905 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/03/23(水) 16:42:12.23 ID:3kErDkBJ0
リアのベッドの存在が忘れらてる件について

935 名前:あの日のリアのベッド [SS][sage] 投稿日:2011/03/23(水) 21:18:51.50 ID:LP5ospEI0
>>905を見て閃いた

あの日、あの晩、なにがあったか話そう。
リアのベッドについてだ。
何故かって?
それはアメリカ合宿の時の話になると、どういうワケか、リアのベッドの存在が忘れられているからだ。



あの日のリアのベッド SS



「ふぁ〜…ねむ…やばいな。そろそろ今晩泊まるホテル探さないと野宿になってしまう」
「あんたバカ?この時間からこんな見知らぬ土地でホテルとかとれるわけないでしょ」
「うお、マジか!その辺全然考えてなかったぜ。やべぇ、野宿か…」
「バカじゃん?大丈夫。入寮許可貰いに行った時に今夜はここに泊まってもいいって言ってた」
「マジか!それはありがてぇ…てか、先に言えよ!」
「えー?言ってなかったっけ?」
「言ってねえよ!」
「ま、いいじゃん。かわゆくて、ちょーやさしい妹に感謝しなさいよね」
「へいへい」
「なにその返事。やりなおし」
「やりなおしって…」
「ダメ、もっと感謝してくれないと」
「お前って奴は…ったく変わってねえな」
「ほら、早く」
「わあったよ」

「桐乃」
「ありがとな」
 ニコッ

どーーーーん

「ってぇ!何すんだよ!思い切り突き飛ばしやがって!」
「キモッ!」
「キモッて…何が気に入らなかったのかしらんが、そんな顔真っ赤にして怒るなよ。ほんと感謝してるんだからよ…」
「べ、べつに怒ってるわけじゃ…」
「じゃ、なんだよ」
「な、なんだっていいでしょ!」
「あーったく、相変わらず意味わからんなお前は」
(…………ばか)
「ん?」
「なんでもない!」

「そ、そうか。まぁ、それはそれとして、そろそろ寝たいから部屋に案内してくれ」
「は?」
「え? いや、だから来客用の部屋とかあるんだろ?」
「あのねえ、そんな部屋、寮にあるわけないっしょ」
「だいたい、そんな部屋あったとしてもあんたを女の子ばっかのここに野放しにできるかっての」
「わかってる?あんたが、寮の子に手を出したら妹であるこのあたしまで…ああ考えただけで、」
「おい、てめえ! 俺をなんだと思ってやがる!」
「かわいい女の子を見るとすぐデレーっとして手を出す変態シスコンバカ」
「シスコン関係ねぇ!? それに手なんて出すわけねえだろ?!」
「どうだか。黒いのや沙織、それにあやせにも粉かけてるし」
「んぐっ、し、してねぇよ、そんなこと」
「なに口ごもってんのよ」
「く、口ごもってねぇ!お前が急に妙な事を言い出すからだろ!」
「あっそ……、まあいいケド」


「どっちにしても女の子だらけのこの寮であんたを別の部屋に置いとくとまずいの」
「何が不味いんだよ」
「あのねえ、いつもは女の子しかいないから、下着姿とかで平気で出歩いてるの」
「そんなのに出くわしたら、相手の子泣くよ?この寮から即効追い出されるよ?もちろんあたしが率先して叩き出すよ?」
「くっ、たしかにそうかもしれん。あぶなかったぜ」

バシーン

「いってぇ!なにすんだ!」
「あ、あんた、何急にデレーっとしてんのよ!キモッ!セリフと顔、全然あってない!」
「ばかな!」
「…あんた、今の顔鏡で見てみたら?…それに」
(それにあんた見て惚れられたら困るし…)
「ん?」
「な、なんでもない!」


「そーいうわけだから、あんたはこの部屋に泊まるの」
「わかった?」
「わかったつーか、選択の余地無くね?」
「かわゆい女の子と一緒の部屋で寝られるんだから感謝しなさいよね!」
「なーにが、かわゆい女の子だよ、お前、妹だろが」
「まあ、かわいいってところは否定しないが」
「え?」
「い、いや、なんでもない」
「へー、あんた、あたしの事かっわいいんだぁ」
「くっ、ニヤニヤするのをやめろ!」
「シスコン〜」
「も、もう寝る」
「ふぁ〜さすがに強行軍過ぎて超疲れたぜ…」
「そう…だったね」


「じゃあ、こっちの空いてるルームメイトのだっけ?ベッド使っていいんだよな」
「よっこい、」
「ダ、ダメーーーーー!」

どーーーん

「うおっ!な、なにしやがるてめぇ!」
「そっちのベッドはダメなの!」
「お、おい、意味がわからんぞ。お前この部屋で寝ていいって言っただろがよ」
「あんたね、なに年頃の女の子のベッドで勝手に寝ようとしてんのよ」
「ありえなくない?」
「なにがだよ!」
「あのねえ、知らない男の人に勝手に自分のベッド使われたって思ったら、
 ルームメイトの子気持ち悪がって泣いちゃってトラウマになっちゃうでしょ」
「そ、それに女の子のベッド、くんくんするに決まってるし…」
「ひどくね?!」

バシーン

「ってぇ!またかよ!」
「なにデレデレしてんの!」
「してねえ!」
「してるし!」
「はぁ、これだからあんたから目が離せないのよね…」
「てか、あんた、ちょっと変態になってない?」
「なってません」
「まあいいケド」
「いいのかよ!」
「いいワケないでしょ」
「………」


「じゃあ、どうすんだよ。地べたに這いつくばって寝ればいいのかよ」
「でもまあ、野宿とかより遥かにマシだからいっか」
「あのねえ、さすがのあたしでも、わざわざかわゆい妹に会いたい一心でこんなところまで来るバカに
 そこまで酷い扱いはしないよ?」
「え?それなに語?」
「あれ?日本語でしゃべってるよね、あたし?」
「………」
「だからね、あんたはあたしのベッドで寝なさい。あたしがそっちで寝るから」
「え?でもお前、知らない男に自分のベッドで寝られるのって嫌って言わなかったっけ?」
「別にあんた…知らない男じゃない、し…」
「で、でもよ、ほんとにいいの…か?」
「いいって言ってるっしょ?」
「あ」
「はは〜ん、ひょっとして、意識しちゃってる?」
「し、してるわけねえだろ!」
「ひさしぶりに妹に会って、その妹のベッドで寝るシチュに興奮して寝れないんだぁ〜」
「んなわけねえだろ!?」
「それでくんくんするんでしょ〜、キモ〜ッ、シ〜スコ〜ン」
「シスコンじゃねぇ!」
「お前がいないと寂しいんだよ」
「ぶほッ!」
「一緒に帰ろうぜ。じゃないと俺、死ぬかもしれない」
「ぐううううあぁぁぁぁ! わ、忘れろぉ!」
「キャハハハッ、忘れてやらないもんね〜、一生忘れないよ」
「くぅうぅ、俺はこのネタで一生弄られてしまうのかぁぁぁ!」
「うん、一生ね」
「はあ、そうかよ…、しかし、お前嬉しそうだな」
「だって、嬉しかったか、」

どーーん

「おふッ!またかよ!」


「はあ、でもほんと疲れたからもう寝るわ」
「うん」
「おやすみ、桐乃」
「うん、うん、おやすみ」
「う、なに泣いてるんだよ…」
「な、泣いてないよ…ただの欠伸だよ…」
「ごめんな…俺の我侭で、夢を諦めさせちまうような事させてしまって…」
「一生、お前に恨まれても…しかた…ない…こと…させて…」
「でも、あり…が、とな、嬉し……」
――ぐぉ〜…

「バカ…ほんと、バカ」
「…おやすみ、お兄ちゃん」




ちゅんちゅん


「ふぁ〜、良く寝たぜ、そういや今何時だ?」
「ん?」
「ふにふに?」
「ぷにぷに、気持ちいい…」
「なんだ、このやわらかいの…」
「うおぉぉぉぉ!?き、きり」


「ふあ〜、あ、兄貴、おはよ〜」
「おおおおおはよって、お、おおま、なんで一緒のベッドで寝てるんだよ!」
「え?…き、き、」
「んぐ!?」
「バ、バカ、悲鳴あげそうになるんじゃねえ!俺が終わってしまうだろ!」
「んぐんぐ!?」
「いいか、落ち着け、素数をか、考えるんだ」
コクコク
「よし、手を離すぞ、いいか?」
コクコク
「はぁー」
「よし、落ち着いたようだな」
「あのね、一ついい?」
「なんだ?」

バッッシーーーーン

「ぐほぉあっ!」
「なにすんだお前は!」
「とりあえず、殴らせて」
「なんで!?ちょー理不尽な!?」
「それとね、素数は、数えるものよ」


「んでもよ、お前、なんでこっちのベッドで寝てるんだよ」
「昨日はたしか、そっちのベッドで寝るっていってただろうがよ」
「え、え〜と、あたしもそっちのベッドで寝てたはずなんだケド、
 夜トイレ行った後、たぶん癖で自分のベッドに戻ったんだと思う」
「俺、悪くねえじゃん、なんで殴られるの!?」
「いいじゃん、別に」
「よくねえよ!」
「あんた、あたしが寝てるのをいい事に、ふにふにしてたんでしょ?
 ぷ、ぷにぷに…とか、エ、エッチな事…し、した?」
「してません」
「なんでそこは敬語なの?」


「さあ、もう朝だし、起きるとするか」
「ちょ、ちょっとあんた、」
「おはよう桐乃」
「う、お、おはよう」


「なんで顔真っ赤にしてるんだよ」
「い、いやだって、一緒のベッドに並んで入ってて、おはようとか…」
「あ、あんただって、顔真っ赤じゃん!」
「お前が変な事言うからだろ!」
「「………」」

「「起きよう」」


「とりあえず、あたしシャワー浴びて着替えるから、その間にあんたも着替えてて」
「言っとくけど、覗いたら殺すから」
「覗かねえよ!?」

ゲシッ

「ってぇ!なんで蹴るんだよ!」
「なんとなく」
「お前って奴はっ!」



「それじゃ、強化合宿のキャンセルとか、退寮とか、帰国の手続き始めるね」
「おう…」
「なんであんたが落ち込んでんのよ」
「いや、だって、」
「もういいの。あたしがそうしたいって決めたから」
「そうか」
「よかったじゃん?あたしと一緒に帰れて嬉しいんでしょ?」
「う、ま、まあ」
「にひひッ」


「ほら、いくよ」
「お、おい、ひっぱるなよ」
「いいから」


そうして俺たちは、しっかり手を繋ぎ、部屋から飛び出したのだった。



オワリ



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最終更新:2011年03月26日 23:29