785 :【SS】 :sage :2011/03/21(月) 22:12:08.00 (p)ID:OKAY0pl10(3)

「えへへ・・・」
取材と称してクリスマスデートをした日の夜、
あたしは一人にやけながら今日アイツに買ってもらったピアスを眺めていた。
値段はそんなに高くないけど、安物ってほどじゃないし、何よりあいつが買ってくれたのが嬉しい。
『お前がムリヤリ買わせたんだろ!』って言われそうだけど、ホントに嫌なら買ってくれないよね?

もう寝るような時間帯だというのに、また取り出してつけてみる。
鏡に映るピアスをつけたあたし――なんだか嬉しくなってくる。

「な、なんか彼女っぽくない?///」

我ながらバカなセリフだと思う、でも言いたい。
自分の耳を飾るそのアクセサリが、自分がアイツに所有されてる証に思える。
鏡を見ながらニヤけるあたしなんて誰も想像した事はないだろう。
誰にもこんな事は言えないし、こんな姿は見せられない。
もちろん、アイツにも―――――


そっとピアスを外して箱に仕舞う。
部屋の明りを消して布団にもぐりこむ。
壁の向こうに居るであろうアイツの姿を思い浮かべ目を閉じる。

――言えない、言えるわけが無い。受け入れてもらえるわけが無い。
そんなことは誰に言われなくてもわかってる。
でも誰に言われたってわかりたくない。信じていたい。

きっと覚えていてくれる――高校二年のクリスマスにデートした相手はあたし。
あたしがこのピアスをしている限り忘れられたりはしないはず。
この先どうなろうと、今日一日のアイツの記憶はあたしのものだ――

誰にも渡したくない、アイツの隣にいるのはあたしでありたい。
あといくつ積み重ねたらいいんだろう?不安で涙が出てくる――

アイツがあたしを避けていた時、あの幼馴染は色んな思い出を共有してるだろう。
突然現れた良く知らない誰かにアイツが心を奪われるかもしれない。
そもそもアイツがあたしをどう思ってるかなんて全然わからない――
ううん、わかってる。けどわかりたくない。そうじゃないって信じたい。


「神様お願い・・・」
クリスマス・イブの夜、ただ祈るしか出来なかった――



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最終更新:2011年03月26日 23:19