333 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/03/02(水) 12:29:50.36 ID:F2G5+6E0O [3/4]
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あたしとあいつは、無言のまま真っすぐな道を歩いている。
「あんた、どこへ行くつもりなのよ?」
あたしの問いかけに、あいつは何も答えようとしない
「何か言ったらどうなのよ!」
あたしは声を荒げるが、それでもあいつは黙ったまま。
そのうちに、あいつは道を外れて脇へ脇へと逸れていく。
「待ってよ!お願いだから止まってよ!」
あたしが涙声になりながらあいつを追いかけようとしたそのとき、
誰かがあたしの肩をつかんできた。
「何すんのよ、放して!」
思わず叫ぶが、その腕はなおもあたしの肩を揺さぶりつづける。
「兄貴……」
※※※
「……おい、桐乃、桐乃?」
気がつくと、そこはいつもの我が家の光景だった。あたしはソファーでうたた寝してたらしい。
そして、どうやらあたしを起こしたのは、兄貴の腕だったようだ。
「ちょっと、痛いでしょ!」
反射的に兄貴の腕を払ってしまう。
「悪かった。でも、お前がうなされてたみたいだったからな」
「……」
「何か悪い夢でも見てたんじゃないかと思ってな、だったら起こしたほうがいいんじゃないかと」
「……」
「とにかく、起こしたときに力入れすぎてたんなら謝る」
「別に、あやまんなくていいから…」
「えっ?」
「何でもない。ちょっと顔洗ってくる」
あたしはそう言ってリビングを離れた。
(また兄貴に助けられちゃった、のかな)
再びリビングに戻ってきたあたしは、まだそこにいた兄貴に声をかける。
「あの時は…アメリカに行ったときは、黙って出発しちゃって、ごめん……」
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最終更新:2011年03月06日 02:49