598 名前:ようこそ桐乃湯へ【SS】[sage] 投稿日:2011/04/06(水) 23:30:22.29 ID:ZJZlia3MO [5/5]
「お疲れ様でした。こちらが今夜の宿、『桐乃湯』ですよ」
「ふーん、桐乃湯ねえ…って、ええっ!!」

今回、桐乃は鉄道趣味雑誌からオファーを受けて九州鉄道の旅のモデルを務めている。
ある雑誌での「幸運を呼ぶ黄色い新幹線『ドクターイエロー』を見てみたいな」という桐乃のコメントを編集部が目に止めたらしい。
気づいた人もいるだろうが、もちろん桐乃が鉄道オタクというわけではなく
『Baby Princess』という作品の鉄子な妹、麗の発言の受け売りなのだが。
桐乃も心得ていて、「鉄道好きなお兄ちゃんに刺激されて最近鉄道に興味を持ち出した妹」というポジションで仕事に臨んでいる。
そんな事情もあって、俺は今回桐乃に付き添うことになり、九州を鉄道で駆け回ってきたわけだ。

ようやく仕事も終わって温泉宿でゆっくりできると思ったら、
スタッフさんの計らいというか悪戯というか、泊まる旅館の名前が『桐乃湯』だった……

「さて、このあとどうするよ。桐乃が先に風呂に入ってくるか?」
「……っしょに、はいろ………」
「なんだって?聞こえないぞ」
「一緒に露天風呂に入ろうって言ってんの!!この部屋には露天風呂あるでしょ」
「それは知ってるけど、何で一緒に入ることになるんだよ?」
「しゅ、取材だからに決まってんじゃん!!」
ここまで来てまたもや小説の取材かよ!
「貸し切り風呂みたいなわけだし、ここはラブホでもないし、問題ないでしょ。
ただ…一緒にお風呂に入るだけの簡単なお仕事なんだから、
それくらい付き合いなさいよ!」
問題ないと自分で言っときながら桐乃の顔がみるみる紅くなってるのが俺にも見えた」
「わかったよ…」

断固拒絶しようとすればできたのに、俺は部屋の露天風呂に先に入ってる。
何だろう、この気持ちは…自分でもよく分からないが、とにかく俺は桐乃を待つ。

「……お待たせ」
そう小さな声で、桐乃は、どこかで見たような赤いビキニをつけて来た。
「…あんまり、じろじろ見ないでよ、恥ずかしいじゃん…」
「わかってるよ、わかってる…」
わかっちゃいなかった。俺は桐乃の、その何だ、むちむちっとした肢体に釘づけだった。

「今日はありがとね、兄貴がついてきてくれて助かった」
「お、おう。てか、にわか鉄ヲタなりきりがバレてないかどうかは自信ないけどな」
「そんなのはどうでもいいの。兄貴がいるだけで、あたしは心強かった…」
なんだよなんだよ、これも取材で主人公へのなりきりか?
こんなにしおらしい桐乃とか、ぶっちゃけ可愛すぎるだろ……
やばい、マジでやばい。静まれ、静まれ俺のリヴァ(ry

身体が熱くて、すぐ近くにいる桐乃を、どうにかしたくなってたまらなかった。
それを堪えていたら、なんか頭がくらくらして、あれ…………


ごくりっ
冷たい水が喉に染み渡って、俺はふと我にかえった。
目の前に心配そうな顔をして桐乃がいる。
「よかった、気がついて。急にフラフラして横たわったんで、心配したんだから」
「済まなかったな。桐乃が冷たい水を飲ませてくれたから助かったよ。
もう一杯水を飲みたいんだが、あれ?コップは?」
「あのね…慌ててて、コップが見つからなかったから……その、あたしの口にミネラルウォーターを含んで……」
「桐乃……」
「………」
「もう一度、そのやり方で、水を飲みたいって言ったら、イヤか?」
「……バカ、エッチ、シスコン………」

俺はまた、桐乃に水を飲ませてもらった。
口移しで水を飲んだ、それだけしかしてないからな!!!







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最終更新:2011年04月07日 23:25