112 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/02(土) 00:46:31.23 ID:wwZUGVaE0 [1/4]
SS『二つの想い』
「どうしようっ、どうしよう………」
私は最近、二つの想いに挟まれて、悩み続けてます。
私の親友、桐乃への想いと、そのお兄さん。京介さんへの想いに………
元々、桐乃が男の子だったらなって思う事は、前々から有ったのですけど、
最近は、女の子同士でも結婚したいって想うほど、桐乃が好きなんです………
それに桐乃の、馬鹿で変態でかっこ悪くって………でも、とても優しいお兄さん。
二人の事を想うと、私の胸は、はちきれそうで、
本当はすぐにでも、二人と結ばれたい………。
でも、桐乃はノーマルな女の子です。お兄さんにも、麻奈実さんが居ます。
私、どうしたらいいんだろう………………………
「おっ、あやせぇ〜どぉしたよぉ?むっちゃむずかしー顔してんじゃん!」
「加奈子?………う、うん………。」
「おい、あやせ。ほんと元気ねぇのな?どうしちまったよ?」
「私………今、悩み事があって………」
「あやせに悩み?めずらしいこともあんな〜。でよぉ?どんな悩みか教えろよぉ?」
「う、うん………」
加奈子が解決出来るような話じゃないんだけど、
でも、加奈子が私の悩みを聞いてきてくれるなんて………
加奈子、本当に心配してくれてるんだね。
「加奈子………加奈子だったら、どうする………?
もし、どうしても欲しいものが二つもあって、
でも、どちらか片方だけ手に入れるのでも難しい時………」
「ん?そんなん簡単じゃん?」
「えっ!?」
「両方とも手に入るように努力すればいーじゃん?
そうすればかたっぽ位、手に入るっしょ?」
私は目から鱗が落ちたような気がしました。
そう。始めから片方しか手に入らないかもとか、
両方とも手に入らないかもって諦める姿勢、それ自体がダメなんですね。
そうだ、私の大好きな桐乃だってそう。
自分の好きな物を一つとしてあきらめない。
そんな桐乃が、私は大好きだったんだ………
「加奈子!」
「うおっ?な、なんだよいきなりよぉ?」
「ありがとう、加奈子。私、色々と吹っ切れたかも!もう、何も怖くない!」
「そ、そうかよ………よ、よかったじゃねーか?」
「うん!私って、ほんとバカだよね。こんなことでうじうじ悩むなんてね!」
「バカっつーか、ヤンデレじゃねぇ?」
「私ね、昔からそうだったから………そう、あれは小学校の時………」
「何で急に昔話なんだよっ!?」
「それはともかく、今日は熱い一日になりそうだよね?」
「や、やけにハイテンションじゃねーかよ?」
「うん。私、この学校が終わったら、告白するんだ………」
「あ、あにー!?」
「仮に、告白の邪魔をする人や物があっても、そんなの、私がゆるさないから。」
「ま、マジかよぉ?が、頑張れよぉ。」
加奈子は、途中から引いてたような気がするけど、何だったのかな?
でも、本当に感謝したい。だって、私の後押しをしてくれたんだもの。
桐乃の次に、大好きだよ………加奈子。
学校が終わって、家で準備をして、私は桐乃の家に向かいました。
桐乃と………お兄さんに、私の胸の内を………告白を、するんです。
「こんにちは、お邪魔します。」
「あやせ、どうしたの?なんか、顔が赤いよ?それに、なんかすっごくおめかししてない?」
「桐乃ー誰が来たんだ?ってあやせ?」
「お兄さんも、こんにちは。」
ちょうど、よかった。二人とも家に居てくれました。
桐乃もお兄さんも、気合をいれてキメてきた私の服装に釘付けです。これなら………
「桐乃、お兄さん。私、お二人に、どうしても伝えたいことがあるんですっ!」
「どうしたのっ、あやせ。そんなに必死なんて………」
「あんまり興奮すると、体にも悪いぞ?大丈夫か?」
ううん、今日は、私の勝負の日なんです。
少しくらい体に影響したっていいんです。
二人さえ………私のものになってくれれば………
「桐乃、お兄さん………二人ともっ!結婚してくださいっ!」
「………………………………」
「………………………………」
桐乃も、お兄さんも、お互いをチラチラとみて、でも、一言も話せないでいます。
やっぱり突然すぎたでしょうか?
いいえ、今日は、最後までやりきるんです!
「桐乃、お兄さんの事が好きなんです………」
「「えっ!?」」
二人の驚きの声が、廊下に響き渡ります。
「それに、お兄さん、桐乃の事が好きなんです………隠してて、ごめんなさい………」
「………………………………」
「………………………………」
「だから、どうしてもっ、お二人に結婚して頂きたいんですっ、お願いしますっ!」
私は、魂の底から、二人にお願いします。
どうか、二人とも受け入れてください………
私の、一生に一度のお願いを、叶えてください………
「わかった。結婚しよう。」
「あ、兄貴!?………うん。あ、あたしも………いいよ。」
「ほ、本当ですか!?」
答えてくれた、桐乃も、お兄さんも、まるで漫画のように、顔が真っ赤です。
嬉しい………加奈子の言ったとおりにして良かった………!
「桐乃………本当に、いいのか?」
「うん、あ、あたし、こうなること、望んでいたから………」
お兄さんは、桐乃の方に向き直り、改めて、桐乃の気持ちを確認してます。
嬉しいっ!桐乃も、私との結婚を望んでいてくれてたなんてっ!
「それじゃあ、早速だけど、式の日取りなんかも考えていかないとな。」
「あ、兄貴、気が早すぎない!?」
「いえ、すぐにでもしたほうがいいですっ!」
だって、気持ちが変わられても困ってしまうもの。
本当は、すぐにでも『事実』を作ってもいいのですけど、
そんな事をしたら、はしたない女だって思われちゃいます。
「それじゃ、式については、俺たちで考えてみるさ。」
「あやせにも、後で連絡するから、待っててね!」
「は、はいっ!それでは、お願いしますっ!」
私は、本当に嬉しい気持ちで家路につきます。
だってこの後、大好きな二人と結婚するなんてイベントが待っているんですから!
結婚式はいつかな?苗字はどうするのかな?赤ちゃんは何人かな?
新居はどうしよう?『三人だけの時間』はどういうことになるのかな?
私の頭の中は楽しい想像で一杯で、頭がおかしくなっちゃいそうです!
―――――――――
3ヵ月後に行われた結婚式。
何故か、その壇上には、桐乃とお兄さんの二人しかいません。
私は、一体どこで、何を間違えてしまったんでしょう?
せっかく、桐乃とお兄さんと、結婚できるとばかり思ってたのにっ!
誓いのキスを交わし、壇上から降りてきた桐乃が、私のところに駆け寄ります。
「あやせっ、本当にありがとうっ!」
「えっ?き、桐乃?」
「あたし、あのままだったら、絶対に兄貴に告白出来てなかった。
あやせが、あたしの代わりに、あたしの気持ちを伝えてくれたからっ…う…うっ…」
「えっ、ええっ!?」
も、もしかして、私は………私の言った言葉は、
桐乃とお兄さんの気持ちの通訳として………ああっ………!
「あやせ、いつまでもあたし達の親友でいてね!」
そんな私の内心もしらず、桐乃は満面の笑みを浮かべ、私に抱きついてきます。
「あやせっ!本当に、大好きだよっ!」
まあ………本意ではないですけど、こういったのも良いかもしれませんね。
私は、桐乃を、きつく抱きしめかえました。
End.
-------------
最終更新:2011年04月03日 18:24