556 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/03/10(木) 18:38:05.41 ID:ebf+5gLS0 [2/4]
ザァーーーーーー
学校からの帰り道、急に夕立が降ってきた。
朝の天気予報では晴れだって言ってたのに!
あたしは、慌てて家に走る。
陸上で鍛えたこの足も、こう酷い夕立では役に立たないのが恨めしい。
あと家まで500m。もうひと踏ん張りだ。と―――
「桐乃!?おまえも傘忘れたのか?」
「あ、兄貴!?」
なんでこんな所で兄貴に会うんだろ?
「と、とりあえず、話してる場合じゃないでしょ!」
「すまん、そうだな。急いで家にはいるぞ!」
家にたどり着いたあたし達だけど、結局体はずぶ濡れで、
走った意味がほとんど無いような状態だった。
「それじゃ、とりあえず風呂に」
「ちょ、ちょっとあんた?こんな可愛い妹を差し置いて先に入るつもり!?」
「い、いや、先に入れって言おうと」
「そ、そう」
そうだよね。意外と気の利くところもあるじゃん!
………でも、あんたもそんなずぶ濡れで、風邪ひいちゃうかもしれないじゃん………
「それじゃ、俺は、おまえが出てくるまで、ちょっと待っとくわ。」
「ま、待って!」
「なんだよ?やっぱ、俺が先に入っていいのか?」
「………あ、あんたが途中で話しかけなければ、あたしそんな濡れなかったハズだしっ!」
「おいおい、そのまえからずぶ濡れ」
「うるさい。それに、あんたが風邪ひいてうつされたらやだし、一緒にお風呂に入ってよ。」
あれ?あたし何言って?
「ちょっ!?き、桐乃!?」
「口答えすんな。コレ命令だから。」
「わ、わけわかんねー!?全然脈絡がねーぞ!?」
「いいから。さっさとこっち来る。」
あたしは、いやがる兄貴を引っ張って、脱衣所へ向かう。
でも、仕方がない。このまま兄貴が風邪を引いたら、あたしの予定も狂ってしまうし。
「とりあえず、こっちみんな。」
「こ、こんな密着した状態で、見るもなにもっ!」
「あたしの、は、裸みたら、マジ殺すからね。」
「無茶言うなーーーっ!」
まったく、いちいちうるさいんだから。
昔は遊んだあと、よく一緒に入ったじゃん!
それに、あんたが悪いんだから、口答えする権利なんてあるわけないでしょ?
あたしは、兄貴に背を向けて、びしょびしょに濡れた制服を脱いでいく。
後ろからは、妙に大きな息の音が聞こえてくる。
まさか、あたしの体に欲情してんの!?兄貴のクセに、マジキモいし♪
………ま、またっ、あたし何考えて………
「と、とりあえず、先に風呂に入るからなっ!」
兄貴は、あたしを残して風呂場に入ってしまう。
あたしは、とりあえずあいつに体を見せないよう、
タオルを巻いて風呂場に向かった。
しょうがないじゃん!家にはお風呂一つしかないんだもん!
お風呂場では、兄貴が後ろからでも分かるくらい真っ赤になって、
必死で体を洗ってる所だった。なんか、ちょっとだけカワイイかも♪
「あ、あれー?兄貴、なんでそんなに慌ててシャワー浴びてんのかな?」
「(59…61…67…71…73…)」
「それと、シャワー浴びただけで上がると、風邪引きやすいから、
少なくとも10分は、お風呂に浸かってないといけないってテレビで言ってたから。」
「なっ………なぁっ………」
振り向いた兄貴の顔はなんかもう、泣きそうになってしまってた。
いい気味だ。これもさっきのお返しだもん!
体を洗った兄貴は、素直に風呂桶に浸かってる。
あたしが体を洗ってるときも、必死であたしの方を見ないようにしてくれていた。
でも、何度かあたし、いやらしい視線を感じたんだよねー
ほんと、妹に欲情してるなんて、キモ過ぎっ!
「そ、それじゃ、あたしも入るからね?」
「お、おう………」
あたしは、兄貴に大事な場所を見られないよう。慎重に風呂桶に入る。
こんなときでもチラチラこっち見てんだから………ほんと恥ずかしい。
風呂桶は、やっぱり古い家だけあって、大人二人が入るにはちょっと狭すぎる。
あたしは出来るだけあいつに触れないようにって、体をちっちゃくしてるのに、
あいつのがっしりした体が大きすぎて、背中と背中が触れ合ってるのがよくわかる。
「あ、あんた、もうちょっと離れられないの?」
「む、無理言うなっ!これでもぎりぎりなんだよっ!」
その後は、会話が途切れてしまう………
何か言いたい気がするんだけど、軽口一つ言えなくって………たぶん、兄貴も同じ。
会話がないから、触れ合った背中から、お互いの鼓動が感じられて………
兄貴ってば、こんなに興奮して………ほんっとシスコンっ♪
―――あたしは、気がついたときにはベッドの上にいた。
たぶん、あのままお風呂でのぼせてしまったんだろう。
運んでくれたのは………兄貴だよね?
時計を見ると、もう11時。
本当は勉強もしないといけないけど、今日だけは、今日だけはいいよね?
こんなにいい気分のまま眠れるなんて、あるわけないと思っていたんだもの………
End.
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最終更新:2011年03月13日 22:22