480 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/03/03(木) 19:11:56.41 ID:JV2dJSc/0 [2/4]

とある休日の二人[SS]

週末で次の日が休みって場合にさ、新作のゲームを京介と遊ぶ為に部屋に誘ったの
そしたらさー、あの性格でしょ、なんだかんだ言いつつ、付き合ってくれるわけ
テーブルにノーパソのっけて一緒に並んで座って…遊ぶの! えへへ
んで、夜も更けて盛り上がってキターってとこなんだけど、京介ってば、いつの間にか寝ちゃってる。
…ありえない。こんなにもかわゆい妹が隣にいて、密着してるのに寝る普通?
……
『計画通り』
じ、じゃなくて!信じらんないっしょ!これからって時なのに…。

さあ、どうしてくれようって思ってたら、ヨソー外な事に、京介ってば寄りかかってくるのよ!
こ、この変態!キモ!
でもさー、かなり長い時間付き合ってくれてたので、ここで邪険にするのもかわいそーで、
仕方なく、超やさしい桐乃さんはそのまま寝かせてあげる事にしたワケ。
わかる?このジョーキョー。
内心ヒジョーにむかついてたから、こっちからもあいつに寄りかかってやったのよ
やられたらキッチリやり返すのが桐乃流である。
これでおあいこ!

それでさ、京介の寝顔(けっこうかわゆい)見てニヤニヤしてやった。ふん。つんつんもしたやった。
にひひ…。
そうやって遊んでると…寝言で、き、桐乃って呟くもんだから、かぁぁぁっって頭に血が昇って、ひざまくらしてあげたわけ
(もしこの時別の女の名前を言っていたら、こいつの命はここで終わっていた)
そんで頭をなでなで…いつもされる方だから、仕返しよってなカンジ
あ、思ってたより髪サラサラしてる。ここで遊び心が。ちょっと…髪型弄ってみよっかな。
ふむふむ。こういう髪型にしてみたらどうかな?こんなのはどう?
あんまりカッコ良くしすぎると…がつくから…このへんかな?
ふふ、京介で遊ぶのはホント楽しい。
っていきなり寝返りを打つんじゃない!ひゃっ、ど、どどこ触ってんのよ!そ、そんなとこに顔うずめるな!
こ、このバカ!はぁはぁ…。
で、ででもここは我慢しなきゃ、こんなところでぶっ叩いて目でも覚まされた恥ずかしすぎて死ぬっての!
我慢我慢…あ、結構耳垢たまってる…清潔好きなあたしとしては、見過ごせないので仕方なく掃除してやることにした。
なんか恋人みたくない?なんてぜんっぜん思ってたりしない。

なんてことやってると時間がものすごーく早く流れてしまう。
さすがにあたしも眠くなってきて寝ようと思うんだけど、京介をそのままにしてたら
風邪引いちゃうし、可哀想だし、仕方ないなーってカンジでかけ布団をあいつにかけてあげるわけ
そうすると今度は自分がかぶる布団がないわけで、どうする事もできなくて、
一緒に一つの布団をキョーユーするしかない。
しょうがないじゃん。

寒いので不本意ながら、あいつの胸に顔を埋める形で丸くなって寝ることにした。
ついでにどうせ聞いてないので、「おやすみなさい京介」って言ってやった。
ふん、桐乃って寝言の仕返しなんだから。
くんくん…はー、なんかすっごく安心する。…なんだろこれ。あったかいよ、いろんな意味で。
気持ち良くてすぐ寝ちゃった。

494 名前:とある休日の二人[SS] 2[sage] 投稿日:2011/03/03(木) 20:24:03.75 ID:JV2dJSc/0 [3/4]

ちゅんちゅん

次の日、目が覚めたら京介の顔がすぐ近くにあった。
びっくりして飛び起きちゃったけど、京介はまだ幸せそうに寝ている。
その姿を眺めてると、なんかさーほわほわした気分になっちゃうんだよね。
こういうのを幸せ?っていうのかな?
よくわかんないや…へへ

……

…ふと、男の人は朝おきたらたいへんな事にっていうのをある程度は、趣味から知識として知っていたので
きょ、興味がわいて…そ、そーっと…

はっ!な、なにをしようとしてるのあたし。
純情な乙女のする事では無いと思い直してその事を頭から振り払うのであった。
あ、あぶな…で、でも…だめだってば。

ふと時計を見る。もうちょっとで6:30分になるとこだった。
その時間に目覚ましが鳴るようにセットしてあるけど、もう目が覚めていたのでタイマーを切る。
鳴ったら起こしちゃうしね。
そもそも、こんな状況で顔をあわすなんて、恥ずかしすぎてどう対応していいか困るし!

寝てる京介の顔を眺めてるのは飽きないけど、ちゃんと起きて顔を洗って髪を整えてメイクしないと読モとして
自分が許せないので、後ろ髪を引かれつつ、起こさないように…あったかい布団をそーっと抜け出すのである
寝起きの顔とかみられたくないし、その、パジャマも乱れてたし、こんな姿を晒してしまうのは、
兄妹といえど恥ずかしいのだ。
シャワー…浴びないと。

496 名前:とある休日の二人[SS] 3[sage] 投稿日:2011/03/03(木) 20:35:02.82 ID:JV2dJSc/0 [4/4]
シャワーを済ませて髪を乾かし、簡単にメイクをする。
部屋には京介がいる…ふふっ…ので洗面所で姿を整えて台所に行く。
朝食の用意をしていたお母さんになんか今日はご機嫌ねぇって言われてしまった。
そ、そうかな。
娘として、朝食の用意をしている母をぼーっと見てるわけにはいかないので手伝う。
いい子だから当然でしょ。
しばらくしてご飯の用意が出来た。食卓に並べる。けど、京介はまだ起きてこない。
あの子まだ起きてこないわね~とお母さん。

チャ、チャンス!
なんのかって?朝、妹が兄を起こしにいくという王道シチューエーションのよ!言わせんなバカ!
…目覚ましを止めたのは二重の意味があったワケよ。フヒヒッ
よし、テンション上がってキター!よし、よし、よーし!行く

ガチャ

「おはよう」


………どうしてくれんのよ。このやり場の無いキモチ。

「…………おはよ」

そんなつもりじゃないんだけど、物凄い不機嫌な顔で答えてしまった。

「お、おう」
なんか、すっごいびびってるし。
あいつの事だから、妹の部屋で一夜過ごしてしまった事を怒ってるって解釈してるに違いない。
あ~もう、こういうところはイライラする。

お母さんにもさっきまでご機嫌だったのに、急に不機嫌になってどうしたのとか言われるし、なんかテンションさがる。
むすっ。

「わ、わるいな桐乃、その、お前の部屋で寝ちまってさ、ははは…」
ほらね、ちがうよバカ。

京介は意外に思われるかもしれないけど、普段の生活態度はとてもきっちりしているのだ。
朝はちゃんと起きるし、洗濯物も自分で畳む。掃除も欠かさず、整理整頓に隙が無い。
身だしなみにも気を使ってるのか直すところが無い。センスは別として。

ようするにエロゲーによくあるだらしない兄にっていうシチュエーションにならないのだ。
もうちょっと隙を作りなさいよ!バカ!

…ってか親の目の前でなんっっって事口走ってるのよ!
お母さんは以前の事があるし…血相変えて問いただしてくるわ、お父さんは気絶してるじゃない!
はぁ、誤解を解くのが大変だった。誤解じゃなければいんだけどさ…。
はっ!ああもう、なに考えてるんだろあたし。

折角の日曜日なのにテンションだだ下がりである。
…だんだんむかついてきた。むかつくむかつくむかつく!
あーっもうこうなったら、買い物にでも行って気晴らしするしかない!

よし!そうとなれば切り替えの早いのがあたしである。
さっそく、京介の部屋に乗り込む事にした。いつものパターンである。

「あんたさ、今日暇でしょ。今から出かけるからついてきてよ」

677 名前:4とある休日の二人[SS] 4[sage] 投稿日:2011/03/04(金) 21:22:53.67 ID:TGXOmW5E0
>>496 のつづき

京介はいつものとおり、すっごい迷惑そうな返事を返すけど、そう言いつつ、あたしのお願いを断ったこと無いんだよね。
やさしい…から。

「わーったよ、行けばいいんだろ行けば」
「そ、あんたに拒否権はないんだから。き、昨日、あたしの部屋でその…」

って言ってやると、顔を真っ赤にしてうろたえる。こういうとこはかわいいんだよね。
でも、なんかさ、動揺しすぎじゃない?
あは、なんか面白い。からかってやりたくなったので、普段は絶対こんなことしないんだケド
上目遣いで唇に人差し指を当て、小首をかしげて、
「ねぇ、はやくいこ」って言ってやった。
かぁぁぁぁッ!ほっぺが真っ赤になるのがわかる。こ、これはかなり恥ずかしいかも。

ガタタッ!

でも効果は抜群だったようだ。おお、うろたえてるうろたえてる。ひひ、かわいい。

そしたら急にマジメな顔であたしに迫ってきた。な、なに?
あああ、や、やりすぎちゃったのかな?あああえええと、ど、どうしよ!
とあるゲームで得た知識から、そーいうシーンを思い浮かべざるを得なかった。
こ、こういう時は、目を瞑ってぎゅっとしてたらいいのかな…。
情けないことに今度はあたしがうろたえてしまった。

「桐乃」

京介の口からあたしの名前が紡がれる。
あああえええっと心臓がばくばくしてる。
あたし、あ、あたし、
ちょ、ちょっと待って、こここころの準備がま、まだ

「お前、俺の裸みたいのか?」

と、とととんでもないセリフをあいつは吐いた。
バチーーーン!!
気が動転して、思わずぶん殴ってしまう。

「な、なんて、なんてこと言うの!んなっんなっわけないでしょ!」
バ、バカ!変態!シシシシ、シス、シスコン!!

でも、もし本気だったら、拒む自信が…ここで、ゆ、ゆる、許しちゃうの?!
って、な、なにを!なにをなの!
って違っがーーーう!落ち着けあたし!

「ってぇぇぇ、着替えるんだよ!っつってんの!」

はっ、そうだった。昨日の寝巻き姿のままじゃん。あ、あたしの匂いがついた…。
と、ということは、あたしのパジャマにもあいつの匂いが…。
チッ……シャワー浴びたときに洗濯機に投げ込まなければよか
じゃ、なくて!
かぁぁぁぁぁっ!も、もうヤダ!は、恥ずかしくてあいつの顔まともに見れない!

「"紛らわしい言い方"すんなー!」

バターン!
物凄い勢いであいつの部屋を飛び出し、自分の部屋に逃げ込んでしまった。

856 名前:5とある休日の二人[SS] 5[sage] 投稿日:2011/03/06(日) 01:50:01.43 ID:4MXo3aPk0

あーはずかし!
ドキドキが止まらない。
ああ、もう静まれあたしの心臓!
胸に手を添えて、深呼吸する。
はあはあ、はーッ
ふぅ…。

ドキドキが止まったわけではないけど、いくらか落ち着いたので、姿見でチェックしてみた。
ああ、折角キメてたのに髪とか服とか少し乱れちゃってるじゃない…もう。
このままで、デート、じゃなくて、荷物持ちを従えてのお買い物に行くワケにはいかないので
身だしなみを手早く整えていく。読モやってる関係から、さすがはあたし、超早くて上手い。
女の子だからって準備が遅いって事ないんだからね~感謝しなさいよね~ふ、ふ~ん。
「じゃーん!完成♪」

クルリと一回転。フレアスカートの裾が見えそで見えないラインでヒラヒラする。
超かわゆい笑顔でニコッ。よし、カンペキ。
あたしが載せてもらってるファッション誌の特集によると、見えそうで見えないところが男心をくすぐる、らしい。
つーかさぁ、そういう相手には、気合いれた下着穿いていくんだし、それをチラッチラッって見せたほうがよくなくない?
…って、な、なに考えてんのよ!ち、ちがう、ちがーーぁう!
べ、べつに見てほしいとか見せたいとかそういう事じゃないんだから!
ああああ、もうーーー

『ふんふんふ~ん』

隣の部屋からなにやら鼻歌が聞こえてきた。はっ!として我にかえる。
はー…なんか疲れた。

『ロングもいいけど、ポニーもね~、うふっ』

ぶっ!げほっごほっ!
あまりにもおバカなセリフにムセてしまった。あいつ、何を口走ってるの?!
へ、へへ変態だ!キモッ!キモキモ!なにが、『うふっ』なのよ!
ま、マジ、キモい!あーキモ!ほんっとキモ!
バカ兄貴のあまりの変態っぷりに鳥肌が立ってきた。
こういう趣味に引き込んだのは、あたしなんだケドさ…、さすがにここまで進化して欲しいなんて思ってない。

昨夜の事を思い出す。
「この子かわいいなぁ、お前もそう思うだろ!」
黒髪ロングのヒロインが、リボンを口にくわえてポニーテールを結わえようとしてるイベントシーンで
物凄くテンション上がってたっけ。ちょっとした変身ってやつ?マァ、かわいかったけどさ。

かくいうあたしも、その気持ちはわからないでもないのだ。
ポニーテールがとっても似合う、超かわいい女の子を知ってるからだ。
あるちゃん、もとい、ブリジットちゃんである。
金髪ブロンドをリボンでポニーに結わえて…くぁわいいんだよね~!…ハァハァ…はっ!
ま、まぁそんな事はどうでもよくって

「あ、あんたの趣味は黒髪ロングじゃないの?」
って引き気味に聞いてみたら
京介の奴ってば、腕組みしながら、したり顔でこう言い放った。
「甘いな桐乃。リボンをほどいてポニーから黒髪ロングに戻る、その瞬間に!カタルシスを感じるんじゃねえかああ!」
「くぅぅぅぅっ!ぐっっとくるだろ!」
…………………
ドン引きである。

「そ、そうなんだ…」って返すしかなかった。

907 名前:とある休日の二人[SS] 6[sage] 投稿日:2011/03/06(日) 12:52:17.15 ID:4MXo3aPk0 [2/2]

それから京介はその子を夢中になって攻略してたっけ。
でも、どうしてかな、最近はエロゲーの女の子でニヤニヤしてるあいつを見てると、モヤモヤしてくるんだよね。
なんだろこのキモチ…。
「はぁ…」

コンコン

ひゃっ!
突然のドアをノックする音に超びっくりしてしまった。

「おーい桐乃ー、用意できたぞー?お前なにやってんだよ」
京介だ。あわてて返事をする。

「な、なんだっていいでしょ!もうちょっとで終わるから先に外で待ってて!」
「へい、へーい、なんでもいいけど、さっさとしろよー」
扉の外の気配が遠ざかり、トントントンと階段を降りていく音が聞こえる。

はーーーーっびっくりした。てか、いつのまにかこんなに時間たってるし!
カバンカバンっと。

--ふと、鏡に自分の姿が映っているのがチラッと目の端にとまる。
うん、かわいい………よね。
でも--、ちょっと気になる事があって、もう一度ブラシを手に取り髪をすく。
そして、口紅とかで"とある魔法"をかけてみた。
…………これでよし。

最終チェック。
特に問題は無いんだけど、いざとなると自信なくなってくる。
撮影の時とか、友達と遊びに行くときとか、あたしが絶対一番かわいいって自信満々なのに
……あぁぁ~もう!あたしらしくない!あたしはかわいい!かわいいの!

気合を入れ、扉を開けた。そのまま部屋を出て、京介の待っている家の外に向かう。
お気に入りのブーツを履いて、ドアハンドルに手をかける。
この扉の向こうにあたしを待っててくれる京介がいると思うと、なんかうれしくて、こそばゆい。
ちょ、ちょっと緊張してきた。左手を胸にあて、はぁっと深呼吸する。
よ、よし。「いってきます」そう言ってあたしはドアを開けた。

ドアを開けると、京介は眠そうな顔で門柱にもたれ掛かり、ぼーっと空を眺めていた。
「お、おまたせっ!」
あたしは、そう声をかけ、すこし緊張した面持ちで近づいていく。

「まあな」
こちらをチラとも見ずにテキトーっぽいカンジでぼそりと言う。
何ッソレ!そこは『待ってないよ』とか『今来たところだよ』でしょ普通!

「やり直し」
「あ~?なにがやり直しなんだよ」
「待ち合わせしてる、かわゆい『女の子』に向かってその返事はないでしょ!」
「な~にが、かわい----」
振り向きざま、言いかけて固まった。

「な、なに?」
あたしは、スカートの裾をぎゅっと握って言葉を待つ。
「い、いや、珍しいなって」
「……」
「お前が"ポニーテール"してるのってさ」

第一部オワリ



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最終更新:2011年03月07日 00:54