294 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/09(土) 04:02:20.91 ID:CLJTPGUa0 [1/3]
<7巻ラストif 解呪>
あたしはいま、『彼』を呼び出し
校舎裏でその『彼』が来るのを待っている。
というか、本当にちゃんと来るのかな?あいつ・・・。
刻は夕暮れ。
空は真っ赤っかで、足元の影法師が超伸びている。
脚が長いのは本当は望むとこなんだけどさ。
今だけはそんな脚が長くなる様子ををじっと見てられない。
どうにも、どうしても不安になってしまう。
バカじゃん。あたし。でもさ・・
と、その時ようやく待ち人の足音に気付く。
遅いよバカ。
あたしはそっと立ち上がる。
・・・ちょっとヒラヒラし過ぎかな。夏だし涼しいのはいいけど。
さて、上手く言えるかな・・・?
「待ってたわ・・」
「ああ・・」
・・・大丈夫っぽいね。
・・・ほんとバカなんだから。・・まぁ、あたしほどじゃないか。
「桐乃と、仲直りしたんだって?」
仲直り・・・はどうなんだろうか?
もう元には戻れないよ。あんなことあっちゃさ。
それでもここに、こうしていられるのはあいつのおかげ。
あんたのせい、そして弱虫なあたしのせい・・。
「・・・ええ、昨日電話で。
沙織やあなたにも、心配かけたようね」
「構わねえよ。仲直りしたんだったら、よかった。
明日の打ち上げ、沙織も楽しみにしてるみたいだったぜ。
今度は成功させような」
うん、うん、そうだね。
沙織には悪いことしちゃったね。うんと盛り上げないとね。
「うん、うん。そうね。」
「ところで、ずいぶん長く話してたみたいだけど・・・
桐乃と何の話をしてたんだ?」
・・・ばーか。
「秘密よ」
「そっか」
一生ね。ざまーみろ。
295 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/09(土) 04:06:03.22 ID:CLJTPGUa0 [2/3]
あたしは1つ息をついた。
本題、いかないとね。
「で・・・あなた。用件は分かっている?」
胸が痛む。いくら鍛えていてもダメだね、こういう時は。
「いや・・・『”約束の地”であなたを待っているわ』
なんてメールだけで分るわけないだろ」
はーーーーーーあ!?
なんで呼び出し文句もそれなわけ!?
あいつ、こんなケースでも一貫してそんなノリ?
・・・頭が痛い。というか、よくそれだけでここ来れたね、あんた。
・・・やっぱりお似合いなのかな。
「そ、そう。まぁ、いいわ」
ほんと勘弁してよ。こっち、いっぱいっぱいなんだからさ。
声震えちゃってる。落ち着かないと・・・。
「あなたをここに呼んだのは・・・・”呪い”・・を解いてあげようと思って」
わかるんだろうか、この言い方で
「・・・呪い?」
「え、ええ、呪いよ」
ほら、これだけじゃわかんないじゃん。
「いつか、ここであなたにかけた・・・呪い」
「あっ」
伝わったよう・・・ってか何でそんなに照れるのよ?
バカ!スケベ!
「の、呪いを解くって・・・ど、どうするんだ?」
!!!!!!!??????
こーーーーーいつ、こんな時にそんな顔するの?
死ね死ねキモいキモいウザいキモいウザいウザい~~~
も~~~~~~~う!ほんと!信じらんないんですケド!!
「ば、莫迦・・・っ、あなたいま、何を想像したのっ」
「いやだから、たぶん同じことをするんじゃ・・・・ねぇかなって」
・・・はぁ、キモ過ぎて涙でてきそう。
「そ、そんなことだろうと思ったわ・・・。まったく・・・まったく・・・」
落ち着け、あたし。こんな時あいつならどんな罵倒をする?
いっぱい聞いてきた中から思い浮かんだのは・・・
「『破廉恥』な雄ね」
あいつから1番聞いた文句だった。
・・・破廉恥じゃないもん。お洒落だもん。
296 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/09(土) 04:14:07.84 ID:CLJTPGUa0 [3/3]
「ご、ごめん」
・・・なんで好きになったんだろうね。
こいつを・・・あいつも・・・そして、あたしも。
「呪いは、解けないわ」
「は?」
ええと、ええと・・
「い、一度かかってしまった呪いは・・・
もう二度と”解呪”することが叶わないの」
「おい、話が違うじゃねえか。確かおまえの『願い』を叶えれば
呪いは解けるんじゃなかったか?」
「そうね。確かに・・・」
だってさ、昨日さ
続き、言えなかったからさ
「『私の願い』が叶えば、呪いは解ける」
でも、それ伝えなきゃさ
あたし、もう走れないよ前に
「ただ、それはあなたにかかった呪いがなくなるという意味ではないのよ」
こんなカタチでごめんね、兄貴
でも、「妹」のままじゃもう無理だからさ
「じゃあ・・・”解呪”ってのは?」
姿、借りちゃった
気付かない、あんたも悪いんだよ?
あいつもお人よし過ぎるでしょ
・・・こんなお願い聞くなんて
「もっと強力な呪いで、いままでの呪いを上書きすることよ」
精一杯、気持ちこめて伝えよう
もう二度とは無い、おそらくずっと夢に見るだろう
この瞬間、心に刻んで
「私と付き合ってください」
おわり
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最終更新:2011年04月10日 01:35