133 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/03/25(金) 17:28:25.89 ID:58+qT8rw0 [2/3]
進路相談
冬の、たぶん今年一番寒い日のことだった。朝礼のとき担任が今日から進路相談やるので3時から出席番号順に10分おきで進路指導室に来るように、とのことだった。
「今日は高坂さんまでね」ってあたしが一番最後か。部活あるしいつでもいいか。
授業後、1時間トレーニングしてから、進路指導室に行く。進路か、あまり考えたことなかったな。あ、あたしの番だ。
失礼します、といって部屋に入る。
「高坂さんは、将来なりたい職業とかありますか」って、うーん。具体的にはねえ…
「夢だってなんだっていいんですよ。モデルやアイドルなんて言った人もいるし」うーん夢でもいいか。
なんでもいいっても、荒唐無稽なことでもいいのかな、科学者になってメテオインパクト作るとか?
いやもう少し現実をみよう、現実って。思い浮かぶのは親友、陸上、両親そして兄貴。兄貴とずっといたい。でも結婚はできない、それはわかっている。
じゃあ
医学者になって、兄妹で結婚しても遺伝的に問題ないことを立証するとか?
国会議員になって、兄妹でも結婚できるように法律変えるとか?
うーん。
「どうしたの?高坂さん、にやにやしているけど」先生の一言で我に返った。
「高校は陸上でやっていきたいとか希望はある?あるのなら夏の総体で結果を出す必要があるけど」
父との約束で、勉強もスポーツも頑張ることになっているので、両方やりたい、と話すと、
「そうね、高校は普通科に行って、高校の間に将来のこと考えるのもいい考えですね。志望校とかある?」
志望校か… なんか高校もいまいちイメージわかないな。
「普通科希望で志望校は未定にしておくけど、なるべく早く決めておいた方がいいですよ、決めたら目標ができて勉強もはかどると思うし」
もっともな話。はい、とうなずいて、相談を終える。
帰路、一人でいろいろ考える。進路か、あんまり考えてなかったな。なんでだろう。
今で満足しているからかな。親友もいて、学校で勉強も陸上も頑張れていて、仕事もしっかりやれている。
オタク趣味は世間的にはちょっとアレだけど、沙織や黒いのとも話ができてちゃんと楽しめているし。
両親はいい人だし、そしてなにより、兄貴はあたしに超やさしい。
将来は将来として、今をもっと生きていたい。でも時間は有限。そうならもっと時間を有効に使おう。
今あたしにできることは。そう思うと、兄貴のいる家に早く帰りたい、早く兄貴に会いたい。あたしはだんだん小走りになっていく。
end
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最終更新:2011年03月26日 23:48