761 名前:【SS】かもしれない[sage] 投稿日:2011/03/30(水) 21:41:26.37 ID:/4Rr627MP [4/4]
「けっ、あのバカ。あんなメールする前に言うことがあんだろうがよ」
アメリカへ向かう飛行機の中、俺は妹への文句で頭が一杯だ。
何が全部捨てろだ。誰がお前の言うことなんざ素直に聞いてやるかよ。
お前のせいで俺は散々な目にあってるんだからな。
親父たちには言ってたくせに俺には何も話さずに行っちまいやがって。
心の準備が出来てないせいで、黒猫には俺が黒猫をお前の代わりにしてるって言われるし。
沙織には寂しがってるんじゃないかと言われるし。
――今更否定する気もねえけどさ。
なのに漸く連絡が来たと思えばあんなメールが一通だけ。ふざけるのもいい加減にしろってんだ。
何であんなメールをよこしやがったのかきっちり問い詰めてやるさ。
俺だけならともかく、あやせや黒猫、沙織たちにも連絡しなかった理由もな。
「ふん。心配かけさせやがって……」
あんなことを言い出す今の桐乃の状況がどんな風になってんのか知らんが、相当切羽詰ってんだろうな。
親父に見つかった時も、あやせと絶交になりそうになっても捨てなかったものを今更捨てろだなんてよ。
アレは桐乃のでっけえ部分を占めるもんだと言っても過言じゃないだろう。それを捨てるなんて俺に出来るかってんだ。
俺は桐乃の兄貴だからな。あいつに預けられたもん、あいつのいないところで勝手に捨てられるか。
実際に会ったら言ってやりたいことはいくらでもあるが、会って一発目になんていってやろうか。
変にひねっても空気読めないようでなんか嫌だな。さてどうしたもんか。
桐乃の驚く顔を想像するだけで何故だか気分が高揚してくるのがわかる。
これじゃぁまるで、俺があいつに会えるのが楽しみみたいじゃねえか。ありえねえけどさ。
まあ、なんにせよ――――
久しぶりに、桐乃の顔が見れるな。
自分が思っているより疲れていたのか、そんなことを考えながら俺はいつの間にか眠りに落ちていった。
そして――
「よ、久しぶり」
お前はどんな反応してくれるんだろうな。桐乃。
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最終更新:2011年03月31日 02:17