325 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/03/02(水) 09:59:00.33 ID:lIN3+DAXP [2/2]
>>320
ふむ……


今日は色々とわけありで何故だか桐乃のモデルの仕事についていくことになってしまった。
とりあえず現場での撮影がひと段落して、場所を変えるとの事で現在ワゴンで移動中なのだが……

「スー…スー……」

こいつ思いっきり寝てやがる。確かに考えてみればだ、こいつは部活熱心でしっかり勉強して、それに加えてエロゲまでしてるわけだ。
そりゃそれだけのことをしてれば時間が足りなくなるのは明白だ。ならその足りない分どこの時間が削られていたのかといえば、睡眠時間というわけ。
勿論、こいつはこいつなりの時間の配分法を持っているであろうし、それを咎めるわけじゃないがなるほど、こういう細かいところも有効活用してたのか。
しかしまあ、寝るのは構わんのだが……なんで俺にもたれかかって寝るかね?そんなに眠いなら素直に横になってろといいたい。
おかげで俺動けねえじゃん。こいつ起こしちまいそうだしよ。
……別にこいつのためじゃねえぞ。だって下手に起こしたらまた文句言われそうじゃん。てか絶対言うだろ桐乃なら。

「ふふふ、それにしてもよく寝てるわね。珍しい」

そんなことを考えていると、前の助手席に座っていた撮影のまとめ役っぽい人(役職はなんていうのか知らん。チーフとかそういうのか?)が
後ろに座っているこちらを振り返りながらそんなことを言ってきた。

「そうなんですか?」
「ええ。確かに移動中に寝てることはよくあるけれど、ここまで熟睡してるのは見たことがないわね。
 普段ならちょっと声をかければすぐに反応するほど眠りが浅いもの。
 ……ふふ、大好きなお兄さんが近くにいるから安心しちゃってるのかしらね?」
「それはないと思うんですけど」

だってこいつが俺のこと大好きとかありえないし!そもそもそれ仕事中だけの建前ですから!

「そうかしら?」

どこかからかうようにそう言われると流石に居心地が悪いというか。
確かに、桐乃に眠る前に「次のところに着いたら起こして。あたしそれまで仮眠とるから」とは言われていたが。
これもう仮眠じゃないだろ。だってこうして話してても起きる気配ないもんこいつ。

「まあ、普段から無理してるフシがあるから、これはいい機会かもしれないわね。
 というわけでお兄さん、桐乃ちゃんをお願いね。もう20分ほどでつくから」
「わかりました」

そう俺が返事をすると満足そうにウンウンと頷いて前を向いてしまう。
ま、しょうがないか。一度引き受けちまったもんはしょうがない。うん、しょうがない。

チラ、と俺の肩に頭を預けるように寝ている桐乃の顔を覗き見る。
どこか安心しているような、嬉しそうな、そんな顔を……してるのかね?これは。
ま、普段頑張ってるんだし、こんなときぐらい気ぃ抜いてもいいかもな。それがたとえ大嫌いな俺の傍だったとしてもよ。
そのまま桐乃の顔を眺めていてもよかったが、後で何を言われるかわかったもんじゃない。
俺は視線を外に移すと、そのままなるべく動かないようにじっとしてた。

「あに…き……だい……す、き……」

途中、何か寝言を言ってた気もしたが、走行音やらなにやらでよく聞きとることはできなかった。
一体どんな夢を見ているのやら。


End



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最終更新:2011年06月04日 18:33