965 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/03/14(月) 18:09:17.32 ID:fwQaG6yM0
停電になるかもしれない日

朝、「停電になったらご飯炊けなくなるから、そうなったらパンやカップラーメンになっちゃうわよ」母親の一言だ。
なんか時間的に停電になるらしい。電気が来ないんだからしょうがない。
我が家は父親の主義もあって朝晩は必ずご飯だ。これで育ってるからパンだけの朝とかラーメンだけの夕食なんてちょっと考えられないけど。

学校が終わって帰宅する。まだ電気はきているが、急に停電になると怖いので、リビングの照明は付けずに陽の明かりで雑誌を読む。
ただいまぁー、兄貴が帰ってきた。いつもどおり冷蔵庫の麦茶を一杯飲んでいる。
ねぇ、晩ご飯がカップラーメンだけだったってことある?この家に3年長く住んでいる兄貴なら記憶あるかな。
少し考えてから「ねーなぁ、その展開は」やっぱりなぁ。

「なんだそのガッカリした顔は。あーお前コメ食いたいのか、気持ちはわかるけどな。うちの食事ずっとコメだったし。じゃあ食いに行くか」
え?いいの?
「ああ、俺も小腹がすいてるし、俺でもおごってやれる所あるからよ」

兄貴と一緒に駅の方に歩いていく。牛丼屋の前で止まる。
「ここだよ、さ、入ろうぜ」
牛丼屋なんて、と言ったら悪いけど、今まで入ったことない。こういう所って大人の男の人が行くところだと思ってたし、
あやせや加奈子とファストフードに行くことはあっても… ここもそうか、でも選択肢にはなかった。

入ってみると男の人ばっかりだ。あ、こっち見た人もいた、なんか気まずい。
兄貴は私に気を使ってか、隅の方のカウンターに席とって、私を一番端に座らせる。少しほっとした。
牛丼2つ注文しても千円いかない。へーぇこんなに安いんだ。
兄貴はよかったらお新香や卵追加してもいいぜ、お茶はおかわりできるからな、なんて解説してくれる。
牛丼が運ばれてくる。結構おいしい。兄貴おススメの、卵乗っけて醤油ちょっとかけ、をして食べてみる。ますますおいしい。

お腹を満たして家に帰る。今日は一つ、新しい経験をしたかな。大げさだけど。
でも一人で入るのも、友達と入るのも抵抗があるなぁ、ここは。

結局今日は停電は無かった。夜、ネットでその牛丼屋の検索をしてみる。たくさん店あるんだ、で通販もやってるって。
お湯で温めれば食べられます、って便利じゃない。これならご飯が冷えててもおいしく食べられるかも。
思わずポチしようかと思ったけど、その前で止めた。
買わなくてもいいかな。また食べたくなったら、兄貴にお店に連れて行ってもらえばいいんだから。
end



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最終更新:2011年03月15日 00:48