933 名前:水入らず【SS】前編[sage] 投稿日:2011/04/12(火) 10:52:47.75 ID:J8NpIV7rO [3/7]
※未来の話、オリキャラ(高坂兄妹の子供)登場につきご注意を



「ああ、気持ちいい。ほんと、生き返るわね」
「ああ、そうだな」
ここは、伊豆の温泉旅館の貸し切り風呂
俺達は久しぶりに予定を合わせて取った休暇を、水入らずで楽しんでいる。

「ねえ、京介」
「なんだよ、桐乃」
「もお、……わかってる癖にぃ」
俺の可愛い桐乃が、顔を赤らめながら接近してくる。
「ねっ、あ・な・た♪」
そんな目で見つめられたら、もうたまんないぜ!

俺と桐乃はそれはそれはゆっくり、ゆっくりと唇を重ねあった。
身も心も、お湯の中に蕩けてしまいそうな、二人だけの甘いひと時……

「京介がいない間、あたし、とても寂しかったんだから」
「俺も寂しかったさ、だから何度もメールしただろ」
「わかってる。でも、メールじゃ伝わんないものもあるじゃん
例えば、京介の、その息遣いとかさ」
「確かに。桐乃の、甘い良い匂いはメールじゃ伝わらないよな」
「何そのくんかたん発言!キモっ♪キモッ♪」
「いいだろ別に。桐乃の匂いはほんと良い匂いだから」
「あたしね、こうして京介と一緒にいられるのが、すごく嬉しいんだから」
まったく、俺の妹は可愛いすぎるだろ。理性なんてどこかに吹っ飛んでいきそうだ。
前に九州の温泉に一緒に入った時は、まだ桐乃を求めるわけにはいかなかったから
堪えるのに一苦労だったが、今は違う。あの時と変わらない、いや、より妖艶になった桐乃を自由にできてしまうんだぜ。
「桐乃、桐乃が欲しい。いいか?」
「いいよ、兄貴。抱いて……」
さらに顔を赤らめた桐乃を押し倒さんばかりとした、その時だった

「「はい、そこまでそこまで!!」」
「「ええっっ!!!」」
見ると、我が愛する子供たち、双子の兄妹、桐(とう)と京(みやこ)が
いかにも「やれやれ…」といった顔つきで俺達を見つめている。
「あ、あんた達、いつからここに?」
「ママが『京介がいない間、あたし、とても寂しかったんだから』って言ってたところからだよ」
京がすました顔でこたえる。
「桐、お前たちはゲームコーナーとか、売店で買い物とかするって言ってたのに、
ず、随分と早いじゃないか!」
「まあ、引っかかる可能性は低いけど、簡単な罠を張ってみたんだよ」
なんだその言い草、でも、すごく懐かしいです。流石は俺の息子だぜ……

934 名前:水入らず【SS】後編[sage] 投稿日:2011/04/12(火) 10:54:47.65 ID:J8NpIV7rO [4/7]
「あたしたちだって、パパとママをいじめたくてやってるわけじゃないんだよ。
でもね、『パパとママがあまり羽目を外さないように見張ってて』って、ママのお友達から頼まれてるからね」
「…そ、そうなんだ。で、そんな余計なお節介を焼いてきたあたしの友達って、誰?」
「新垣さんでしょ。あと、黒猫の五更さんに、沙織さんに、赤城さんに、加奈子さんとランさんに、あと田村さんにもね」
「まなちゃんまで言ったのね」
てかほぼ全員じゃないですかこれ……
「あと似たような話なら俺もおじいちゃんとおばあちゃんに言われてるよ。
それと別にね、万が一パパがママを泣かせたらおじいちゃんはパパを銃撃するかもしれないって。
すぐ冗談だって笑ってたけど、あの目は本気モードだったね」
親父とお袋まで、何だよこの兄妹包囲網は。てか、何かあったら射殺されちゃうんだ俺……

「でもさ、みんな楽しそうなんだよね。パパとママの話をする時。
すごく二人のことを気にかけてくれてるんだよ、みんな」
「うん、京の言う通りだよ。確かに、皆から愛されてるバカップルって感じだね」
バカップルって、親に向かって言う言葉かよ!
まあ、日ごろの二人の行いが根底にあるから否定は無理だけどな。
「俺たちは、こんなパパとママの子供で本当によかったと思ってるんだ」
「桐……」
「うん、普通の親とはちょっと、というか大分違うかもしれないけど
そんな二人が、あたしは大好き」
「京……」
「だから、二人ともお風呂から出たら一緒にゲームやりに行こうよ」
「そうそう。夫婦水入らずの時間はあとで、私たちが眠ってる時にラブラブしてていいから、
まずは家族四人で楽しもうよ」
「そうだな、せっかくだから、いっぱいゲームやろうぜ」
「そうと決まったら早速行くわよ。ほら京介、支度支度!」
「て、いくらなんでも早すぎだろ」
「あんた、あたしがなんでここの宿を指定したと思ってんの」
「そりゃ、貸し切り風呂があるからだろ」
「何このシスコン!ま、まあそれもあるけど……
ここは熱海大野屋、『ラブタッチ』の聖地なんだからね!
『ラブタッチ アーケード』早速やりにいくわよ。ああん、待っててあやかちゃん!!」
勢いよく湯舟から飛び出して行く桐乃。
「やれやれ……」
俺と子供達はほぼ同時に、そう呟いてしまった。
でも、見つめ合う顔は皆笑顔だ。
まあ、そんなこんなで、さっきまでの夫婦水入らずから、今度は家族水入らずで楽しんでくるよ。じゃあな!



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最終更新:2011年04月13日 01:03