935 名前:【SS】とある未来の深夜にあったそんな出来事 1/2[sage] 投稿日:2011/03/31(木) 20:30:03.48 ID:3W2W4F9zP [3/4]

「……なんであんたはこんな所で寝てるのよ」

確かにさ、毎度のこととはいえ深夜にあんたを呼び出すあたしも悪いかもしれないけど、それでも人のベッドで勝手に寝るってどうなの?
ぐーすかとのん気に寝ちゃってさ。そんなにあたしのベッド気持ちいいのかな?
それともあたしの匂いに包まれて気持ちよくなってつい寝ちゃったとか! ……そうだったら、嬉しい、かな。絶対に口に出してやんないけど。
それにしてもまあ、間抜けな寝顔よね。
あたし達の関係がただの兄妹から変わって、あたしがあんたと二人きりになる時どんな気持ちになってるかこいつは気付いてるのかな。
あたしだけがドキドキしてるんだったら、それは随分不公平な話だ。
そう思うとこの間抜け面が随分と憎らしくなってくる。

「うりうり。あんたなんてこうよ。あ、こいつのほっぺ思ったよりやわらかいかも」

ツンツンと京介の頬をつついてやると「うう~ん」と鬱陶しげな声をあげる。いひひ、いい気味よ。
人のベッドで勝手に寝てるあんたが悪いんだかんね。
そんな調子で色々寝ている京介を弄り回した後あたしはこいつの横に寝転がった。

「ほんと。なんでこんなやつ好きになっちゃったんだろ」

なんて自問するけどそんなことはわかりきっているのだ。今更確認するまでもない。
体を張って護ってくれた。あたしを手放さないと言ってくれた。
すれ違っていた部分もあったけど、それがどうしようもなく嬉しかった。
素直になるのは難しくて。でも気持ちが通じ合った時は最高の気分で。
色んなことがあったけど、だからこそこの気持ちは確かなものなんだと思えるのだ。

「兄貴……京介。あたし、あんたのことがどうしようもなく好きなんだかんね。責任、取ってくれないと許さないから」

京介が寝ている今だからここまで素直になれる。って言うのもなんか変だケド。
こいつの目の前で完全に素直になれることは、多分いつまでたってもこないと思う。
でもそれはきっとお互い様なんだろう。こいつだって、流石あたしの兄貴というべきかとことん素直じゃないしね。

「ずっとずっと、あたしの傍にいてよね」

素直な自分が少しおかしくて、ふふっと笑い声がもれる。なんとなく顔が見たくなって京介の顔を覗きこむ。
それであることに気付いた。あれ? こいつもしかして……バーカじゃんっ。

「京介、愛してる」

ちゅ

「さて、と。あたしもそろそろ寝ないとね。下で軽く水分とってから寝ようっと」

そう言ってあたしは部屋を出た。

936 名前:【SS】とある未来の深夜にあったそんな出来事 2/2[sage] 投稿日:2011/03/31(木) 20:31:07.37 ID:3W2W4F9zP [4/4]
軽く水分をとって部屋に帰ってみれば京介が目を覚ましていた。

「すまん桐乃。つい寝ちまってたみたいだ」
「ホント。勝手にあたしのベッド占領されてあたしはいい迷惑だったんですケド~?」
「だからこうやって謝ってるじゃねえか」
「はいはい。わかったから寝るんだったら部屋行って寝たら? それともあたしと一緒に寝る?」
「ば、ばか言ってんじゃねえっての!」
「なあに? あんたもしかして照れてんの? あんたシスコンなんだからここは飛びついてくるところでしょ」」
「お前は俺をどういう人間にしたいんだ!?」
「変態シスコンのばか兄貴?」
「はっきり言うねお前も!?」

ちょっとからかってやってるだけなのに慌てる京介が面白くて仕方がない。
でも流石に時間も時間だからそろそろ切り上げないとね。一緒にはいたいけど、別に明日会えないわけじゃないし。
こういうとき一つ屋根の下って便利だよね。

「はあ……俺部屋戻って寝るわ。おやすみ、桐乃」

呆れつつも穏やかな顔でそう言ってくれる京介。相変わらず優しい。
そんな、ドアノブに手をかける京介の背中に、あたしはさっき気付いたことを言ってやった。





「ねえ、あんたって思ったこと顔に出やすいって、知ってた?」




END



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最終更新:2011年04月01日 00:54