38 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/01(金) 01:19:30.35 ID:cAjysAeF0

SS『エイプリル・フール』※俺妹ipネタ


「兄貴………そのっ、どうしても言っておきたいコトがあるんだけど。」

夕食の後、俺の部屋にあらわれた桐乃は、そう言って顔を赤らめる。
心なしか、息も荒く、目が潤んでいるようにすら見える。

「い、一体どうしたってんだよ?」
「あ、あのさっ、あんたにはいつも助けてもらっててさ、
 それにっ、最近は結構カッコイイかなって思えるときもあるし………」
「お、俺がカッコイイ!?」
「だ、だからっ………あんたのお嫁さんに、なってあげようか?」

こいつ………こんなに、俺の事想ってくれてたのか………
その気持ちに、応えない訳にはいかないよな。

「よし、さっそく式の手配をしようぜ。親父とお袋には、俺の方から話してくる。」
「えっ、ええっ!?」

そうだよな、日頃からヘタレと思われてるしな、この反応は当然か。
ここは一つ男を見せてやらないとな!

「待ってろ。親父に殴られようが何しようが、話をまとめてきてやるぜ!」
「ちょっ、ちょっと待―――」

俺は桐乃が止めるのも待たず、階下に駆け下りる。

「親父っ!!俺と桐乃の結婚を許してくれっ!!」



―――2ヵ月後、俺の隣には純白のウェディングドレスに身を包んだ桐乃が居た。
ただでさえ可愛らしいのに、今日はまるで、本物の天使が舞い降りてきたようだ。

「あ、兄貴………本当に私で、良かったの?」
「そんなに何度も確認すんなよ。俺は、お前と一緒になれて、本当に幸せなんだから」
「そ、そのっ………あの日、あたしが結婚を申し込んだ日の日付って覚えてる?」
「ん?なんか妙な事を気にするやつだな?そんな大事な日、忘れるわけねーだろ?
 あの日はちょうどキリも良い、4月1日………4月1日!?」
「じ、実はねっ、あの日、本当は冗談のつもりであんな事言っちゃったの。」

俺は呆然としてしまう。
俺は、え、エイプリルフールを真に受けて、こんな暴走をしてしまったってのか!?
………
………だけどな、桐乃。

「それで、兄貴の事騙してしまった気がして、ずっと不安で、あたし―――」
「この二ヶ月。」
「えっ?」
「おまえと心を通わせて、愛を育んできた事実は変わらないさ。」
「う、うんっ、ありがとっ、兄貴!………大好きっ!」
「俺もさ。愛してる。桐乃。」

教会の扉が開かれ、俺は桐乃の腕を取る。
これが、俺たち二人の新しい一歩なんだ。


End.



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最終更新:2011年04月01日 16:18