872 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/19(火) 13:49:41.47 ID:cjUigxXn0 [2/2]
人が少ない。投下するなら今のうち………
SS『男の友情』
「だから何度も言ってるだろ!
俺の妹の方が胸だってでけーし、性格だって完璧だっつーの!」
「はぁ?腐女子のどこが完璧だよ!?
そもそも俺の妹の方が完璧な乳をしてるに決まってんだろ!
テメーの妹がモデルになれるかっての!」
俺たちは、またもお互いの妹について言い争いを繰り広げてるわけだ。
赤城に妹が居る事が判明してから、何度もぶつかってきた俺たちだが、
最近はもう、毎日のように戦いを繰り広げている。
「いーや!てめえの妹なんざ、てめえに暴力三昧の妹なんだろ!?
そんな暴力妹こっちから願い下げざぜっ!」
「あれは桐乃なりの愛情表現だっつーの!
じゃなきゃ俺に胸触らせたり、裸見せたりしねーっつーのっ!」
少しオーバーな表現になっちまったが、まあ、嘘は言ってねーよな?
「なっ………!お、俺の瀬菜ちゃんなんか俺に作画資料提供してくれって言ってくるぜっ!」
「何っ………!桐乃はなあ、『お兄ちゃんと結婚する』なんて日記に書いたりしてんだぞ!」
子供の頃のことだけどなっ!
今はどうなんだろうな………
「くっ!………この変態シスコン野郎め!」
「お前も………な!」
ところで、皆に言っておきたいが、俺は決して赤城のように
『俺の妹、超可愛い』とか主張したいわけじゃないからな。
赤城が一方的に戦いを挑んでくるから、俺も仕方なく応戦してるってワケだ。
「きょ、今日のところはこれくらいにしておいてやる。
次は首を洗って待ってるんだな、高坂ァ!」
「フンッ!負け犬の遠吠え、見苦しいぜ!」
「顔真っ赤にして、勝者気取りかよっ!」
「お、おまえも顔真っ赤なクセにっ………!」
俺が顔真っ赤だとっ!?
ぜってーおまえのほうが真っ赤に決まってるぜ。
「………と、ところで高坂。」
「なんだよ」
「最近、妹のことでお前と戦ってると興奮してくるんだ」
まあ確かに、最近の論戦はちょっと行き過ぎてる気もするな。
つか、俺もついムキになってしまうんだよな。
「奇遇だな。俺もおまえに反論する時、最近ちょっとムキになっちまうな………」
「や、やっぱコレ、普通じゃねーよな」
「確かに………少し俺たちは落ち着いた方がいいかもしれねーな」
「そうだよな。ちょっと瀬菜ちゃんに相談してみるぜ」
ん?その論理展開がちょっと意味不明だが?
ああ、論争の元に話を聞いてもらって落ち着こうって事か。
「そうだな。俺も桐乃にちょっと相談してみるぜ。」
「わかった。それじゃ、また明日なー」
「おう。またなー」
家に帰った俺は、夜になってから桐乃に『相談』を持ちかける事にしてみた。
勘違いすんなよ?赤城のヤツがそうするから、俺もしないといけねーだけだ。
コンコン
ドアに鍵が掛かってるだろーから、とりあえず扉をノックしてみたんだが
………………………出ねーな?寝てんのか?
とりあえず、ノブをまわしてみる、と―――
ガチャ
ひ、開いた!?あいつ、いつも鍵かけていたんじゃ?
部屋の中は常夜灯で薄く照らし出され、
ベッドの上では桐乃が穏やかな寝息を立てながら寝ていた。
こいつ、寝てるときは本当に天使だよな。
普段は張り詰めていてスキの無い表情が、寝てるときだけは年相応に幼くて可愛らしく、
そのましゅまろみたいなほっぺと薄桃色のやわらかな唇に、ついキスをしたく………
って待て、俺!変な事考えんな!
それにしても、全然起きねーのな?
………そうだ!俺の中で、不穏な発想が鎌首をもたげる。
真壁君には拒否されてしまったが、俺がやったらどうなるだろうか。
俺は部屋の電気を付け、寝ている桐乃に馬乗りになった。
「おい、起きてくれ」
「何よ、うるさ………って眩しい………あ、あああ、あんたっ!?」
ちょっ、いきなり大声だすなっ!
親父達が起きてきたらどうすんだよ!?
「………静かにしろ」
「あ、あんた………!?な、何のつもりっ!?」
「だから静かにしろって。今何時だと思ってんだよ」
………つーか、俺は今………深夜、妹のベッドの上で妹に覆いかぶさって、
至近距離で見詰め合ってるわけだが………
よくよく考えるまでも無く、とんでもねー事してね?俺。
「と………とりあえず、ベッドから降りてよ」
桐乃は顔をこわばらせながらそう言った。
さすがに、コレは気まずかったか。
俺はちょっと寂しい気もしたが素直にベッドから降りた。
「で、どういうつもりなのよ」
「………ちょっと話があるんだ」
そう言った瞬間、桐乃の顔はなぜか急に真っ赤になり、
恥らう乙女のように、弱々しい雰囲気になる。
「は、話って?」
「相談があるんだ」
「えっ………相談………あんたが………あたしに?」
「そうだ」
なんか展開にデジャブを感じるな?
まあ、あの時の俺は、相談される側だったがよ?
桐乃は俺に向き直り、ベッドの上に座っている。
俺はいつもどおり、桐乃の座布団の上だ。
「最近、赤城のやつと、お互いの妹についてケンカすることが多いんだよ」
「う、うん」
「それでよ、なんかおまえの事話してると興奮してきて、
歯止めがきかなくなっちまうんだよな」
「こ、興奮………」
「なあ、俺、どうしたら良いと思う?」
何か、妙な単語に反応しやがったな?
「あ、あんたがあたしの事考えて興奮してるのは良く分かった」
「待て、俺の言いたい事はそうじゃなくって」
「うっさい。結局の所、傍目にはヤバイ位のケンカになってんでしょ」
ふむ………確かに、俺たち自身は限界をわきまえてるつもりだが、
傍からみると、際限のないケンカにも見えてる可能性があるな。
「まあ、そうだな」
「だからっ、あ、あんたのクラスの女の子達も身の危険を感じてるハズだからっ!」
「ちょっ!?そこからどうしてそう話が飛ぶんだ!?」
「どうせ、あんたの事だから、あたしの胸さわったとか、裸を見たとか言ってんでしょ!」
「なぜバレたし!?」
そうか、確かに女の子の胸さわるだの、裸見るだの言ってりゃ完全に変態扱いだよな。
「だからっ!あんたがそういうこと出来ないようにすればいいんでしょ?」
「ま、まあそうだな」
つかその話しぶり、止めるための方法知ってんのかよ?
「そ、それじゃ、い、今からその方法言うけど………」
「な、なんだよ」
「絶対に、その方法に従うって約束できる?」
なんかすげー不安になってきたが、でも、自分で方法をかんがえられねーしなー。
それにしたって、何でそう首まで真っ赤になる必要があるんだよ?
「じゃ、じゃあ、あたしが言い終わったら、すぐに『わかった』って答えること!」
「『わかった』これでいいんだろ?」
「う、うん。それじゃあ………………………
あんた、あたしの彼氏になってよ」
「わかった。って、ええぇえぇぇぇぇぇっ!?」
何!?俺!?桐乃の彼氏だァ!?
待て、無効だっ!今のは取り消しだっ!
「良かった………じゃなくって!
あ、あんた、さっきあたしを襲おうとしたり、
あたしの事考えて興奮してるみたいだしっ!
あ、あたしが彼女になってあげないと何するかわかんないしっ!」
いや、アレは襲おうとしたわけじゃなくってな?
つか、興奮も意味がちげーし!
「それにっ、さっきまで結構ツラそうだったのが、
いま緩んじゃって幸せそうな顔になってるし………」
言われてみて気がついた。
俺はたしかに、今、顔がニヤけている。
妹と恋人とかありえねーって心の中で言ってながら、
本当の本心では喜んでるってことじゃねーか………
「やっぱダメ………なの?あたし、妹だから………」
「いや」
そうだよな、本心まで見透かされて、
今さら『良い兄』を演じたってしょうがないよな。
「俺は、おまえの彼氏になれるなんて、本当に嬉しいよ。
これからは、兄妹で彼氏彼女ってことなんだな。」
「うんっ!」
満面の笑みを浮かべた桐乃っを、俺は力いっぱい抱きしめた………
翌日―――
昨日の一件の後、なんで赤城との論戦で興奮してたか、改めて考え直してみた。
だが、これまでだったら一々反論したくなる赤城の言い草も、
桐乃が彼女になってから、何一つ気にならない。
俺は思ったさ。
多分、俺は、俺たちより仲の良さそうにみえる赤城兄妹に嫉妬して、
俺と桐乃の方が仲が良いんだって、そう主張したかっただけなんだなって。
そう考えると、俺自身恥ずかしい気持ちでいっぱいだが、
逆に考えれば、俺はずっと、本当は桐乃の事が大好きだったんだなって、
別の意味での恥ずかしい気持ちでもいっぱいになってくる。
まあ、何にしてもだ、赤城のやつにも謝っておこうかな―――
「高坂っ!」
「おうっ、赤城、昨日はスマンかった。」
「何謝ってんだよ。俺とおまえの仲じゃねーか!」
「いや、おまえのおかげで、俺、本当の気持ちに気がつくことが出来たんだぜ」
「そうかよ!おまえもかよっ!それなら………」
そこで、何故か赤城は急に顔を赤らめ、
恋する乙女のような表情(マジきめえぇぇぇぇぇっ!)になる。
「高坂!俺、瀬菜ちゃんに言われて分かったんだ!」
「待て、それはぜってーおまえの勘違いだっ!」
「俺はおまえの事が好きみたいだっ!結婚しようぜっ!」
その後の事は聞かないでくれ………
赤城の洗脳を解くのに一苦労、クラス中の皆の誤解を解くのにまた一苦労、
あの腐女子に説教をするのでまた一苦労さ!
でもまあ、赤城との友情のおかげで、俺はかけがえの無いものを手に入れたわけだし、
その点については、たしかにおまえの事好きだぜ、赤城!
End.
最終更新:2011年04月19日 15:08