62 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/01(金) 11:44:24.10 ID:ixhKqI67P [1/2]


ズキリ

頭に鈍い痛みを感じながら、俺は目を覚ました。
うっすらと開いた目から見えるのは見覚えのある、しかし自分の部屋ではない天井が見える。
しかしこの天井はどこで見たんだったか。
寝ぼけと頭痛から頭がしっかりと回ってくれない。
ぼんやりとした頭で考えているとふと、腕に温かみを感じた。

(なんだ?)

頭を動かすのも億劫だが見ないことには何があるのかわからない。
そう思い、頭をぐるっとその温かみのほうへと巡らせて最初に目に入ったものに、俺の眠気は吹っ飛ばされた

さらさらと流れるように綺麗なライトブラウンの髪。
端整ながらも、本人は結構気にしている丸顔。


そこには俺の妹、桐乃が俺の腕を抱くようにして眠っていた。


(待て。まて待てマて待テまて待て!これは一体どういう状況だ!?
 俺が桐乃と一緒に寝てる? 何でこんな状況になってやがるんだ!?)

顔に冷や汗とも脂汗ともつかない汗を流しながら俺は必死に考える。
ズキズキと痛む頭が鬱陶しいことこの上ないが、少しづつ昨晩のことが思い出せてきた。

(確か昨日の夜もいきなり桐乃に呼び出されて、シスカリしてたんだよな。桐乃と二人で。
 んで、その途中にのどか沸いたって言う桐乃が飲み物持ってきて……)

そう、たしかジュースがなかったとかで、適当にあるもの掴んできたって俺に渡したのが――
ぐりっとさっきとは逆方向に首を回せば、昨日俺が使っていたであろうノーパソと、その横に今俺が受けているこの頭痛の原因を発見した

(か、缶チューハイ――っ!)

つまるところアルコール類だったわけである。桐乃もとんでもないものを引っつかんできてくれたもんだぜ。
大して飲んだ覚えもないのにこの頭痛。どうやら俺は酒には弱いらしかった。

そんなことを考えているうちに俺の頭も漸く本格的に動き出したんだろう。
まず一番最初に気付かなければいけなかったことを、いまやっと認識した。
いや、もしかしたら、気付いていながら現実逃避をしていたのかもしれない。

さっきも言ったが、俺は今桐乃と同じベッドで寝ている。まあ、これは百歩、いや千歩譲ってよしとしよう。
でも、でもよ。流石にこれはありえないにも程があるだろう―――っ!!


そう、何を隠そう俺と桐乃はお互いに下着姿だったのである


そっかそっか、どうりで肌寒いと思ったんだよなー。下着だったらしょうがないよな、うん。

……………俺は一体何をしでかたんだーーーーーーーーー!!!?!?

そういえば、昨日はチューハイを飲んで少ししたあたりから記憶が抜けている。
ま、ま、ま、まさかと思うが…………お、俺は桐乃を!?

「ううぅん。うっさいわね……もうちょっとねかせてよぅ」
「き、桐乃!? 起きたのか? 頼む起きてくれ! 起きて下さいお願いします!!」
「うぅんふ、もう。何なのよ一体……っ!? あ、あんたなんでこんなところに!?
 ま、ま、まさかあたしが寝てるのをいいことに変なことを!?」
「ち、違うぞ! お、お、俺がそんなことするわけねえだろ! したかもしんねぇけど!!」
「んな!? ななななな何言ってんのあんた!?」

やべえ、勢いで言わなくていいことまで言っちまった!
ああもう! こうなりゃどうにでもなれだ。とにかく事情を聞かねえと。

「とりあえず落ち着け! んで出来たらこの状況を俺に教えてくれ」
「はあ!? この状況ってあんた何を―――っ! ……ああ、そっか。そういえば……」

どうやら桐乃はなんでこんな状況になっているか分かっているらしかった。
聞くのがひっじょーーーーーに怖いんだが聞かないわけには行かないだろう。俺は意を決して桐乃に聞いてみた。

「お前知ってるのか? だったら教えてくれ! 俺は桐乃に何をしたんだ!?」
「な、何ってあんた。それは……」

俺から目を逸らして言いずらそうにしている桐乃を見て、さっき以上の冷や汗が背中を伝う。

「ん?今日って………だとしたら……」
「桐乃?」
「あ、な、なんでもない! そ、そうね。あんた覚えてないみたいだし、仕方ないから教えてあげる」

桐乃の顔が赤い、というよりドンドン赤くなっていく。これはやっぱりそういうことなのか!?

「き、昨日あんたがお酒飲んじゃって、しばらくして急に大人しくなったからさ。あたしはどうしたんだろうって思ったわけね」
「お、おう」
「声かけても返事しないし、もしかして寝たのかなって思って近付いたら」
「…………」
「い、いきなり押し倒されて! そ、それからあんた、あたしを――」
「もういい!! もういいから!!」

恐れていたことは既に起きた後だったわけか。どうしたもんだろう。
酒を飲んでいたとはいえ、桐乃を襲っちまうとは……俺ってホントに変態鬼畜シスコン野郎じゃねえか。

「あ、兄貴?」

桐乃が不安そうな顔をして俺を見てくる。そりゃそうだろうな。
俺みたいなやつにそんなことされて不安にならないわけがない。
俺はどうしたら桐乃に償えるだろうか。謝ったところで許してくれるはずもないだろう。

……腹をくくろう。

確かに俺は桐乃のことを腹立たしく思うこともある。嫌いだとも言ってきた。
でもそれ以上に大切に思ってるんだ。
妹ってだけじゃない。今まで認めることを避けていたけど、俺はこいつを女の子としてみてる。
もし桐乃が認めてくれるなら、俺は責任を取ろう。これから一生涯をかけて桐乃を護ろう。

「あ、あのね兄貴。今のはう「桐乃」え、あ、な、なに? そんな改まっちゃって」
「桐乃、すまなかった。俺がしたことはとても許されるもんじゃないって事はわかってる」
「う、うん」
「だから、責任は取る。桐乃、俺と結婚してくれ」
「……え?」
「こんなことで許されることじゃないとは思う。それでも、こうなった以上俺は責任を持ってお前を幸せにする。
 俺はお前が好きなんだ」

こんな状況になってしまったけど、これが俺の本心だった。

「……ホントに?」
「ああ、本当だ。男に二言はない」
「もし嘘だったら承知しないかんね」
「おう」
「そっか。じゃあ許してあげる。これから絶対幸せにしてよ? あんたのせいでこんなことになっちゃったんだからさ」
「まかせろ」



「な〜〜〜〜んてね。ばっっっっかじゃん!! 嘘に決まってんじゃん! あーもうキモッ!」


は?


「ぷくく、なにポカーンとしてんのあんた。今日何日か知らないの?」

今日が何日? そんなもんわかって………ああーーーーーーー!?
し、4月1日。エ、エ、エ、エイプリルフールだとぅ!!?

「あーおなか痛い! なーにが「責任を持ってお前を幸せにする(キリリ!」よ。キモっ! あんたドンだけシスコンなのよ」
「こ、こ、こ、こ、こ」
「なぁに? 鶏のまね? 似てないからさっさとやめたら?」

こ、こいつ。こんな手の込んだことまでしやがって――! 本気にした俺の気持ちを返せ! バカ野郎!!

「もう、仕方ないなぁ」

呆れたようにため息をつく桐乃は、スルッと俺の腕に手を絡めてくる。

「え、な、お前何を」
「責任」
「は?」
「責任、取ってくれるんでしょ?」

いや、確かにそう言ったけどな? それは俺が間違いを犯した責任であってだな

「それにあんたってばあたしのことが好きなんでしょ? 結婚したいぐらいにww」

あーあー、確かにそんなことも言ったなチクショウ!! もうどうにでもしてくれ。俺のライフはもう0よ。

「まあ、そんなあんただし? あたしが監視してないといつ襲われたもんかわかったもんじゃないし。
 仕方ないから責任とられてあげるわよ。ありがたく思いなさいよ」
「え、其れってつまり……」
「……ばか。これ以上いわせんな。あたしだって、あんたのこと……」

えと、つまりこれは………そういうことでいいのか?
なんかもう色々ありすぎて混乱しまくりだが……一つだけ分かったことがある。それは

「桐乃」
「なによ?」
「これからも、よろしく頼む」
「よろしくされてあげるわよ」

これからも俺と桐乃はずっと一緒ってことだ。



END


オマケ

「で、結局昨日は何があったんだよ」
「あー、昨日?あたしもどんな味するのかなーって興味沸いちゃってさ。ちょっと飲んじゃったのよね」
「うおい」
「そしたらなんか体が熱くなっちゃって。あんた起こすのも面倒になって服脱いで寝ちゃった」


未成年はお酒飲んじゃだめ! 絶対!



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最終更新:2011年04月01日 16:27