363 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/03/08(火) 21:04:07.06 ID:c1KdWPE90 [2/2]
※注:オリキャラ有り
SS『高校見学会』
今日は、高校の見学会の日だ。
あたしも、もう中学三年生。
そろそろ進学先を考えないといけないけれども、ちょっと迷ってる。
だって、あいつは今度大学生になってしまうんだし………
「桐乃ー?早く行こ?」
「う、うん。あやせ、そんなに慌てないでよ。」
そんな事を思っているうちに、あいつの高校が近づいてくる。
あやせに加奈子、ランちん、それに、鈴木さんと成尾さん、高橋さんに淵辺さん。
8人のグループで参加することになったのだけど、正直、憂鬱だ。
はじめに、他のグループの人と一緒に校長先生の話を聞いた。
この高校の校風とか、歴史とか、まあよくある話だ。
あたしやあやせなんかは、それでもちゃんと聞いてるんだけど、
加奈子なんか途中で寝ちゃって、ある意味うらやましい。
先生の話の次は、在校生がグループ毎に高校を案内してくれるらしい。
正直、困る。先生が案内してくれればいいのに………
ううん、別にあいつって決まったわけじゃない。
「誰が案内してくれるのかな〜?」
「やっぱ、カッコいい人が良いよね〜」
「それより、私は女の人に案内してもらう方が良いな〜」
「桐乃は?やっぱ、3歳以上年上の人が良いっていうし、カッコいい人が良い?」
「え?あたし?あたしは………誰でもいいかもぉ〜」
だって、あいつが来たってどうしようもないし、
あいつが他の女の子の目にさらされるのって、何かイヤだし。
「ええと、君たちがB班?」
「って、兄貴!?」
あたしの目の前にあらわれたのは、こともあろうにあたしの兄貴だった。
「えっ、お兄さん?」
「んー?なんだ、桐乃の兄貴かよ。」
「高坂さんって、お兄ちゃんがいたんだー!」
「えー!?高坂さんのお兄さん?やだ、結構かっこいいかも!」
みんな口々に勝手なこと言っている。これだから、イヤだったのに…
つーか何?あたしの兄貴がかっこいい?ふざけんな!
「な、なんつーか、照れるな。そ―――」
「も、もうっ!あ、兄貴困ってるじゃん?
それに、そんなに褒めたらコイツ、すぐその気になっちゃうんだからっ!」
つーか、デレデレすんなっての。
とりあえず、みんなに見えないよう、肘打ちを一発入れておく。
「ぐっ………そ、それじゃあみんな?まずは教室を見てまわろうか?」
「はぁ〜い!」
とりあえず、あの馬鹿兄貴は自分の仕事を思い出したようで、
みんなを先導して、教室に向かい始める。
あたしはとりあえず、あいつから離れたポジションを確保する。
「ここが、俺たちの教室だ。結構綺麗だろ?外がガラス張りで眺めも良いんだ。」
「そんなん誰が見たって分かるし。あんた、もうちょっとマトモな説明しなさいよ。」
あたしの友達も居るってのに、しまらないやつだ。
「ちょっ!?………そ、それじゃ、何か質問あるかなー?」
「はい!高坂さんは彼女いるんですか!?」
な!?あんたらいきなり何言い出すのよ!?
「ええっ!?か、か、彼女!?」
「うわ、動揺してる〜あやしぃ〜」
「お、お兄さん?」
「えー?こんな地味男に彼女なんているわけねーじゃん。つーか、加奈子の趣味じゃねーしよ〜」
あんたちゃんとしなさいよね!?あたしに恥かかせる気!?
「ちょ、ちょっとぉ〜、みんな落ち着いてよぉ〜。
あたしの兄貴ってさぁ、ほんっとダメでさぁ、彼女とか居ないから〜」
「え〜?本当〜」
「お、おまえ!?」
(あんた、正直に居ないって言いなさいよ!)
(お、おまえ、俺に彼女が居るかどうかしらねーだろ!?)
(あの地味子だって彼女じゃないんでしょ!?)
(そりゃ、そうなんだが…)
(何?あの黒いの?結局あれもただの偽装だったじゃん)
(わーったよ、居ないって言えばいいんだろ!?)
(何怒ってんのよ?ホントのことでしょ!?)
「あのー………」
「ご、ゴメンな!桐乃の言うとおり、俺には彼女なんていねーぜ!」
よし。とりあえず良しとしておこう。
………あれ?でも、居るってことにしておいた方が、良かったのかな?
「そっかー………」
「ふちべぇどしたの?」
「なるちゃん。わたし、分かったかも!」
「え、なになに?教えて!」
「桐乃ちゃんと高坂さん。恋人同士っぽい!」
「「………………………は?」」
えーと………淵辺さん?
「いやー、さっきの二人のこそこそした会話!
アレ、絶対禁断の恋を隠そうと色々画策していた証拠だって!」
「な、な、何いってんのよ、アンタ!?」
「そ、そうだぞ!?俺と桐乃が恋人同士のわけが!」
「くひひ、マジかよ〜。桐乃ってば兄貴と恋人なのかよ〜」
「お兄さん?言いましたよね?桐乃にいかがわしいことしたらブチ殺すって?」
「あ、あやせちゃん!?何か怖いよ!?」
「今だって、二人でそんなくっついてぇ〜」
ええっ!?そ、そうだ!あたしなんでこいつの腕握ってんの!?
「ち、違うのっ、こいつちょっと背が高いから、腕引っ張んないと顔を近づけられないの!」
「顔?近づける?」
「そっかー、桐乃ちゃんさっきはキスしようとしてたんだー」
「お、おまえっ!?キスしようとしてたの!?」
「あんた、話聞いてたのに分からないワケ!?」
「ウソウソウソ」
「あ、あやせちゃん?め、目から光彩が消えてるよ!?」
も、もうヤダっ!なんであたしがこんな目に………
「あら?先輩、騒々しいわね。」
「「く、黒猫!?」」
「黒猫………?」
なんで、こんなところにコイツがいるのよっ!?
しかも何?なんであんたが制服着て―――そっか、こいつもここの学生だったっけ?
お、おちつけ、あたし。いくらなんでも混乱しすぎだ。
「あのー………黒猫………さん?」
「そうよ。私の真名よ。」
「まな?………と、とりあえず、高坂さんと桐乃ちゃんって付き合ってるんですか!?」
ブッ!?な、なんてこと聞くのよ!?こ、このスイーツ脳!?
って、何か悪寒が………く、黒猫!?あ、アンタ、目が笑って!?
「そうよ、その通り。この兄妹は、周りの人間がみたらイラつくほどのバカップルよ。」
「「「「キャーーーー!!!」」」」
周りで、凄まじい歓声があがっている。
あたし、あしたから学校いけないかも………
「高坂ぁー!何やっとるか!」
「え?あ、す、すんません!」
「まあ、可愛い女子中学生に囲まれて浮かれる気持ちはわかるが、仕事はちゃんとしろ!」
「はい、すいませんでした!」
「そうだな………五更。高坂は浮かれとるからな、代わりに学校の案内をお願いできるか?」
「あ………はい………」
幸い、さっきの先生の一喝で萎縮してしまったのか、黒猫もそれ以降は兄貴の話をしなかった。
それに、あやせがブチ切れながらではあるけど、誤解を解いてくれた………
な、なんとか助かった………
学校の見学会が終わり家に帰り着くと、玄関で兄貴が待っていた。
「桐乃。今日はすまなかった。」
「………あんたがすぐ、女の子にデレデレするからだからね」
「と、とりあえず、誤解は解けたか?」
「………………………フン!」
誤解?………知るもんか!
「やっぱり、俺がもっとちゃんと説明しないと不味かったよな………」
「………………………」
「わかった、俺があやせや加奈子なんかに頼んでなんとかする。黒猫にも言い含めておく。」
「………………………」
「それで、それでもダメで、どうしようもなくなったら………
俺がこの先、一生お前を養ってやる。」
「き、キモッ!や、養ってやるって、あ、あ、あんたっ!?」
「な、何か俺、ヘンな事言ったか?」
「じ、自分で考えてよねっ!」
あたしは、逃げ出すように、自分の部屋に転がり込んで鍵をかけた。
い、一生養ってくれるの!?
こ、これって遠まわしなプロポーズなの!?
ヤダ、胸がドキドキしてとまらない、ホントにどうしてくれんのよ!
もうっ………サイアクなんだから………
End.
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最終更新:2011年03月10日 00:44