっての!』
『ただの天才じゃねー、努力でここまできたっての!』
『足や尻も程よく引き締まって、脂肪の塊とはちげーよ?』だとぉ?
高坂のヤツ、後で、ぜってー殺す。他にも、
『あのさらさらの髪から、ほのかに漂うシャンプーの香りとか、他の女じゃありえねー』
『下着だって、マジ可愛い。清楚な色ばっかだぜ?ビッチとはちげーよ?』だの
『普乳?ちげーよ、十分に大きいし、弾力も十分。まじやわらけー』
『お前の妹のように腐っちゃいねー、俺の妹はそばに居るだけでいい香りがしてくる』
だとか、まだいくらでも挙げられるが、怒りがおさまらねえ。」
「うわあ………………」
さすがに、俺の瀬菜ちゃんも引きまくってる。
つーかよ?いちいち俺の妹に対抗してんじゃねーよ!?
いや、俺も『たまに』瀬菜ちゃんのことを話題に挙げちまうんだけどさ?
「お兄ちゃん。それ、やばいね。」
「瀬菜ちゃんもそう思うだろ?シスコンもここまでくれば―――」
「それ、シスコン超えてるよ。お兄ちゃん。」
「えっ?」
「例えば、下着とか、おっぱいのやわらかさとか………」
………そうだ。たしかにそのときはあまり気にしてなかったが、
妹の胸の弾力を知ってるとか、下着の種類わかってるとか………
「完璧に変態じゃねーか」
「う、うん。」
「警察に通報すべきか!?」
「そ、そうじゃなくってね。
ちょっと、私の話を聞いてから、考えてみて。」
「お、おう?」
なんか、瀬菜ちゃんらしくもなく、すこし恥ずかしがってるようだが………
「私のほうは、桐乃ちゃんから聴いた話なんだけどね。」
「なるほど。妹との話と照らし合わせるんだな?」
「うん。それでね。桐乃ちゃん。いつもこんなこと言ってるの。
『あいつほんっとシスコンっ』
『あいつ、あたしの胸とかガン見してるしー、あーマジきもい』
『あいつ、あたしの下着みて興奮してんの最っ低じゃない』
『あいつってさー?あたしに会えないだけで泣きそうになってんの、ちょうキモいじゃん』
こんな感じ………」
「あー………とんでもねー………妹だな?
なんか、さっきの大好きだとか愛だとか、全然ちげーよな?」
こんなこと、瀬菜ちゃんが言い出したら、さすがに俺も泣くぜ?
「うん。でもね、喋ってるときの口調は全然違って楽しそうなの。」
「この内容でかっ!?」
「そう。本心と全く違う言葉だから、言葉と表情や口調が合ってないの。
某掲示板なんかだと、桐乃語って呼ばれてて、これを読み解く能力をきりりんがる
って言ってるんだけど。実際に解読すると、こうなるみたい。
『お兄ちゃん!もっとあたしを愛してっ!』
『お兄ちゃん………あたしの胸、そんなに見たいの?もっと見て♪』
『お兄ちゃん………あたしの下着によくじょーしてるの?うん、いいよ♪』
『お兄ちゃん、あたしと会えないと泣くぐらい寂しいんだね。一生一緒にいてあげるね♪』」
「できれば、解読前の状態でとどめてほしかったな!?」
「他にもね、例えばこんな事を言ってるの。
『地味子や黒猫や沙織とさあ?ベタベタしちゃってさあ?死んだ方がいいよね?』
『妹の言うことが聞けないってわけ?マジ最低ー』
『デレデレすんなってのっ!キモっ、キモキモキモっ!』
『………バカ兄貴………』
解読………できるよね?」
「ああ、さっきの話を前提にすると、あまりにも分かりやすすぎるな。
『他の女の子とお話しないでっ!あたしとお話してよっ!』
『あたしの事が一番でしょ?ねえ、ちゃんと聞いてってば!』
『あたしの方が可愛いでしょ!?もっと、あたしだけを見てよっ!』
『お兄ちゃん………大好き………(はぁと』
というわけだな?」
なんつーこっぱずかしいことを人前で喋ってる妹だよっ!?
つーか、兄妹共にこれって………
「お兄ちゃんも、分かるよね?」
「ああ、これは、ただのブラコンシスコンじゃねーな?
完璧に、『た・だ・のバカップル』だな。」
「どうしよう………もう、胸とかパンツとか、AtoZな感じで突き抜けてるのかな?
目を見て話せるか心配になっちゃうよ。」
「ああ、俺も、心配になってきたほどだ。………パンツ?」
「あっ………」
「他にも何かあるのか………」
「こ、これは、絶対他の人に言っちゃダメだよ?お兄ちゃん。」
「お、おう」
「実は、この前チャットで会話中に、
『せなちー、兄貴のぱんつってどう思う』って聞かれたの………」
「………もう、だめだわこの兄妹。」
結局、さらにまだまだ、沢山のダメなエピソードが確認できたんだが………
ここで、みんなに確認したいことがある。(みんなって誰だ?
なあ?
高坂にとっての『普通』ってなんだ?
高坂のヤツが『普通』なわけねーよな!?
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最終更新:2011年02月25日 01:12