473 名前:【SS】「きりりん流」節電のすすめ1/2[sage] 投稿日:2011/03/18(金) 11:59:44.64 ID:J6MswRQi0 [1/2]
早く計画停電が終わるといいなと思い書いてみました。
23スレに書いた「枕カバー」の続きにもなっています。
皆さんの「大変」の重みは、一人一人違いますが、自分のできることをそれぞれ頑張りましょう!、


「今日からあんたの部屋、閉鎖するから。」

唐突にとんでもないことを言いやがるな俺の妹は。
「…おまえの言ってる事の意味がよくわからんのだが…。」
「ハァ?今、東日本がどうなってるか知らないワケ?」
「…東日本?あぁ。地震で大変な事になってるな。」
「そう。でね、今あたし達にできる事…なんだと思う?」
「…なるほど。節電…か。」
「そういうこと。今すぐできるし、誰でもできる。一人ひとりが意識して節電すれば、計画停電なんて必要なくなるかもしれないしね。」
「それは分かったが、じゃあ俺はどこで生活すりゃあいいんだ?」
「あたしの部屋に決まってんじゃん。」
「な、な、な、な、なんでそうなるんだ!」
「…またキモい事考えてんでしょ。あんた受験生だし、勉強くらいしかすることないっしょ?
あたしも勉強するから、二部屋電気点けるのもったいないって思ったワケ。」
「…わかったよ。んじゃ飯食ったらお邪魔するわ。」

~夕食後~
二階へ上がろうとリビングを出ると、階段も廊下も電気消えていた。
そうだよな、通る時だけ点ければかなり節電になるよな。

ガチャ
「…入るぞ。」
「そこにテーブル用意しておいたから。」
「お…おう。…サンキュ。…ん、なんか少し暗いな。」
「蛍光灯ひとつ消してあるけど、真下でやればそんなに支障ないでしょ?」
「あぁ。最初は少し暗いかなって思ったけど、以外と明るいのな。」
「じゃ…あたしも勉強するから。」

~1時間後~
…桐乃の奴、集中力ハンパねぇな…。これが完璧美少女の一面ってわけか…。
俺はイマイチ集中できてないんだが…。

~2時間後~
「さてと、こんなもんかな?じゃ…そろそろ寝るよ。」
「もう寝るのかよ?まだ10時じゃねーか。」
「こんな時だし。遅くまで電気点けとくのもったいないじゃん?」
「…そうだな。じゃ俺部屋戻るわ。」
「なに言っちゃってるワケ?」
「は?寝るだけだから電気点けなきゃ問題ないだろ。」
「だからあんたの部屋、閉鎖って言ってんじゃん!」
「じゃあ俺どこで寝りゃーいいんだよ?」
「あたしのベッド。」
「な……、おまえはどこで寝るんだよ?」
「い、一緒に寝るに決まってんでしょ!」
「ちょ…お、おまえなに考えてんだよ!」
「今日寒いし…エアコンも消しちゃうし…あんたを湯たんぽ代わりにしても…いい…カナ…って…。
それともなに、妹に欲情しちゃうワケ?」
「そんなわけねーだろ!」
「じゃあ枕持ってきなさいよ。」
「お…おぅ…。」


474 名前:【SS】「きりりん流」節電のすすめ2/2[sage] 投稿日:2011/03/18(金) 12:00:00.98 ID:J6MswRQi0 [2/2]
…なんだこれ…。どうしてこうなった?…てゆーか、やべ…俺の枕カバー……。

「ふ~ん。あんたまだアルちゃんの枕カバー使ってたんだ。」
「しょうがねーだろ!おまえが新しい枕カバー持ってこねーから……って!それ、俺の枕カバーじゃねーか!?」
「…捨てようと思ったけど、やっぱもったいないじゃん?物は大事にしないとね。
返せばいいんでしょ?あんたもあたしのアルちゃん返してよ。」
「…………。」
「ほら早く!そっちのと付け替えて!」
「…………。」


「窓際寒いから、あんた奥ね。」
「…ヘイヘイ…。」


「アルちゃん!アルちゃん!久しぶりだね~。」スリスリ(クンカクンカ)

…やべ…俺の枕カバーなのに桐乃の匂いが……。ぐあぁぁぁぁあ!
羊を数えるんだ!とっとと寝ちまおう!
2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、37、41、43、47、53、59、61、67、71、73、79、83、89、101…………
……それにしても俺の枕カバーに桐乃の匂いが付いてるって事は、使ってたって事だよな……。
「…桐乃…。なぁ…起きてる…か?」
ギュッ
「!!……桐…乃…さん…?」
「……一緒…に…いて…くれ…る…?…ずっと…そばに…いて…くれ…る…?」
「ど…どうした?大丈夫か?」
「…………。すーすー…。」
「なんだ…寝言か…。」
そうか…。こいつ強がってるけど、地震怖かったんだな……。まだ中学生の女の子だもんな…。
俺は桐乃の方へ向き直り、頭をそっと撫でてやった。
「桐乃。俺が護ってやるからな。」
……ん?なんだ…この既視感……。
あれはたしか…桐乃が幼稚園だった頃、リビングで地震があって停電になって……。
親父もおふくろもいたのになぜか俺に飛びついてきたっけ……。
その時、同じセリフを言ったような気がする。

『…おにいちゃん…こわいよぅ……。』
『大丈夫。お兄ちゃんはここにいるからな。桐乃を離したりしないから、心配いらないよ。』
『ほんとに?いっしょにいてくれる?ずっとそばにいてくれる?』
『うん。お兄ちゃんがまもってやるからな!』
『やくそくだよ?』
『うん。やくそくな。』

ハッ!そういえばあの雷の日も停電になってビビってたっけ…。
そうか…。こいつ停電が怖かったんだな……。
だから、計画停電が早く終わって欲しいって思ったのか……。
じゃあ俺も桐乃のため、被災地の人達のために自分ができる事をしないとな。
…「やくそく」…しちまったしな。

そして俺はあの約束の日と同じように、ギューッと桐乃を抱きしめた。

~終~



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最終更新:2011年03月20日 22:27