19 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/02/28(月) 01:40:18.77 ID:amLCgYPR0 [1/2]

険悪な冷戦期間。

嫌われてるから私も嫌い。
アイツはあたしのことが嫌いなくせに、なのに何故、こんなに一生懸命に助けてくれるのか。


――妹だから?
――あたし、だから?


何にせよ大事にされることに不満はなかった。
妹として、大切にされていることは単純に嬉しかった。
それは、昔からずっと欲しかったもののはずで。


なのに。


アイツが身を挺して、それこそ身を削って守ってくれればくれるほど、勘違いしそうになる。

許されるわけない、認められるわけがないと分かってる、そんな感情がもたげる。

振り払わなくちゃいけない、肯定してはいけないもの。


――――そんなの分かってる。


忘れようと思って、断ち切ろうと思って、
そして普通の兄妹のあるべき姿に戻ろうと思った。

だから、留学をした。

離れれば忘れられる、冷める、冷静になれる。
これは一過性のもの、麻疹みたいなもの。

アイツなんかに助けられなくたって、依存しなくたって自分の力で歩けるんだ、やっていけるんだと、
・・そう決意したはずだった。


なのにどうしてか、思ったようにアイツの姿を振り払えない。

それどころか、努力しても越えられない現実は苦い過去を思い出す。

走っても走っても追いつけない、努力しても報われない、―――そんな昔を。



一度陥った思考の悪循環から抜け出す方法なんてわからなくて
上手くいかなくて、どうしようもなく苦しくて、辛い。

でも、もっと自分を追い込まなければ、努力しなければ勝てるわけない。
だからあたしは捨てなくちゃいけない、それが責任。

そんな中送ったメール。

出したこと自体が甘えだったかもしれない。
けど、助けを求めたわけじゃない。


本当に助けてくれるなんて思ってない。


ここは海外だから。あたしが自分から離れたんだから。





なのに、




――――――なのに、来た。



あたしが居ないと寂しいって。帰ろうって。




ホント・・・ばかじゃん。




でも、この時やっとわかった。



アイツを、京介を断つなんてあたしには無理で

あたしの中の京介の占める割合が、思いのほか大きいことが。

  
―――そして、

妹として見られることを嫌だと思う自分が居ることが。



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最終更新:2011年03月02日 00:31