42 名前:【SS】その言葉(おもい)は海を越えて 1/2[sage] 投稿日:2011/04/21(木) 07:23:43.28 ID:Ksf+aN71P [1/5]
昨日の晩に>>14を投下した後からもやもやしてて、朝起きてこれ書いたらすっきりした。
形としては>>14の桐乃サイドという形になるので、そっちを読んでからだと
よりいっそう楽しめる…かもしれません
朝っぱらから何してるんだとは言わないで
ピピピピッ! ピピピピッ!
カチッ!
「朝、か……」
いつまでたっても見慣れない天井をぼやけた目で見ながら、あたしはつぶやいた。
あたしがアメリカにスポーツ留学をしてそれなりの時間がたつ。
毎日走っては休み、走っては休みの繰り返しで、最近は曜日の感覚が少しおかしくなってる感じだ。
それ自体を苦痛には思わないけど、時々それが怖くなる時もあった。
ふと、机の上に置きっぱなしだった携帯を見ていればチカチカとライトがついているのがわかる。
(また、心配してメールくれたのかな。ダメだな、あたし)
自分に科した目標。それを達成するまでは連絡を一切しないと誓った。
毎日のようにくる、あやせや加奈子。黒猫や沙織のメールを返さないのは悪いとは思ってる。
でもそれに甘えてちゃ、きっといつまでも勝つことは出来ないから。
あたしはいつもそうだった。自分を追い詰めて追い詰めて追い詰めて、それでようやくここまでこれたんだから。
だから、今もきっとこうするのが一番なんだと思う。
カパリと携帯を開く。新着のメールの数を見て驚いた。
なんでこんなに? そう思ってそのうちの一つ、あやせからのメールを開いた
『桐乃、お誕生日おめでとう! このメールは読んでくれてるのかな?
メールを送っても返ってこないのでいつも心配してるよ。でも、桐乃なら元気でやってるのかな。
陸上、大変だろうけど頑張って! 落ち着いたら連絡してね。待ってるから。
あやせより』
そのメールを見て今日が自分の誕生日だとようやく思い出した。
そんなことを忘れるほど自分が余裕をなくしてるとは思わなかった。少し反省。
43 名前:【SS】その言葉(おもい)は海を越えて 2/2[sage] 投稿日:2011/04/21(木) 07:26:23.09 ID:Ksf+aN71P [2/5]
上から順番にメールを流していけば、いろんな人からのバースデーメールが届いていた。
あやせ、加奈子、黒猫、沙織、学校の友達、読モ仲間、お父さん、お母さん……
それを見ているだけで目から涙が出そうになる。
こんなにも沢山の人から想われているあたしは、きっと幸せなんだろう。でも………
どこまでメールを流しても、ただ一人だけ、あいつの名前だけはなかった。
当然か。あいつがあたしの誕生日なんて覚えてるわけないもんね……
「バカ……」
もれた言葉は弱々しくて、自分の口から出たとは思えないものだった。
いけないいけない。こんなことじゃいつまでたっても目標なんてクリア出来やしない。
気合入れないと。
最近はどうも体調も崩しがちで体がだるいことも多い。
多分なかなか寝付けないのが原因だとは思うけど、それ以外にももしかしたら原因があるのかもしれない。
どうにかしてこの状況を打破したいとは思うけど、なかなか解決策が見つからないのが現状だ。
さーて、リアを起こしに行かないと。
あの子、走るのは天才的なくせにこういうところは抜けてるから世話が焼けるのよね。
グググッ! と伸びをして、着替えて、さあ行こうかと部屋を出ようとしたとき
――ハッピーバースデー、桐乃
あいつの声が聞こえた。
え? と振り返っても、あたりまえにそいつの姿はない。
でも、今のは幻聴とはとても思えなくて――
「…………バーカ」
口から吐き出される言葉さっきと同じ。でもその響きはまったく違うもので。
窓から見上げる空は今日もすっきりと晴れている。
そのせいか、気分はすごく晴れやかだ。今日はなんか早く走れるような気がする。
今日も頑張ろう。今日こそは、きっと勝ってみせる。
それにはまず済ませることだけは済ませちゃわないとね。
「ほらリア! さっさと起きなさい!! 早くしないと朝御飯たべられないわよ!!」
さあ、今日も一日張り切っていきますか!
-おわり-
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最終更新:2011年04月23日 20:00