83 名前:反転銃【SS】1/2[sage] 投稿日:2011/03/25(金) 01:13:32.12 ID:BnGnzQsA0 [1/2]
説明しよう!
今、俺の手にある近未来チックな光線銃。
これはなんと、光線を当てた相手の好き嫌いが反転してしまうという未来道具なのだ!
おぉっと、どこから手に入れたなんて野暮な事は言いっこなしだぜ。
で、誰に使うのかって? そりゃもちろん……。

「アンタそんなトコで何突っ立ってんの? 邪魔なんですケド」

この小生意気な妹・桐乃に使って、お兄ちゃん大好きな可愛い妹に変えてやるぜ!
……あ、もちろん後で治すから、そんな冷たい目で見ないでくれ。ちょっとした悪戯だ。

「ちょっと、聞いてんの?」

桐乃は相変わらずの蔑んだ目でこっちを見ている。
だがそんな目をしていられるのも今のうちだぜ……くらえ!

ビーーーーーーーッ

「きゃっ!」

よし当たった! さあ、効果のほどは……?

「……ウザ。何してんの? マジ迷惑なんだけど」

あれ? なんで? 普段と変わらない……いやむしろ悪化しているような。
ええいもう一度だ。

ビーーーーーーーッ

「ちょっ、ほんと何してんのアンタ。意味わかんないんだけど」

ビーーーーーーーッ

「……だからウザいって言ってんでしょ? 何? 耳聞こえなくなったの?」

ビーーーーーーーッ

「ちょっと、さっきから子供みたいな事して……。ア、アンタそんなにあたしに構って欲しいワケ?」

な、何故だ……。何度やっても変化が見られない。
なんでだ? 故障か? 不良品なのか?
そんな事を考えているうちに桐乃が詰め寄ってくる。

「何無視してんのよ! 大体なに? その子供っぽいデザインのオモチャみたいなの」
「あ、ああ。これな……」

もう計画はご破算のようだし、素直に白状する。

「うわ、マジありえない。それであたしをエロゲみたいな妹にしようっての? バッカじゃないの?」
「いやその、ほんの悪戯心でな……いや悪かったよ」
「……でも、そっか。それでさっきは、あんな……」

ん? 桐乃は何か思うところがあるのか、考え込むような仕草を見せる。
と思いきや、

84 名前:反転銃【SS】2/2[sage] 投稿日:2011/03/25(金) 01:14:08.74 ID:BnGnzQsA0 [2/2]
「ちょっとソレ貸して」
「あっ、おい!?」
「ふっふーん。これでおあいこでしょ?」

そうして俺に光線銃を向けて……。

ビーーーーーーーッ

その瞬間。
俺の中で何かが劇的に変化した。
なんだ? この沸き上がる感情は。
この……この……これは……。

「どう……かな?」

目の前には、愛しい妹がこちらを覗き込むような仕草をしている。
なんて……なんて可愛いんだ!
思わず力一杯抱き締める。

「ちょっ! な、な、なにして……」
「ああ、なんで今まで気付かなかったんだ! 妹が……こんなに可愛いだなんて!」
「え、マ、マジ? ほんとに?」
「本当だとも! お前は俺の愛しい愛しい、この世で唯一無二の妹だ! 愛してるぞ!」
「あ、うあ、あ……」
「ああ妹って良いなぁ……。妹ってだけで、もう他に何もいらないぜ……」
「………………は?」
「む、どうした? 我が愛しい妹よ」
「ねえ、あくまで仮定の話だけど……もしあたしが妹じゃなかったらどうなの?」
「何を言うんだ! 妹ってのは最重要のファクターだろう! それがなかったら全てが色褪せる……妹好きのお前なら分かるだろう?」
「…………ウザ」

ビーーーーーーーッ

あ、あれ? 俺は何をやって……。
視線を下ろすと、なにやら不機嫌そうな顔の桐乃が俺の腕の中に居る。
腕の、中……。

「うおわっ!」

慌ててザザザッと距離を取る。
さっきまで平気だったのが嘘みたいだ。
そんな俺の顔面にガンッ!と光線銃が投げつけられる。

「イッテエなおい!」
「……ふん。壊れてんじゃないの? ソレ」

だからって投げつけなくても良いだろ。この可愛くねえ妹様はよぉ……。
でも確かに桐乃の言う通り壊れてんだろうな。
だってさっき、好みが反転したはずなのに全然『桐乃』を好きになんてならなかったし。

「……ねえ」
「どうした? 桐乃」
「ん……やっぱ、こっちで良い」

そう言う桐乃の顔は、少しだけ満足げに見えた。


End



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最終更新:2011年03月26日 23:46