153 名前:願い事【SS】[sage] 投稿日:2011/03/01(火) 00:51:55.99 ID:BkmJyDxVO [1/2]
「あら、みんなでこれからお出かけかしら?」
あたしたち4人が家を出ようとした時、丁度入れ代わりにお母さんがかえってきた。
「お邪魔しておりました。丁度帰宅するところですが、お二人に途中まで送っていただける事になりまして」
沙織が説明する。
「そうだったの。それなら京介、ついでにお願いがあるんだけど」
「どんな用事?」
「ほら、桐乃がアメリカに行ったしばらく後に、神社にお参りに行ったじゃない。
桐乃の無事を祈って、絵馬も書いたでしょ。で、無事に桐乃が帰ってきたから御礼のお参りをしてきてよ」
「へえ、みんなが絵馬に何て書いたか興味あるなあ。お参りついでに見てみようかな」
…あいつは何て書いたんだろうか?ちらっと横を見ると、なぜかあいつは急にどぎまぎしだした。
これはますます気になる…なんて思ってたら
「桐乃も出発直前に絵馬を書いてたんだってね。隣の奥さんが教えてくれたわ♪」
ヤバイ、あたしも書いてたんだっけ。てか、あたしのほうこそ見られたら、ちょっとマズイじゃん!
「じゃあお参り行ってくる」
「あ、あたしも」
あいつとあたしは相次いで神社に向かって駆け出した。
「それではあたしたちも」
「どうもお邪魔しました」
沙織と黒猫もあたしたちの後を追って駆け出してくる。

※※※
神社についたあたしたちは早速絵馬の奉納所に向かう。
「拙者たちもお手伝いするでござる」
「こんなに慌てるなんて、どんな悪魔の書が拝めるのか、愉しみだわ」
「…あ、あった」
先にあたしが家族みんなの絵馬を見つけた。どれどれ…

『桐乃が、何事もなく日本に帰国できますように 高坂大介

桐乃が、アメリカで怪我することなく活躍できますように 高坂佳乃

桐乃が、早く無事に帰ってきますように 高坂京介』

「へえー、あんた、神様に願掛けするくらいあたしに早く帰ってきて欲しかったんだー
さすがシスコンを拗らせてるだけの事あるじゃん!」
「…書く内容が思いつかなかったから、親父のを参考にしただけだけどな。
それじゃ、用事あるから先に失礼するぞ」
兄貴は気まずくなったのか先に神社を後にした。

口ではいつもみたいに言っちゃったけど、あたしはちょっと嬉しかった。
あいつがアメリカに来る前からあたしを心配してくれてたのが分かって、嬉しかった…

※※※
「ほほう、これがきりりん氏の絵馬ですな」
すっかり忘れてた、あたしの絵馬のこと!
「見せてごらんなさいな」

『初志貫徹! 高坂桐乃』
「あなたらしいと言うか、物凄く勢いのある大きな字で書いてあるわね」
「おや、隅にも何か書いてありますぞ。ええと、『しばらくあいつの顔見れなくて寂しいけど、頑張る』」
「あら、この『あいつ』って、誰のことかしら?」
「忘れた。別に、誰のことだっていいじゃん…」
「きりりん氏、本当は『あ・い・つ』じゃなくて『あ・に……」
「違う、違う!!じゃああたしも帰るから!」
あたしもいたたまれなくなって神社を後にした。

「やれやれ、神社まできてとんだ茶番劇を見るはめになったわね」
「きりりん氏といい、京介氏といい、本当に似た者兄妹ですなあ、ニンニン」



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最終更新:2011年03月02日 00:31