238 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/03/01(火) 20:26:39.90 ID:nX7NuvKS0
携帯電話
9月のある夕方、リビングで雑誌を読んでる桐乃に声をかける。相変わらずぶっきらぼうな返事だ。
「なに?」
意を決して話す。「あのさぁ、お前の携帯の番号教えてくんない」
「なんであんたに教えなきゃなんないのよ?」あいかわらず厳しい妹様だ。
そう思い至った経緯を話す。アキバやコメケに一緒に行ったこと、繁華街ではぐれたら連絡つかないこと。
黒猫や沙織の電番知ってて妹のを知らないなんて普通ありえないこと…
「キモ。まぁあんたがどうしても。って言うなら教えてあげてもいいケド」なんで高飛車な態度?しかしここは年長の俺が折れようじゃないか。
なぁ頼むよ。これからお前とはぐれた時に必要だろうからさ。
「じゃあ、これからもアキバに付いていって荷物持ちやること、夏冬のコミケには必ず連れて行くこと。わかった?」
はいはい。連れてきゃいいんだろ、連れてきゃ。俺は承諾する。
「じゃあ携帯貸して。入力したげるから」俺は携帯を渡す。桐乃はポチポチと入力してくれた。
で、入力っと、ソファーの後ろから入力画面を覗き込む。
画面には
<妹>
それだけかよ。なんか変な感じだな、「高坂桐乃」とか「桐乃」だろ普通。
「いいじゃん、別に。入力できたか住所録確認するわよ、五十音順で、っと… えーと赤城浩平、新垣あやせって、あやせが2番目じゃん、何それ?」
あいうえお順だからしょうがないだろ。あやせの電番知ってたから、おれが連絡して、それでお前と仲直りできたんじゃん。ここは感謝する場面だろ。
「私が3番目か。なーんかムカつくのよねぇ」なんでそうなる?桐乃は自分のところに戻して再修正のボタンを押す。
「これでよし、っと」打ち直された名前欄は
<愛してる妹>
って何ソレ?
「いいじゃん。私が一番上にきたかったんだから。私は何でも一番がいいの。何か文句ある?」
いや文句はないけどよ。他人に見られたら恥ずかしいじゃないか。
「あんたねぇ、私の電番知ってる男なんて他にいないんだから。感謝しなさいよね」
あとで直してもいいんだけど、桐乃が知ったら激怒するかなぁ。なんでこんなところにこだわるのか。俺にはさっぱりわからなかった。
end
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最終更新:2011年03月02日 00:32