533 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/06(水) 15:36:16.10 ID:4b60xGlfP [5/9]
ちょっと話を切る感じになるが>>503を見て電波を受信した
朝のリビング。朝食を終えた俺は携帯で電話をしていた。
「わかった。じゃあ遅刻しないようにしろよ」
『うん、ありがと~。きょうちゃんも遅刻しないようにね?』
「しねえよ。とにかくお大事にな」
『うん』
「んじゃ、切るわ」
『わかった~。じゃあ、学校でね』
「おう」
Pi、と通話終了ボタンを押す。話してる内容で丸わかりだとは思うが、電話の相手は麻奈実だった。
何でも、昨日おばさんが風邪をひいてしまったので朝の準備を丸々麻奈実がしないといけなくなったらしい。
ロックの弁当も作らないといけくなったとかで、いつもの時間に待ち合わせの場所までこられないとのこと。
ギリギリになるだろうから先に行ってて欲しいということだった。
「あいつも大変だな」
「何朝からこんな場所で電話なんかしてんの? ウザイんですケド」
「うるせーよ。どこで誰と電話してよーが俺の勝手だろうが」
「フン。朝から横でデレデレと誰と電話してんだか。…………地味子?」
「デレデレなんてしてねぇ。それと地味子っていうなって何度も言ってんだろうが。しまいには怒るぞ」
「チッ、やっぱりか…………とにかく、電話するならあたしのいないところでしてくんない? ウザイし」
「へいへい。今度から気をつけますよ」
別段、大声でうるさくしてたつもりもないんだが。何でこんなにこの妹は機嫌が悪いんだろうか。
さっきまでは普通だったのに。こいつといい黒猫といい、何で麻奈実をそこまで煙がるのかさっぱりわからん。
「っと、そろそろ出ねぇとな」
麻奈実にああいった手前遅刻なんてしたら間抜けどころの話じゃない。
ソファから立ち上がり、さあ行くかとというところでブルッと突然便意が襲ってきた。
こりゃいかん。大至急トイレに向かわねば!
俺はさっきまで使っていた携帯と、持ってきていた鞄をリビングの机に置いてトイレに駆け込んでいった。
「フン、キモ……あ、そうだ。いいこと考えた♪ そうと決まれば早速……」
そんな不穏な台詞を吐く桐乃に気付かないまま。
「よーっす高坂」
「おっす赤城」
学校に着くなり赤城が声を掛けてくる。珍しいこともあるもんだな。
「田村さんはどうした?」
「ああ、あいつならな……」
朝から俺に話しかけてきたのはそういう理由か。
こいつもよくわからん奴だ。シスコンなのは相変わらずなのに、麻奈実のことになると妙に食いついてくる。
もしかしてこいつ麻奈実を狙ってんのか? と疑いはするが確証はない。
そんなのは俺が許さんし、その時は全力で邪魔するつもりだが。
朝した電話の事情をそのまま赤城にも話してやる。
「なるほど。田村さんも大変だ。早く治るといいな」
「まったくだ」
でもまあ、こうやって気を回してくれるのは素直に嬉しいことだ。
「ん? 高坂それは……」
「どうしt」
赤城が何かに気付いたように目を向け、なんだろうと思った瞬間 ガッ! と両肩を掴まれた。
お、おいおいおい、一体何のつもりだこいつは?
「そうかそうか。高坂、とうとうお前も自分がシスコンだと認める気になったか!!」
「はあ!?」
こいつは一体なにを言い出すんだ? 断じて俺はシスコンなんかじゃないぞ。
確かに妹の趣味を護るために体張ったり、妹の友達に嫌われても嘘ついたり、アメリカに行った妹を
迎えにアメリカまで行ったりもしたが、それはちょっと妹が心配になっただけであって決してシスコンだからなんかじゃない。
もう一度言おう。俺はシスコンじゃねえ!
「お前はいきなりなにを言い出すんだ! なにを根拠にそんなことをいう!?」
「いやだって、それ」
「それ?」
「きょうちゃんおはよ~」
赤城が何かを指差してそれを見ようと思ったところで隣からのんびりとした声がかけられる。
麻奈実だ。
「おお、田村さんおはよう」
「うん。おはよう赤城くん。きょうちゃんもおはよう」
「おう。おはよう麻奈実」
「あれ? きょうちゃんそれどうしたの?」
「それ?」
「携帯のすとらっぷ。それ、桐乃ちゃん、だよね?」
「はあ?」
先に言っておくと、俺は携帯をポケットに突っ込むときストラップを外に出すようにしてしまうことが多い。
所謂癖ってやつだ。そして今回もそれからは外れなかったらしく、ストラップがポケットから出ていたようだ。
麻奈実がいう言葉の意味がわからず、言われるままに自分のポケットから出ているストラップを見て俺は固まった。
そこには、桐乃の姿をしたストラップの姿が!!
デフォルメされているがそれは確かに桐乃で、制服姿の桐乃がちょこんと可愛らしく座っている形をしていた。
少しだけムスッとした顔で。
「そうなんだよ田村さん! こいつようやく自分がシスコンだって認めたみたいでさあ」
「お前は何を麻奈実に吹き込んでんだ!?」
こいつは人に言われたことをすぐにマジにしちまうんだぞ?
そんなやつに誤解を招くようなこと言ってんじゃねえ!
「いい加減認めろよ高坂。何も恥ずかしいことじゃないだろ。
胸を張れ。俺はシスコンだと! 妹は天使だと! あ、でも天使具合では俺の瀬菜ちゃんのほうが上だからな?」
「ああもういい加減にしろ! だから何でそうなるんだ!? それと誰もそんなこと聞いてねえよ!!」
「だからそれ」
「ああ!?」
指差されたほうを見てみれば、そこにはさっきと同じ、桐乃のストラップが鞄に持つけられていた。
しかも上手いこと目立たないように。
その桐乃はさっきの携帯につけられていた桐乃と似ていて、ポーズはさっきとほとんど変わらないが格好が違った。
この格好は初めて桐乃がオフカイ行った時の奴だ。こっちの桐乃はムスッとした顔ではなく、あどけない笑顔をしている。
お、俺はこんなものをぶら下げたまま学校まで来たってのか!?
妹の造詣をかたどったストラップをつけて学校に登校する兄。はい、間違いなく変態ですありがとうございました。
――じゃねえよ!! 何でこんなもんがついてんだ!?
昨日まで、いや、朝麻奈実と電話してる時まではこんなものついてなかったはずだ。
それによく見ればこれは見覚えがある。これは確か……
『うわ~可愛いじゃん! どうしたのこれ!?』
『ふっふっふ、実は拙者の知り合いにこういうのが得意なお方がおられましてな。
片手間に作ってもらったのですよ。この場にはありませんが、黒猫氏のも作ってもらってありますぞ』
『へえ~。アンタ人脈広いのね。片手間ににしてはよく出来てるわね』
『そうでしょうそうでしょう。で、きりりん氏。受け取っていただけますかな?』
『いいけど、これただで貰っちゃっていいわけ?』
『何、かまいません。これも拙者ときりりん氏の友情の証でござる!』
『な、何恥ずかしいこといってんのよアンタ……。ま、いいわ。そこまで言うなら貰ってあげるわよ』
『そうでござるか! 気に入ってもらって何よりでござる!』
そう、この前沙織が家に来て桐乃に渡していたアレだ。
だとしたらこれをつけたのは桐乃か!? 何でこんなことをしてくれやがるんだうちの妹は!?
「きょうちゃん、桐乃ちゃんと仲良しさんになれたんだね~」
「さあ高坂。一緒に妹の素晴らしさを語ろうぜ! 勿論俺の瀬菜ちゃんが一番だけどな!」
ああくそ! ああもう、ああもう ああもう!! なんでこんなことに――!
とにかく何か叫ばないとやってられねえ この―――
「もう勘弁してくれーーーーー!!」
「フン! バーーーーーーカじゃん!!」
END
最終更新:2011年04月07日 23:23